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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2021 第2ステージ

プロチームの力

中盤以降に4級山岳が一つあるだけで後半はほぼオールフラットというレイアウトなので、今大会最初の集団スプリントになるであろう第2ステージ、

カレブ・ユアン(ロット・スーダル)、ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)、ジャコモ・ニッツォーロ(チーム・クベカ・アソス)、ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)と、役者は揃っている。

 

この日の逃げは3人、スプリントで勝利を狙うアルペシン以外の3つのプロチームから、各1人ずつが逃げに乗る形に。

マリア・アッズーラ獲得のために、目指すはコース中盤にある4級山岳。

4級山岳の登坂で真っ先に仕掛けたのは、思い返せば3月のティレーノ~アドレアティコでも積極的に山岳賞ジャージを狙いに行ったヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ)。

もちろん、フィリッポ・タリアーニ(アンドローニジョカトリ・シデルメク)とウンベルト・マレンゴ(バルディアーニ・CSF・ファイザネ)も必死に追いかけるけれども、アルバネーゼが先頭で山岳を通過し、この日の山岳賞トップを確定させる。

これでアルバネーゼはティレーノ~アドレアティコに続いての山岳賞ジャージ着用となり、大会スポンサーでもあるエオロ社がスポンサードするチームとして、最初のミッションはこなしたというところか。

 

一方のメイン集団は、スプリント争いに持ち込みたいロット、アルペシン、チーム・ユンボ・ヴィスマ辺りが牽引役を担う形で、徐々に逃げ集団に接近していく。

逃げ集団からはアルバネーゼがパンクで脱落し、この日のミッションは既に終えていたアルバネーゼは無理せずにメイン集団に吸収されることを選択する。

残り39.4km地点の1つ目の中間スプリントポイント(ボーナスポイント加算)は、1番手がタリアーニ、次いでマレンゴが通過。

そしてスプリント賞争いに絡んでくるメイン集団の通過は、先頭がエリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス)、次いでフェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ)、サガンの順かと思いきや、どの選手もスプリントポイントの直前にあった「残り40kmのバナー」をスプリントポイントだと勘違いしていて、それに気づいて再度踏み込んだガビリアが先頭で通過するという、なんともグダグダな展開に…。

というか、あれは紛らわしい…。

 

その後、逃げていた2人は吸収され、残り26.2km地点に登場する2つ目の中間スプリントポイント(ボーナスタイム獲得)が近づいてくる。

総合争いを少しでも有利にするため、レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)がイーリョ・ケイセのアシストを受けて先頭通過を目論むも、それを阻止したのはマリア・ローザを着るフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)。

リードを奪わせまいとするイネオスの「護衛」はガンナだけではなく、ジャンニ・モスコンもライバルのボーナスタイム獲得を阻止しようとする徹底ぶりを見せるも、エヴェネプールが2位通過で総合勢から2秒のタイム差を稼ぐ結果に。

 

そしてレースもいよいよ大詰め、残すは集団スプリントのみに。

あまり積極的に集団を「支配」しようとするスプリントチームは無く、イネオス、モビスター・チーム、バーレーン・ヴィクトリアス(新城選手の姿も!)辺りが危険回避の為に前方に陣取る展開が残り3km辺りまで続く。

残り2.5km、集団の横から隊列を上げてきたのはユンボ、その後方にはアルペシンのトレインも控えている。

緩くて狭いコーナーを抜けると先頭はダニエル・オス(ボーラ)、しかし肝心のサガンは少し後方。

残り1km、いい位置に上げてきたのはコフィディスのトレイン、反対側からはUAEも上げてくる。

残り600m、狭いS字コーナーがあったためこの時点で後方にいたユアンなどかなり厳しい状態、逆にいい位置にいるのはコフィディスのヴィヴィアーニ、UAEのガビリア、クベカのニッツォーロ(いつの間に上がってきた?)、ユンボのディラン・フルーネウェーヘン辺りか。

残り250m、5番手辺りにいたメルリールが少し長めのスプリントを開始!

絶好の位置にいたはずのヴィヴィアーニはこれに上手く反応できず、そしてガビリアはチームメイトに進路を塞がれる形となって、フェンスに接触してしまう!

メルリールは勢いそのままに踏み続ける!

後ろからニッツォーロらが猛追するも、メルリールは先頭をキープしたまま!

伸びる!

伸びる!

最後まで勢いを失わない!!

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プロチームであるアルペシン・フェニックス所属のメルリール、並み居るワールドチームの猛者を退けてのステージ初勝利!!

最後まで伸び続けたメルリールのスプリントも凄かったし、勝負できる位置へメルリールをしっかり運んだアルペシンのチーム力も素晴らしかった!

メルリール、そしてアルペシンの実力はグランツールでワールドチームを相手にしても充分やれるとは思っていたけれども、まさかいきなり勝つとは…!

 

ジロという大舞台で、山岳賞もステージ勝利もプロチームが掴み取るという、夢のある展開。

いや~、面白かった!