コースは変われども面白い!
オランダ南部を舞台に、無数のアップダウンとコーナーから「千のカーブ」とも呼ばれるレイアウトが特徴のアムステルゴールドレース。
昨年は新型コロナウィルスの影響で残念ながら中止となり、そして今年も使用できる区域が制限されたために周回コースとなってしまったけれども、なんとか開催!
勝負所の「カウベルグ」を12回も登る周回コースとなった事で逆に厳しさが増したとも言われる中、主な注目選手はこんな感じ。
- 圧倒的な出力と万能性で全てを捻じ伏せるワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
- 前哨戦のブラバンツペイルでファンアールトに競り勝ったトム・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ)
- 今シーズンはワンデーレース未勝利ながらもちろん優勝候補、世界王者のジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
- パンチ力とタフさが売りのアルデンヌ巧者マクシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)
- 今シーズン好調の大ベテラン、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
他にも、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ)、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス)、マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)、マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)、ヤコブ・フルサン(アスタナ・プレミアテック)など、注目選手はたくさんいるけれども、自分の予想はこちら。
アムステルゴールドレース予想
— kiwa (@kiwa2408) April 18, 2021
本命:ワウト
対抗:アラフィリップ
穴:ピドコック
大穴:シャフマン
UAEはヒルシではなくトレンティンがエースナンバーなので、ヒルシはまだ調整不足かもという事で外した
あと、骨折から復帰したクフィアトの状態はどうなんだろうね#AGR21 #GCNjapan #ロードレースjp
直前のブラバンツペイルではピドコックに敗れたものの、やっぱりファンアールトの力は信頼できるはず。
2019年の前回大会では、長年のライバルであるマチュー・ファンデルプール(今回は不出場)が衝撃的な勝ち方をしたので、「今度はファンアールトの番だ!」という期待もこもっているけど…。
自分はレース翌日が仕事だったため(日曜だったから同じような人が多いだろうけど)、リアルタイムでは無く翌日に視聴。
ロードレースの情報は自分から進んで調べない限り目にする事がまず無いので、TwitterやPCSを開かなければ結果を知らないまま過ごせるのはいいところ(いや、そもそも基本が深夜なのはいいところではないか…?)。
穏やかな天気の中、そして現在休養中のトム・デュムラン(ユンボ)がゲストとして登場したりしつつ、レースはスタート!
この日の逃げは10人、メイン集団とのタイム差は4~5分程で推移。
メイン集団はユンボ、ドゥクーニンク、モビスターといった有力選手を抱えるチームがコントロールし、中盤までは穏やかな展開でレースが進行していく。
動きが出てきたのは残り70km辺りから。
ロブ・パワー(チーム・クベカ・アソス)の動きをきっかけに、断続的にアタックと吸収が発生。
各チームがどうにか主導権を握りたい、そして他のチームを削りたい展開の中、残り55km付近で落車が発生。
優勝候補のシャフマンが足止めを食らって遅れてしまい、そしてボブ・ユンゲルス(AG2Rシトロエン)は立ち上がれないほどのダメージを負ってそのままリタイアとなってしまった…。
ユンゲルスには期待しているんだけれども、AG2Rに移籍してからどうも噛み合わない印象だなぁ…。
残り43km付近、ディラン・ファンバーレ(イネオス)、ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)、フロリアン・セネシャル(ドゥクーニンク)、ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ)、サイモン・クラーク(クベカ・アソス)、トッシュ・ファンデルサンド(ロット・スーダル)というなかなか強力な6人がメイン集団から抜け出すことに成功する。
ロイック・ヴリーヘン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)以外の逃げを飲み込んだこの小集団を捕まえるため、メイン集団を牽引するのは…なんとログリッチ。
残り35km、最後から2回目のカウベルグでメイン集団から抜け出したのはイーデ・スヘリンフ(ボーラ)。
一旦引き戻されるも、再度アタックして抜け出しに成功、そしてそのまま単独先頭まで駆け上がっていく。
残り19km、スヘリンフが単独で先頭のまま最後のカウベルグに突入。
メイン集団から最初に動いたのは二コラ・コンチ(ロット)。
一気にスヘリンフを追い抜いて先頭に立つも、後方からファンアールトとアラフィリップが凄まじい勢いで飛び出して来て、あっという間にコンチを躱していく!
もちろん優勝候補の2人による抜け出しをライバル達は許すわけにはいかず、ピドコック、バルベルデ、マシューズ、シャフマンなどの有力選手が追いついて、強力な先頭集団(メイン集団と呼ぶべき?)を形成!
この集団にイネオスがピドコック、クフィアトコフスキ、リチャル・カラパスの3人を入れる事に成功したのに対して、ユンボはログリッチがメカトラで遅れてしまうという痛恨の展開に。
イネオスは数の利を活かすべく、残り14km辺りでクフィアトコフスキがアタックを仕掛けて抜け出しに成功。
「これはなんて理想的な展開…」と思ったのも束の間、骨折からの回復明けのクフィアトコフスキはやはり万全ではないようで(それで先頭にしっかり残ってるのがそもそも凄いけど)、2kmほどしか逃げられずにあえなく捕まってしまう。
その直後、飛び出したのはピドコック、ファンアールト、シャフマンの3人!
カメラのスイッチングの関係で分かりにくかったけれども、ピドコックがコーナーと緩い下りを利用して加速、そして集団はクフィアトコフスキが「蓋」となって足止め!
ピドコック、ファンアールト、シャフマンの3人はしっかりと先頭交代をしているのに対し、後方集団はクフィアトコフスキとカラパスがローテーションを阻害してペースが上がらないため、タイム差は一気に20秒以上に!
優勝争いは先頭の3人に絞られる形になった!
ファンアールトとピドコックというシクロクロス出身でスプリント力のある2人に対して、ゴール前スプリントでは明らかに不利なシャフマンが残り2kmでアタック!
ただ、何もない平坦区間(微妙に登り?)でのアタックではやはり引き離すことはできず、シャフマンの実質「最後の望み」は絶たれる事に。
そして迎えたフィニッシュ地点手前。
まるでブラバンツペイルの焼き直しのようなファンアールトvsピドコックのスプリント対決。
前に出されてしまっているのはファンアールト、その後ろにはピドコックがピッタリと張り付き、最後尾にはシャフマン。
牽制でペースが落ちた事によって後方の追走も近づいてくる状況で、残り200mから3人ほぼ同時にスプリントを開始!!
残り100m、ピドコックがファンアールトのスリップストリームから抜け出して横に並ぼうとする!
残り50m、2人がほぼ真横に並んでいる!!
最後の最後までどちらも譲らない!!!
両者ともに目一杯ハンドルを前方へ投げ出し…勝ったのはどっちだ!?
真横からの映像でも判別できないような、「同着!」と言いたくなるような際どいフィニッシュを制したのは…
High(er) resolution image of the finish #AGR21 pic.twitter.com/hdxZf2eNLI
— La Flamme Rouge (@laflammerouge16) April 18, 2021
勝ったのはファンアールト!!
その差、なんとわずか0.004秒!
ギリギリのところで、ブラバンツペイルのリベンジに成功!
やはりその異次元の万能性は、アルデンヌクラシックでも輝けると見事に証明してくれた!
惜しくも、本当に惜しくも2位となったピドコックも、ネオプロとは思えない素晴らしい走りだった!
クフィアトコフスキやカラパズという実力者を従えて強豪イネオスのエースを務めるというのは、そのチーム力が頼もしいと同時に大きなプレッシャーになりそうなものだけれども、ジュニア世代から世界の頂点を取り続けてきたピドコックにとっては全く問題にならないらしい。
本当に、また末恐ろしい逸材が現れたなぁ、これは。
3位に入ったシャフマンは、途中トラブルで足止めされているのにこの順位にいる事がまず驚き。
パンチ力や独走力なんかも魅力の選手だけれども、とにかくタフな選手で、厳しいシチュエーションでも生き残る能力に本当に長けていると思う。
周回コースとなっても、アムステルゴールドレースは素晴らしかった!
アルデンヌ・クラシックらしい起伏が連続したレイアウトは、やっぱり見ていてとても面白い。
また来年以降は、ラインレースになってくれたらもっと嬉しいなぁ。
そして余談と言うか、改めて今回の自分の予想を振り返ると…
アムステルゴールドレース予想
— kiwa (@kiwa2408) April 18, 2021
本命:ワウト
対抗:アラフィリップ
穴:ピドコック
大穴:シャフマン
UAEはヒルシではなくトレンティンがエースナンバーなので、ヒルシはまだ調整不足かもという事で外した
あと、骨折から復帰したクフィアトの状態はどうなんだろうね#AGR21 #GCNjapan #ロードレースjp
本命:ファンアールト → 1位!
対抗:アラフィリップ → 6位
穴:ピドコック → 2位
大穴:シャフマン → 3位
ファンアールトの優勝が的中、そして名前を挙げた4人の内3人が表彰台に登るという、自分でも驚きの結果に!
いや~、ビックリしたけど嬉しいね~!
まぁ、予想をするために見ている訳ではないので、あんまりそっちに意識を向けすぎないようにはしつつ、今後も緩く楽しんでいくよ~。
それでは、また!