初心者ロードレース観戦日和

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【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第14ステージ

「来いよベネット」からの…サンウェブ劇場

平坦カテゴリに分類されながら、かなりダラダラと長い2級山岳とゴール手前に2つの4級山岳がいやらしく配置された第14ステージ。

正直言って集団スプリントになる気はせず、大逃げか4級山岳での飛び出しからの勝利の可能性が高いはず。

 

意外にも逃げたがる選手は少なくて、多少出入りがあったけれども最終的にはエドワード・トゥーンスとステファン・キュングの2人のみ。

序盤に設置されたスプリントポイント手前の4級山岳に入ると、ボーラ・ハンスグローエがペースアップを図る。

ペテル・サガンのポイント獲得のためのこの動きは成功して、サガンは無事に集団トップで中間ポイントを通過、サム・ベネットとの差を少し縮めてきた。

そしてボーラのこの動きはその後も止まらず、そのままスプリンター(というかベネット)を完全に切り離しにかかる!

…ということは、サガンはこのステージで勝利して50pt獲得する事を狙ってるぞ、これ。

第12ステージでも同様の作戦を展開しながらあまり大きな成果は得られなかったけれども(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第12ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)、今度こそ成功なるか。

このボーラの動きにCCCも同調して(こちらも同様にトレンティンのポイントとステージ勝利狙い?)牽引を手伝った結果、2級山岳の長い登坂でベネットやカレブ・ユアンなどの有力スプリンター達は脱落していく!

ドゥクーニンク・クイックステップはアシスト総動員でベネットを引き上げようと試みるも、メイン集団は逃げを飲み込む勢いで走り続け、最終的に後方に置いて行かれた選手たちは集団に追いつくことを諦めてしまった!

先ほどの中間ポイントでサガンが稼いだポイントは15pt、もしこのままステージも勝てば更に50ptを獲得して合計65ptも加算する事になり、スタート前には66ptあったベネットとの差(ベネットも中間スプリントポイントで10pt稼いでいるけど)を一気に埋める事になる…!

恐るべし、ボーラのチーム力。

そして恐るべしサガンの登坂力…というか流石は歴代最強のポイント獲得能力と、その執念。

 

レース終盤、残すは2つの4級山岳。

その1つ目の入り口でチーム・サンウェブのティシュ・ベノートが仕掛けるが、これはボーラのレナード・ケムナに下りで追いつかれ、逆に今度はケムナが単独先頭に。

そこでメイン集団からなんと逃げ職人トーマス・デヘントが飛び出し、これにジュリアン・アラフィリップが反応してそのままデヘントを追い抜いていくと、集団もカオスな状態になりながら食らいついていく。

残り4.5km、最後の4級の山頂でまた1つの集団に戻ったのも束の間、またしてもサンウェブがアタック!

第12ステージで勝利してノリノリなマルク・ヒルシの飛び出しに、勝利を狙うサガン自らチェックして追いつくと、追いついた一瞬のスキを狙ってこれまたサンウェブのセーアン・クラーウアナスンが抜け出し、独走を開始!

これぞ波状攻撃とでもいうべきサンウェブの3連続アタックが見事に決まり、クラーウアナスンはそのままフィニッシュへ!!

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またしてもサンウェブのチーム力が発揮された見事な勝利!!

クラーウアナスンも嬉しいツール初勝利、おめでとう!

 

第12ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第12ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)の連携はエースのヒルシを前に運びそして後方から支援するアシスト力の勝利だったけれども、この日の相手に付け入るスキを与えない絶え間ない攻撃もお見事!

しかも、もしもクラーウアナスンが追いつかれてスプリントになった時の為に、カスパー・ピーダスンを備えさせている用意周到さには、もう脱帽するしかないでしょ。

「チーム力が高い」となるとユンボ・ヴィスマ、チーム・イネオス、ドゥクーニンク辺りが挙げられる場合が多いけど、そこにはかなりのウェイトで「個人の能力が高い選手が揃っている」という要素が含まれる訳で…。

今年のツールでサンウェブの見せてくれているチーム力の高さはまさに「連携力が高い」といった感じで、そういう意味で今一番チーム力があるのはもしかしたらサンウェブなのではないか。

そんな事を言いたくなるぐらい、今のサンウェブは素晴らしいし、見ていて楽しい。

次に勝つのはピーダスンか?それともケース・ボルか?

今後のステージでも楽しみは尽きない!

 

そして序盤からレースを動かしたボーラだったけれども、サガンは4着となり獲得ポイントは18pt。

中間で獲得した15ptと合わせてステージ全体で33ptを積み上げ、10ptしか加算できなかったベネットとの差は43ptに縮まった。

サガンとしては決して大成功ではないけれども、とりあえず及第点といったところだろうか。

明日からはしばらく山岳ステージが続くのでポイント賞争いは中間ポイントのみに限られ、第19ステージまではしばらく大きくは動けない中でサガンはどのぐらい稼ぐのか。

そして、ついに本格的な総合争いの火蓋が切って落とされる。

まずは第2週の最終日である第15ステージ、戦場はグラン・コロンビエール峠。

開戦に相応しい1級・1級・超級の超難関ステージで、果たしてどんなドラマが繰り広げられるのだろうか。

 

(…頑張れベルナル!)