陽気なイタリア人の勝負勘
第18ステージは、今大会最長の231kmを走る平坦なレイアウト。
ただ、終盤にアップダウンもあるので意外と展開は読みにくい…。
レース開始直後、ポイント賞で首位に立つペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が集団の先頭付近に陣取り、マリア・チクラミーノを脅かすような選手が逃げに乗らないように、文字通り睨みを利かせている。
その結果、ポイント賞の順位に影響を及ぼさない23人の逃げが形成され、ひとまずこの日の中間スプリントポイントでのポイント賞争いは行われない事が確定。
ただ、サガンの「選別」は色々とやりすぎな部分もあったようで、レース後に罰金とUCIポイントの剥奪処分を受ける事に…。
…とりあえず、スプリントポイントを剥奪されなくてよかったね。
メイン集団はマリア・ローザのエガン・ベルナルを擁するイネオス・グレナディアーズがコントロールして、逃げとのタイム差は早々に10分以上に開き、早くも逃げ切りが「確定」するような展開に。
正直なところ、UAEチームエミレーツやイスラエル・スタートアップネーションが集団スプリントに持ち込もうと積極的に牽引するかもと考えていたので、少し意外と言うか、ポイント賞争いに関しては若干拍子抜けな展開と言うか…。
とりあえず、逃げ切りが確定した時点でサガンのポイント賞獲得もほぼ確定する事に。
あとは、残りのステージの中間スプリントをコントロールしつつ、無事に走り切るだけだ。
平坦区間では特に動きが起きず、逃げとメイン集団はタイム差が20分以上にまで開くほど平穏な展開のまま、レースは終盤のアップダウン区間に突入。
4級山岳への勾配を利用して先頭から飛び出したのは「クレルモンフェランのTGV」こと、レミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)!
その抜群の独走力を活かして、今ジロ未だに未勝利のチームに吉報を届ける為に力強くペダルを踏み込み、タイム差は一気に20秒以上に広がっていく!
残り14km、追走集団からアルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・NIPPO)が飛び出し、この動きにニコラス・ロッシュ(チームDSM)も合流して、2人でカヴァニャを追いかけ始める。
ベッティオールはカテゴリーの付いていない登り坂でロッシュを突き放し、単独でカヴァニャに迫る!
残り7km、これまたカテゴリーの付いていない登り坂でベッティオールがカヴァニャを捉えると、そのまま一気に抜き去っていく!!
カヴァニャはこれで心が折れたのか、それとも力を使い果たしたのか、急激に勢いを失い、ロッシュにも抜かれるほどペースダウンしてしまう…。
ベッティオールはダウンヒルも平坦区間も順調に走り抜け、20秒以上のリードを保ったままフィニッシュ地点へ!!
地元イタリアの陽気な男は両手で観客を煽り、その声援を堪能しながら余裕のフィニッシュ!!
ベッティオール、嬉しいグランツール初勝利!!
明らかに成長した登坂力、登坂区間でカヴァニャに追いつくしたたかさとそのまま突き放す勝負勘、そして最後は持ち前の独走力と、完璧な内容での勝利!
そして意外にもこれがプロ3勝目と、思ったより勝利を挙げていない選手なんだね。
2019年のロンド・ファン・フラーンデレン覇者だからもっと勝っていてもおかしくない気もするけれども、この日の勝ち方は今後の勝利を予感させるのは充分な内容だったと思うので、期待したい!!
ちなみに、この日はルッカさん(ルッカ Yoco (@Lucca196) | Twitter)の開いたスペースで楽しくお話をさせて頂きながらの観戦。
さすがは現地観戦の経験が豊富で選手やレース関係者との交流もあるルッカさん、出てくる話はどれもなかなか知り得ないような面白くて貴重なものばかりで、本当に楽しかったです。
「トークに参加するのはハードルが高い」というような人も話を聴くだけの「リスナー」で参加できるので、興味がある方は是非参加してみて下さい!
ルッカさん、楽しい時間を提供して頂き、ありがとうございました!
またお邪魔させてもらう事もあると思いますが、その時はよろしくお願いします!