4強の激突!
際どいスプリント勝負になった前日の第10ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第10ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)に続いて、間違いなくスプリントになると言えるほどド平坦なこの第11ステージ。
海風の影響もあり少し荒れた展開になった第10ステージと違い、第11ステージは内陸に向かう為にその心配がないだけでなく、フィニッシュ前1.5kmはほぼ直線という事で、混じり気の無いスプリント勝負に期待!
開始と同時にマチュー・ラダニュが一人逃げを仕掛け、集団もこれをすんなりと容認。
続いて20km地点では6人の追走が発生するも、メイン集団としてはオリバー・ナーセン、ステファン・キュング、ミヒャエル・ゴグル、ルーカス・ペストルベルガー、ジャスパー・ストゥイヴェン、トム・ファンアスブロックという強力なメンバーを見逃す訳にはいかず、約10km程で6人は集団に飲み込まれてしまう。
中間スプリント地点では、メイン集団で激しい争いが勃発!
前日勝利でグリーンジャージを身に纏うサム・ベネットが集団1位(全体2位)で通過、しかもリードアウトしたミケル・モルコフがしっかりペテル・サガンより先着し、ベネットとサガンの差を少しでも広げるという徹底ぶり。
改めてだけど、今回のドゥクーニンク・クイックステップは本気でサガンからマイヨヴェールを奪いに掛かっている!
その後はグレゴリー・ミュールベルガーのリタイア(体調不良?)と、ヨン・イサギレが落車(というか、壁に激突した…)によってリタイアした以外は特に大きな動きは無く、集団はスプリントに向けてスピードアップしていく。
各チームがいいトレインを作るためにポジション争いが厳しくなってくる中、残り6km地点でサガンのトレインの1人であるはずのルーカス・ペストルベルガーが突然の単独アタック!
この強烈な抜け出しに反応したのは、こちらもベネットのトレインであるボブ・ユンゲルスとカスパー・アスグリーン!
予想外に超強力な3人での逃げが発生したのでメイン集団も慌てて急加速、なんとか残り2kmで吸収するが、各チームがまともなトレインを組めていない状態に…!
思わぬ形でエース同士の真っ向勝負となったゴール前、残り250mでフェンス際から仕掛けたのはワウト・ファンアールト!
ファンアールトにぴったりと張り付いていたベネットも加速、更にはサガンがフェンスとの狭い隙間をこじ開けながらポジションを上げ、そしてベネットの後方にいたカレブ・ユアンも中央から急加速してきた!!
今大会4強の直接対決!
今回も際どいぞ…!
4人横並びの激熱なフィニッシュ、勝者はユアン!!
いや~!!
これは痺れた!!
スローでよく見ると、しっかりとベネットの背後を取り一瞬右に進路を取ろうとするも、ファンアールトとサガンがいてスペースが無いので左に急激に進路を変え、そして抜群の伸びで全員抜き去るという、スプリント力と冷静な判断力が噛み合っての見事な勝利!
ラスト500mから渾身のスプリント勝負!#鳥肌が止まらない#4人横並び#ハンドル投げ#コンマ差#ベストバウト
— J SPORTS💛サイクルロードレース【公式】ツール・ド・フランス開催中🇫🇷 (@jspocycle) September 9, 2020
Cycle*2020 ツール・ド・フランス 第11ステージ
【シャトライヨン=プラージュ 〜 ポワティエ】167kmhttps://t.co/hzARuKEPoQ#TDF2020 #jspocycle pic.twitter.com/jHU7biDNTc
昨年のツール3勝に今年もここまで2勝と、純粋なスプリント力ならユアンが現役最強ではないか!?
そう思わせてくれる見事な勝利、これは今年のシャンゼリゼも取りそうな予感がする。
そしてポイント賞争いは、サガンが2着でベネットが3着だから少し縮まったかと思っていたら、意外な速報が飛び込んでくる。
2着でフィニッシュしたサガンだが、ファンアールトの横を強引に上がっていく際の接触が危険な行為と判断され、同タイムフィニッシュの最後尾(85位)への降格と、このステージの中間スプリントで稼いだポイント剥奪の処分が下されてしまう…!
どうやら、観客の突き出したスマホを避ける為に進路を変更した結果、ファンアールトと接触してしまったようだけれども…。
これによってサガンはポイント首位のベネットとの差が68ptにまで広がってしまい、マイヨヴェール獲得に暗雲が立ち込めてきた…。
サガン、逆転なるか。
それともベネットがこのまましっかりと守り切るのか。
はたまた第3の男が浮上してくるのか。
残るスプリントステージは、恐らく2つ(多くても3つ)。
第19ステージと最終第21ステージ、激戦必至である。