待望の、しかし波乱の幕開け…
ついに、世界中のロードレースファンが待ち望んでいたツール・ド・フランス2020が開幕しました!
正直な話、新型コロナウィルス感染拡大の影響で全てのレースが中止・延期になり、そしてその後も感染拡大が収まらない状況を見ていたら「今年のツールは無理かな…」なんて思っていたので、感慨もひとしおというもの。
夕方ぐらいからなんだか落ち着かず、一人でソワソワ(笑)
8月からのワールドツアー再開時にはここまでの気持ちにはならなかったので、やはりツールは「違うんだなぁ」と、しみじみと思いました。
そんな状況だからか放送側も気合が入っているようで、例年のように第1ステージを無料放送・配信するだけでなく、J SPORTSの実況でお馴染みのサッシャさんがMCを務めるJ-WAVEの「STEP ONE」とのコラボ企画がYouTubeで配信されていました。
解説にお馴染みのメンバーを招き(前半:栗村修さん、後半:飯島誠さん)、もう1人のMCでロードレース観戦初心者の増井アナと共に、初心者でも楽しめるような解説を交えながらの配信を行っていた模様です。
実は途中まではJ SPORTSオンデマンドのレース配信と同時に見ようかとも試みたんですが、2画面同時視聴は自分にはハードルが高すぎました…(汗)
早々にJ SPORTSのみに切り替えましたよ…。
どうやら、自分は聖徳太子ではなかったようです。
コラボ配信の方も内容的には気になるので、後で見てみる予定です。
落車、落車、また落車…
そんなこんなで、いよいよレーススタート!
パレードランの雰囲気、アクチュアルスタートの雰囲気、そしてファーストアタックの雰囲気。
あぁ、本当にツールが行われている…!
曇天なのが少し勿体無いけれども、やっぱりこのツールの雰囲気は他のレースとは違う独特のものだなぁと、改めて実感(…パレードランとかをしっかり見られるレースがほぼないだけ?野暮な事言うのはよしましょう)。
レースとしては早々に3名の逃げが決まり、集団も完全にそれを容認。
多少アップダウンはあるコースだけれども、しっかりコントロールして問題なく集団スプリントに持ち込むと、誰しもがそう思っていたはず。
しかし、ここからが地獄の始まりだった…。
曇り空が段々と雨模様に変わり、そして結構な大雨となってきて…。
そこから始まったのは落車地獄とでも言いたくなるような、落車の連続。
序盤からサム・ベネット、ミゲル・アンヘル・ロペス、ピエール・ラトゥール、ナイロ・キンタナ、リッチー・ポート、ミケル・ニエベ、パヴェル・シヴァコフ、ジュリアン・アラフィリップ、アンドレイ・アマドール、カレブ・ユアンなど、主要選手を含んだ落車が多数発生。
特にシヴァコフは2度の落車でかなり痛めた様子で、ヨロヨロになりながらもなんとか走り続ける様子は痛々しかった…。
正直言って、「このままレース続行しないで、一旦ニュートラルにすべきでは?」なんて思っていたところ、集団先頭にいたトニー・マルティンが「スピードを抑えろ、安全に行くぞ」というジェスチャーを見せて、集団をコントロールしようとしてくれた。
レースを落ち着かせることができるリスペクトある選手の存在✨#元警察官👮♀️
— J SPORTS🌻サイクルロードレース【公式】8/29ツール開幕🇫🇷 (@jspocycle) August 29, 2020
Cycle*2020 ツール・ド・フランス 第1ステージ
【ニース モワイヤン・ペイ 〜 ニース】
第1ステージ無料!生中継&LIVE配信中https://t.co/3QuHT5Yk3F#jspocycle #TDF2020 pic.twitter.com/he1tj8StLJ
流石は実績のあるベテラン、走りだけでなく行動も頼りになる!
これで集団は一旦落ち着いた様子を見せ、安心していたのも束の間、今度はアスタナの選手ががなぜか3名ほど飛び出して先行し始めた…。
「おいおい何やってるんだ空気読めよ、ってか普通に危ないだろ」と思っていると…
スケートリンク上のヨン・イサギレ(AST)
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Cycle*2020 ツール・ド・フランス 第1ステージ
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…ほら、言わんこっちゃない…。
無謀なスピードアップでエースのロペスがクラッシュとか、擁護のしようがないよね。
幸いにもロペスは軽傷だったけれども、一歩間違えたらリタイアもありえたようなコントロールの失い方だったし、他のチームの選手からもの凄く諫めれれて(咎めれれて?)いたし、もう少し考えて行動してくれよなぁ…。
ただでさえ、今シーズンは大きな落車が問題になっているんだからさ…。
ツールと言う最高の舞台での熱戦にケチがつくようなリスクは本当に抑えて欲しい。
流石にこのクラッシュの後はスピードアップしようとする選手はほとんど出てこず、ダウンヒルの鋭角なコーナーなんかは止まりそうになるほどの低速で慎重に走行していく。
それでもジョージ・ベネットがスリップして落車したりしたけど、スピードが出ていないために大事には至らずとりあえず一安心。
そしてなんとかダウンヒルを下り切り、残り25kmぐらいからはほぼ平坦なコースレイアウトに出る。
一瞬「どうする?ペース上げていいの?」みたいな空気になるも、ブノワ・コヌフロワのアタックの後は集団も一気に活性化。
ドゥクーニンクやトレックがスプリントの為に最前線でトレインを形成、イネオスも危機回避のためにトレインを形成してスルスルとポジションを上げていく、いつもの光景だ。
「サム・ベネットもユアンも落車している、ダメージの無いスプリンターは…サガンか?ヴィヴィアーニか?」なんて思いながらテンション上げていたら…。
なんということだ...#ティボー・ピノ(GFC)
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Cycle*2020 ツール・ド・フランス 第1ステージ
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なんと、残り3kmのアーチをくぐった直後に大規模な落車が発生…!
いや、もう勘弁してよ….。
スプリントステージで3km以内だからタイム差は取られない?
いやさ、そういう話ではないよね、もう…。
単純に選手の落車は見たくないし、それによって今後の争いに影響が出てしまうのが本当に嫌なんだよね…。
ティボー・ピノとかマルク・ソレルなんかも巻き込まれてるし…。
今回の落車多発について、レース後に色々と情報が出ていたけれども、原因としては「2か月ぶりの雨によって、道路上に蓄積された大量の汚れ・油・塩(海沿いだからね…)が浮き出て、石鹸を流したような状態になってしまった」という事のよう。
「ニースの路面がなぜあそこまで滑ったか」という理由なんですが「何ヶ月も雨が降っていないのに急に豪雨になり、数ヶ月分の塩と車のオイル、ゴミやホコリ等が一気に流されて、路面が石鹸で覆われたようになった」というところのようです。#アルカリ塩に油脂を混ぜたらそれは石鹸 https://t.co/JDYb4wFnNq
— ルッカ Yoco (@Lucca196) August 30, 2020
このツイートのリプまで読むと詳細がよく分かると思う。
これが100%合っているかは確証なんて取れないけど、整合性の高い話だとは感じるし、以前にジロでも似たような事例があった模様。
雨で路面がスリッピーになるレースは幾つか見たけど、印象的なのは07年ジロのピネローロのゴール。
— Yoshifumi NAKANO 中野喜文 (@yottan) August 30, 2020
現地は運動靴で路面を擦ると泡立ち、歩いても気をつけないと滑るほどだった。アスファルトの質、それまでの降雨量、地域性など様々な条件が重なってこうなるんだろうな。https://t.co/rykao25sTX
公道を使用するロードレースの特性上、ある程度のリスクや運の要素は避けられないかもしれないけれども、今回に関しては運営から早めにニュートラルの指示を出す事ぐらいはできたと思う。
多発している落車とケガについて、UCIとASOにはもっと過敏なぐらいの反応をしてほしかったというのが本音。
とりあえず、落車してしまった選手たちのダメージが少しでも軽く済む事と、今後のステージではトラブルが少ない事を祈るしかない。
さあ、話はレースに戻って、ゴール前のスプリント!
落車の混乱の影響も見える中、いい形のトレインを作っているのはドゥクーニンク。
満を持してサム・ベネット発射かと思われるも、トレインに1人割り込まれてしまい少しタイミングを失い、更には落車の影響もあるのか、そこから加速できない!
横から伸びてくるのはサンウェブの期待の若手ケース・ボル、しかし更にその右から伸びてきたのはUAEの選手、あれは…!?
クリストフだー!!
アレクサンダー・クリストフ、2年ぶりとなるツール4勝目!
今回のUAEはタデイ・ポガチャルとファビオ・アルの総合狙いのため、スプリントのアシストを引き連れていなかったけれども、直前の落車で混戦模様になったのは彼にはプラスに働いたかもしれない。
何はともあれ、ステージ勝利とマイヨジョーヌ獲得、おめでとう!
そして、ベテランのなんだか可愛らしい表彰台に少しほっこりした(笑
落車の代償とハードな明日
落車が多発して波乱となった第1ステージ、残念ながらリタイア者も出ています。
ロット・スーダルのジョン・デゲンコルブは落車の影響でタイムオーバー、フィリップ・ジルベールは完走するも膝蓋骨の骨折により明日からは未出走、バーレーン・マクラーレンのラファエル・バルスは大腿骨の骨折により救急車で搬送されたそうです。
他にもグルパマFDJの選手は8人中7人が落車するなど、とにかく数えきれないほどの落車による負傷者が発生してしまった初日でしたが、ツールはまだ始まったばかりです。
そして迎える第2ステージは、1級山岳が2つも登場するいきなりの難関山岳ステージ。
負傷者を多く抱えるプロトンが一体どんなペースで走り、そして一体どんな展開になるのか、全く見当もつきません。
また、正直言ってコロナウィルスの影響でいつレースが中止になってもおかしくない状況(連続する7日間の内にチーム関係者から2人感染者が出たらそのチームは強制リタイア)なのは事実です。
それでも、選手たちが安全に走れる事、熱戦を繰り広げてくれる事、そして無事にパリまでたどり着いてくれることを祈っています!
最後に厄除けとして、とてもいい表情の悪魔おじさんの写真を貼っておきます(笑
それでは、また!