初心者ロードレース観戦日和

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【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第13ステージ

圧巻のスロベニアコンビ

2週目最初の3日間は総合に影響のないステージが続いたけれども、この第13ステージはそうはいかないはず。

2つの1級を含む7つものカテゴリー山脈を有し、総獲得標高は今大会最高の4400m。

フィニッシュの1級ピュイ・マリーは終盤に15%もの急勾配を持ち、間違いなく総合勢は動く。

ここまで盤石のプリモシュ・ログリッチ、最も積極的で切れのあるタデイ・ポガチャル、そして静かに上位に位置する王者エガン・ベルナル。

この3人を追いかけるメンバーも含め、総合優勝の権利を有するのは誰なのか、脱落してしまうのは一体誰になるのか、注目が高まる中レースはスタート!

 

絶え間ないアップダウンの連続は大逃げを決めたい選手にとっても都合がいいので、序盤から出入りの激しいアタック合戦が繰り広げられていく。

最初の1級山岳では山岳賞ジャージのブノワ・コヌフロワが付いていけないほどのペースで逃げは進み、17人の逃げはメイン集団との差を10分以上と大きく広げ、早々に逃げ切り勝利がほぼ決まる展開に。

 

残り87km地点、メイン集団で落車が発生。

ロマン・バルデ、ナイロ・キンタナ、バウケ・モレマという、総合上位につけるエースが落車してしまう…!

キンタナは比較的すぐ走り出したけれども、バルデはよろめきながらなんとか再スタート、そしてモレマは腕を押さえて痛がったまま。

モレマは手首の骨折でそのままリタイア、バルデはなんとか完走するも脳震盪の影響を考慮してリタイアする事に。

トレック・セガフレードとしては、もう1人のエースであるリッチー・ポートとのダブルエース体制がこれから機能する可能性もあっただけに、モレマの離脱は痛すぎる…。

そしてバルデは、長年在籍したAG2Rで最後のツールがこんな形で終わってしまうとは…。

来シーズンに向けてしっかり回復させて、新天地サンウェブでまた輝いて欲しいなぁ。

 

レースは早くも終盤に差し掛かり、逃げ集団ではEFプロサイクリングのニールソン・ポーレスが飛び出し単独先頭に。

ここにマクシミリアン・シャフマンが追いつき、そして2級山岳の入り口ではシャフマンがポーレスを突き放す!

…前にも書いたけれども(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第7ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)、シャフマンは8/15のイル・ロンバルディアで鎖骨を折ってるんだよね…?

前日の第12ステージでも追走で勝ちを伺っていたし、恐ろしいタフさだな…。

 

先頭のシャフマンの独走を許すまいと、今度は後方からダニエル・マルティネスが飛び出す!

そうはさせじとボーラのレナード・ケムナがチェックするも、マルティネスはケムナが張り付いたことを気にせずに、何と牽きっぱなしのままシャフマンまで追いついてしまう!

これで先頭は単独のマルティネス VS シャフマンとケムナの2人という、ボーラ完全有利な態勢に。

残り700m、先頭を走り続けるマルティネスのスピードにシャフマンは剥がれてしまい、ボーラの数の有利は無くなる。

先頭を引っ張り続け消耗しているであろうマルティネスだけれども、残り500mで果敢にアタック!

これはケムナに防がれてしまうが、残り150mでケムナがスプリントを仕掛けてもマルティネスは離されず、それどころか力強く加速してケムナを引き離していく!!

マルティネスはそのまま踏み続けフィニッシュラインを通過!!

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ドーフィネ総合優勝のマルティネスはやっぱり強かった!!

今大会では第2ステージの落車で総合争いからは早々と脱落してしまったけれども、2週目に入りコンディションも回復し、ボーラの連携を捻じ伏せる力強い走りで見事勝利!

これは総合上位につけるリゴベルト・ウランにとっては心強いアシストになりそうで、セルヒオ・イギータと合わせてEFの走りには注目!

 

そして総合勢、メイン集団では急勾配区間で今日もポガチャルがアタック!

そこについていけるのは…ログリッチのみ!?

リッチー・ポート、ミケル・ランダ、ミゲルアンヘル・ロペスは少し遅れるぐらいで粘るけれども…エガン・ベルナルが離されていく!?!?

え!?

マジかベルナル!?

調子が上がっていない雰囲気とは言え、ここまではログリッチに離されることはなく、タイム差はボーナスタイムによるもののみだったから、この日も上手くディフェンシブに立ち回ると信じていたけれども…。

結局、ベルナルはそのまま少しづつ離されていき、ログリッチとポガチャルから38秒遅れでフィニッシュ。

 

これで総合は1位ログリッチ、2位はポガチャル(+44秒)、3位がベルナル(+59秒)という順位に。

ベルナルは後退したけれども、59秒ならまだ十分挽回可能な範囲と言えるとは思う。

ただし、2日後の第15ステージ、グランコロンビエール山頂フィニッシュで遅れない事、そして当然ながら第3週目にはしっかり調子を上げてくる事が条件。

イネオスとしては、落車でコンディションを崩していたシヴァコフが復調傾向にあるので、チーム一丸となってベルナルをサポートしていきたいところ。

王者の意地と底力、見せてくれ!