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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2021 第3ステージ

激走が生み出す歓喜の瞬間

第3ステージは、序盤は平坦ながら中盤以降に3つのカテゴリー山岳、更にはフィニッシュ15km手前に登坂距離2.6㎞・平均勾配7.1%・最大勾配15%の「スプリントポイント(!?)」が登場する丘陵ステージ。

逃げ切りか、抜け出しか、更にはスプリントでの決着もあり得るような、少し展開の読みにくいレイアウトな気がする。

 

この日の逃げは8人、前日の逃げで山岳賞ジャージを獲得したヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ)がまたしても逃げている。

アルバネーゼは最初の三級山岳と次の4級山岳を先頭通過、最後の4級山岳も3位で通過して、マリア・アッズーラをがっちりとキープする事に成功。

 

一方のメイン集団では、ペテル・サガンでの勝利を狙うボーラ・ハンスグローエが積極的に牽引を行い、登りが苦手なスプリンターをふるい落としに掛かる。

前日ステージ勝利のティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)をはじめ、カレブ・ユアン(ロット・スーダル)、ディラン・フルーネウェーヘン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、ジャコモ・ニッツォーロ(チーム・クベカ・アソス)といった有力なスプリンターが集団から遅れてしまう。

 

逃げ集団は山岳を超える度に徐々に人数を減らしていき、フィニッシュ15km前のスプリントポイントまで残ったのはタコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)とシモン・ペロー(アンドローニジョカトリ・シデルメク)の2人のみに。

メイン集団からはジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)とトニー・ガロパン(AG2Rシトロエン・チーム)が飛び出して逃げの15秒後方まで迫り、そのさらに15秒ほど後ろにメイン集団が控えている状況。

人数もタイム差も減ってしまった逃げが捕まるのは時間の問題かと思いきや、メイン集団はボーラがアシストを使い果たしたためにペースが上がらず、意外にもここからタイム差が広がっていく。

しかも、逃げとのタイム差が広がっていくのはメイン集団だけでなく、2人の追走もじわじわと逃げから離され始めているという事は、逃げのペースがかなり良い?

そして相変わらずメイン集団はイマイチ協調できず、ペースが上がらない。

 

残り8.7km、先頭のファンデルホールンが平坦区間でアタックを仕掛けると、ペローは全くついて行けない!

更にはあっという間にメイン集団とのタイム差を1分以上にまで広げ、潰えたように思えた逃げ切りの可能性が再浮上してくる!

さすがにメイン集団もこれを放置する訳にはいかず、まずはコフィディスが、次いでUAEチームエミレーツが牽引してペースを上げてくる。

残り3km、タイム差は約30秒。

残り2km、タイム差は20秒、追走のチッコーネとガロパンもここでメイン集団に吸収される。

残り1km、タイム差は…15秒!

鬼気迫る形相で踏み続けたファンデルホールンの勢いは衰えない!

そのまま最終ストレートに突入、残り距離は僅か200m!

ファンデルホールンはここで何度も後方を確認、集団との差が決定的な事を確信する!

感極まった様子でその表情を緩める!!

迫る集団を背に、歓喜のフィニッシュ!!

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グランツール初出場のファンデルホールン、チームに今シーズン初勝利を届ける劇的な逃げ切り勝利!!
強豪ユンボとの契約延長が叶わなかったファンデルホールンが今シーズン加入したのは、ワールドチームに昇格したばかりのアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ。

そしてアンテルマルシェは今シーズンここまで未だに勝利なしと、かなり厳しい戦いが続く中で、まさかまさかのジロでのステージ勝利。

背景にあるストーリー、ファンデルホールンの鬼気迫る走り、そして迎えた歓喜の瞬間!!

いや~、素晴らしいものを見た!

これぞロードレース!

 

フィニッシュ後の歓喜の輪、昨年までのチームメイトも祝福する姿、インタビューや表彰台での喜びを抑えきれない様子、そのどれもが素晴らしい!

そして、表彰台ではまさかのプロセッコがぶ飲み!

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もはや、「飲む」ではなく「浴びる」。

これが本当の「浴びる程飲む」か(笑)。

おめでとう、ファンデルホールン!!