初心者ロードレース観戦日和

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【初心者向け用語解説 Vol.3】脚質

選手の様々な特徴を分類したものを「脚質」と呼び、基本的には以下の6種類の脚質があります。

  • スプリンター
  • パンチャー
  • クライマー
  • ルーラー
  • オールラウンダー

それぞれの特徴が頭に入っていれば自然とレース展開も理解できてきますので、基本的な部分を解説していきたいと思います。

 

スプリンター

その名の通り短距離のスプリント力に特化しているのがスプリンターの特徴です。

平坦なステージのゴール前では各チームのエーススプリンターが熱戦を繰り広げます。

チームメイトの隊列によるアシスト(通称「トレイン」)を利用して力を発揮するタイプと、あまりアシストの力がなくても位置取りの上手さや他の選手の後ろに上手く張り付く事(通称「タダ乗り」)で勝利を重ねるタイプに大別されます。

その爆発的な瞬発力のための筋肉量で体格が大きい選手が多く、体重が足枷になってしまうので登りは基本的に苦手としています。

そのため、山岳ステージではメイン集団から大きく遅れ、タイムアウトをしないように皆で協力しながらゴールを目指したりします。

ゴール前の大迫力のスプリント争いはレースの最大の見せ場の1つです。

屈強な男たちの力強い走りをその目に焼き付けましょう!

代表的な選手

・エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス・ソルシオンクレディ)

サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ

・カレブ・ユアン(ロット・スーダル)

・ディラン・フルーネウェーヘン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)

・フェルナンド・ガビリア(UAEチーム・エミレーツ

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パンチャー

スプリンター程ではないですが高い瞬発力を誇り、その瞬発力を活かしたアタック力(パンチ力)が特徴です。

スプリンターよりは登りの適正があり(長い登りは苦手ですが)、細かいアップダウンを繰り返す丘陵ステージや、傾斜の厳しい激坂で強みを発揮します。

平坦ステージでもその高出力を活かして集団から飛び出して逃げるなど、レース展開が動くきっかけになる場合も多いです。

その積極的なアタックがレースを動かす瞬間を見逃さないように注目しましょう!

代表的な選手

ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)

・ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ

フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)

・グレッグ・ファンアーヴェルマート(CCCチーム)

新城幸也バーレーンマクラーレン

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 クライマー

他の選手が遅れてしまう長く厳しい山岳でも軽快に登っていけるような、登坂力に特化したのがクライマーです。

体重が軽い方が登りでは有利なため小柄な選手が多いですが、その分絶対的な筋肉量は少ないので、瞬発力や独走能力は高くありません。

ステージレースで総合優勝を争ったり、厳しい山岳ステージでのステージ勝利を狙う場合が多いです。

厳しい山岳ではアシストのチームメートすら遅れて、孤独なエース同士の戦いになる場合も多いですが、そんな状況だからこそ多くの名勝負が生まれてきました。

ステージレースの趨勢を占う山岳ステージでの主役であるクライマーの走りをしっかりと堪能しましょう!

代表的な選手

・ナイロ・キンタナ(チーム・アルケア・サムシック)

・エガン・ベルナル(チーム・イネオス)

・ティボー・ピノ(グルパマ・FDJ)

・ロマン・バルデ(AG2R ラ・モンディアル)

・ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ・プロチーム)

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 ルーラー

平坦な道を一定のペースを保って走り続ける事が得意なのがルーラーの特徴です。

それなりの瞬発力や軽めの山岳を問題なくこなす登坂力を持っているので(もちろんその分野の専門家にはかないませんが)、様々な場面でチームの為に役割を果たし、あまり派手な活躍はできない場合が多いですが縁の下の力持ちとして重要な存在です。

集団先頭を長時間牽いてチームメイトの負担を減らしたり、トラブルで遅れたエースを集団まで引き上げたり、エースの勝利の陰には彼らの地味な働きがたくさんあります。

また、その安定したスピード継続能力を活かしてワンデーレースで勝利を狙う事もありますし、ステージレースで果敢な「逃げ」を見せる事もあります。

ロードレース観戦の経験が少ないとなかなかその重要性に気が付きにくいですが、エースの勝利の為に献身的に働く姿をチェックしてみてください!

代表的な選手

・トーマス・デヘント(ロット・スーダル)

・ルーク・ロウ(チーム・イネオス)

・イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ

・ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグローエ)

別府史之NIPPO デルコ・ワン・プロヴァンス

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タイムトライアル(TT)スペシャリスト

高い独走力を有し、タイムトライアルで活躍するのがタイムトライアルスペシャリスト(TTスペシャリスト)です。

似たような脚質のルーラーと比べ、より高出力で高速走行を維持するのが特徴で、その代わりに登りが苦手な選手も多いです。

その独走力を生かして逃げを仕掛けたり、ルーラー同様に平坦で集団の牽引を任されることが通常時の主な役割です。

そして、タイムトライアルステージでは他を圧倒するその高速走行で、抜群のタイムを叩き出し勝利を目指します。

スペシャリストの名に恥じぬ圧巻の走りは必見です!

代表的な選手

・ローハン・デニス(チーム・イネオス)

・ヴィクトル・カンペナールツ(NTTプロサイクリング)

トニー・マルティン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

・トム・デュムラン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

・マチェィ・ボドナール(ボーラ・ハンスグローエ)

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オールラウンダー

登坂力と独走力を両立させる事により、厳しい山岳をこなしつつもタイムトライアルでもタイムを失わずに、ステージレースの総合優勝を狙いに行くのがオールラウンダーです。

元々オールラウンドな総合力が高い選手もいますが、近年多いのはTTスペシャリストが減量により体重を軽くして登坂力を身につけるパターンです。

ちなみに、「総合優勝を争うための能力」という意味でのオールラウンドという言葉なので、基本的にスプリント力は考慮しません。

現状、グランツール(3大ステージレース)総合優勝に一番近いのはオールラウンダーだと言っていいと思います。

総合力という稀有な才能から今度はどんな王者が誕生するのか注目していきましょう!

代表的な選手

クリス・フルーム(チーム・イネオス)

・ヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード

・プリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

・サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)

ヤコブ・フルサン(アスタナ・プロチーム)

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最後に

どの脚質でもそうですが、複数の脚質にカテゴライズできるような選手も多いです。

例えば、スプリンターとパンチャーは「瞬発力がある」「長い登りが苦手」と特徴が比較的重なっているので、明確に区別するのが難しい場合もあります。

また、同じ脚質にカテゴライズされる選手でも結構大きな個人差があり、極論を言ってしまえば、100人選手がいれば100通りの脚質があるとも言えます。

あまり自分の中で厳密に分類しすぎずに選手の特徴を把握するための目安程度に認識するぐらいが丁度いいと、個人的には思っています。

 

観戦者目線からすれば、脚質を理解する事により選手の特徴を把握しやすくなり、そしてそれによりロードレース観戦をより楽しむ事ができるようになるはずです。

脚質という便利な「道具」への理解を深めて、ロードレース観戦を更に楽しんでみて下さい!