初心者ロードレース観戦日和

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【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第9ステージ

3週目のようなエース同士のバトル!

1週目の最終日となる第9ステージは、前日の第8ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第8ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)に引き続きピレネー山脈を走る上級山岳コース。

これも前日同様に山頂フィニッシュではないものの、残り18km地点にそびえるマリーブランク峠はラスト4kmの平均勾配が12%という凶悪さを誇り、総合勢の争いが起こる事は必至。

翌日が休息日という事もあって、各チームのエースがフルスロットルで激突するであろう、1週目最大のヤマ場になる予感しかしない。

 

当然フルスロットルなのは総合勢だけではなく、スタート直後から激しいアタック合戦の様相を呈するも、集団をコントロールするユンボ・ヴィスマがなかなか逃げを許さず、結果としてハイペースを維持したままレースは進行していく。

1時間以上も逃げては潰されてという展開が続くが、ついに単独での抜け出しに成功したのはチーム・サンウェブのマルク・ヒルシ!

第2ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第2ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)でも勢いのある走りを見せていた若き才能が、再びアグレッシブな走りを披露してくれて、何だか嬉しくなってくる。

続いて逃げ狙いと前待ちが混在した強力な追走集団も形成されるが、ヒルシは快調に独走を続ける。

 

メイン集団も依然としてハイペースを刻み続け、残り45km地点で追走集団を吸収。

この時点で先頭のヒルシとメイン集団のタイム差は約4分半。

…これ、もしかするとヒルシの逃げ切りがありえる?

というか、単独逃げのヒルシのペースがものすごく速くないか?

一昨年はU23世界選手権のロード優勝、昨年はクラシカ・サンセバスティアンで3位に入賞したその巨大な才能が、ツールと言う大舞台でも眩い輝きを放っている~!

この日の逃げに懸ける意気込みは相当だったようで、ノーマルバイクより空力に優れたエアロロードを用意する徹底ぶり。

直後に控える1級山岳マリーブランクの登坂次第では、ステージ勝利に十分手が届く位置にいるぞ!

 

そしていよいよマリーブランクに突入!

タイム差は3分半以上、ヒルシの走りもまだ勢いを失っていない。

これは逃げ切る可能性があるぞ!

しかし流石にここでメイン集団の動きが活性化して、タイム差が一気に縮まってくる。

ユンボがアシスト総動員での強烈な牽引(また山岳でワウト・ファンアールトが牽いてるよ…)をして、集団はみるみる小さくなっていく。

山頂まで残り2km、ほぼエースしかいない状況の集団で最初に仕掛けたのはタデイ・ポガチャル!

一昨日の遅れを取り戻すために2日連続の積極的なアタックを見せるも、数少ない生き残っているアシスト、ユンボのトム・デュムランがしっかり反応。

しかしこのペースアップにマイヨジョーヌを着るアダム・イェーツが付いていけずに後退してしまう。

続いてアタックを見せたのは、ここまで静かだったディフェンディング・チャンピオン、イネオス・グレナディアーズのエガン・ベルナル!

まだ調子が上がっていないと言われながら、結局ここまで遅れは無しの地力の高さ、そして急勾配区間でアタックする登坂力はやはり一級品!

集団は更に絞り込まれ、ポガチャル、ベルナル、プリモシュ・ログリッチ、ミケル・ランダの4人に。

山頂のボーナスタイムは争いはログリッチが先着し、4人は1分前に山頂を通過したヒルシを猛追していく。

ヒルシも懸命に逃げ続けるが、長距離の単独逃げの疲労、1人対4人の構図、そしてダウンヒル巧者にしてTT巧者のログリッチの存在により、フィニッシュの僅か2km手前で残念ながら捕まってしまう。

5人となった集団、総合争いの4人は後方のライバルとの差を広げる為にペダルを踏み続け、ヒルシはステージ勝利を狙う為に後方で脚を回復させスプリントに備える。

最初に仕掛けたのは最後尾のヒルシ、残り250mから少し長めのスプリント!

その背後に上手く付いたのはポガチャル、そしてスプリント力にも定評のあるログリッチも必死にペダルを踏みこむ!

際どい、際どいぞ…!

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スプリントを制したのは…ポガチャル!!

勝った本人も頭を抱えるほどの劇的なツール初勝利!!

更には10秒のタイムボーナスも加えて、2日続けての積極的な走りで見事に後れを挽回して見せた!

 

2着はログリッチで、こちらも6秒のタイムボーナスを手に入れ、開幕前から「最強」と評された挑戦者が遂にマイヨジョーヌに袖を通す。

 

3着に終わったヒルシは第2ステージに続いて金星を逃してしまったが、その輝かしい才能と果敢な走りは、今後の大成を予感させるには十分すぎる。

まだまだ1週目が終わったばかり、残りのステージでも是非ステージを狙って欲しい。

 

バウケ・モレマ 、ギヨーム・マルタン、ロマン・バルデ、リッチー・ポート、リゴベルト・ウラン、ナイロ・キンタナの集団は先頭から11秒遅れでフィニッシュ。

先頭が面白すぎてあまり気にする余裕がなかったけど、意外と離されなかったというのが正直な感想。

結果的に、トップのログリッチから2分差以内に11人が存在するという、まだまだ混戦模様の総合争い。

「重めのジャブ」だった1週目を終えて、いよいよメインディッシュの2週目へとプロトンは進んでいく。

 

※速報!

休息日の新型コロナウィルスPCR検査、選手は全員陰性!!

レースは無事続行!!

よっしゃー!!

頑張れ!!

無事にパリまでたどり着いてくれ!!