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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2021 第12ステージ

AG2Rシトロエンの日

4つのカテゴリー山岳を含んだアップダウンの絶えないレイアウトで、獲得標高4500mに走行距離も212kmと、なかなかの難易度の第12ステージ。

 

レースは序盤から落車などで離脱者が続出する大荒れの展開に…。

マルク・ソレル(モビスター・チーム)、ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)、アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネーション)、ファウスト・マスナダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、アレックス・ドーセット(イスラエル)、コービー・ホーセンス(ロット・スーダル)と、名のある有力選手がごそっといなくなってしまった。

この中でも、ダウンヒルで激しく落車して緊急搬送されたデマルキは、鎖骨・胸椎・6本の肋骨を折るという、かなりの重傷…。

ロードレースに落車はつきものとはいえ、やっぱり有力選手の離脱は悲しいし、ましてやケガで選手が苦しむ事を考えると本当に辛い。

この先はできるだけ落車が起きない事、そしてデマルキをはじめケガをした選手が少しでも早く良くなってくれる事を、心の底から祈るばかり。

 

1時間以上に渡る激しいアタック合戦の末、形成された逃げは最終的に16人。

メイン集団をコントロールするイネオス・グレナディアーズは、この日も逃げ切り勝利を完全に容認して、逃げとメイン集団のタイム差は10分以上に広がっていく。

 

この日の4つのカテゴリー山岳のうち最初の3つを先頭通過したのは、山岳賞ランキングの首位に立つジョフリー・ブシャール(AG2Rシトロエン)。

一気に45ポイントを荒稼ぎしたブシャールは、僅差で2位だったエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)を一気に突き放す事に成功し、この日のミッションを見事にこなしてみせた。

 

最後のカテゴリー山岳である3級山岳に入ると、逃げ集団によるステージ勝利に向けた争いが一気に激化!

アンドレア・ヴェンドラーメ(AG2Rシトロエン)、ジョージ・ベネット(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、ジャンルカ・ブランビッラ(トレック・セガフレード)、クリス・ハミルトン(チームDSM)の4人が抜け出しに成功、そのまま4人で山頂を通過していく。

残すはダウンヒルと平坦区間のみで、小集団スプリントを嫌ったブランビッラやベネットがアタックを仕掛けるけれども、やはりこのレイアウトではなかなか決まらない。

「どうあがいてもこのまま4人で行くしかないかな…」と思った矢先、ブランビッラとベネットが後方で牽制し合っている隙をついて、残り2.8kmで意表を突くアタックを繰り出したのはハミルトン!

ヴェンドラーメはしっかり反応するけれども、ブランビッラとベネットは…付いていけない!

ハミルトンとヴェンドラーメは一気にその差を広げていく!

ブランビッラとベネット、経験も力もあるはずの2人は痛恨の判断ミスで勝機を逸する事に…。

 

後方の2人との差が開くと、ハミルトンはスプリント力のあるヴェンドラーメを警戒して、頑なに後方待機を選択。

そのままヴェンドラーメが先頭固定のまま、残すはフィニッシュ前の直線のみ。

残り150m、先に仕掛けたのは前で牽きっぱなしだったヴェンドラーメ!

後方で力を貯めていたハミルトンだったけれども、そのスプリント力の差はやはり大きく、全力でもがいてもヴェンドラーメに全く歯が立たない!

そのままヴェンドラーメが力強く踏み続けてフィニッシュ!!

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ガッツポーズしながら雄たけびを上げるヴェンドラーメ!

 一昨年、ジロ2019の第19ステージで惜しくもステージ2位だったヴェンドラーメ。

その2位はメカトラも響いての敗北だっただけに、これは嬉しい勝利!

そしてAG2Rとしては、ブシャールが山岳ポイントを荒稼ぎした事と合わせて、まさに完璧な1日に!

昨年までの「総合一本鎗」なチーム体制からの変革は、このジロでは上手くいっているようで何よりだ!

 

メイン集団は、最後のダウンヒルでヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)が抜け出して7秒のタイム差を稼ぎ出して、そしてニバリを追いかけようとしていたジャンニ・モスコン(イネオス)が落車した事以外は特に大きな動きはなく終了。

ニバリのダウンヒルテクニック、相変わらず上手すぎる。

そしてモスコンはしっかり集団に復帰していたようで良かった。