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【レース感想】ツール・ド・フランス2021 第9ステージ

巨大な逃げと、王者の余裕

1週目の最終日となる第9ステージは、2級・1級・超級・2級・1級とカテゴリー山岳が連続で登場して、かなりの難易度を誇る山岳ステージ。

 

スタート前、プリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)とマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)がリタイアという情報が入ってくる。

グリッチは落車のダメージが大きいため、そしてファンデルプールはマウンテンバイク競技で出場する東京オリンピックに向けて調整するためと、ある程度想定していた内容なので、驚きは少ないけれども…特にログリッチのリタイアは少し残念な気持ちはあるかな…。

 

レースは開始直後から激しいアタック合戦となり、まだ逃げが決まり切らない状態で19.5km地点の2級山岳はピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)が先頭通過。

32.5km地点の中間スプリントポイントをソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で、次いでマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)が通過してポイントを稼ぎ、その流れでやっと逃げが…40人以上という大所帯の逃げが形成される。

一方、メイン集団を牽引するUAEチームエミレーツは、この逃げに対して8分以上のタイム差を与えて、逃げ切りを容認する構えを見せている。

そして、メイン集団の後方には、早くも遅れてしまっている選手のグルペットが…。

タイムアウト、大丈夫か…?

 

残り95.9㎞地点の1級山岳セジー峠で逃げから飛び出したのは、ワウト・プールス(バーレーン)、ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)、マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション)、セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・NIPPO)、ベン・オコーナー(AG2Rシトロエン)、ルーカス・ハミルトン(バイクエクスチェンジ)という、6人の1流クライマー。

山頂は山岳賞ジャージを着用するプールスが先頭で通過、続く超級山岳プレ峠も6人が先行して突入していく。

このプレ峠で真っ先に脱落したのは、セジー峠を先頭通過して調子が良さそうにも見えたプールス。

そして山頂の1km前で仕掛けたのは、「山岳賞に照準を合わせている」と明言したキンタナ。

キンタナはそのまま超級プレ峠の先頭通過に成功、更には続く2級山岳ロズラン峠も先頭で通過して、プールスから山岳賞首位の座を奪い取る!

そしてこのロズラン峠でウッズとハミルトンは遅れてしまい、先頭はキンタナ、イギータ、オコーナーの3人に絞られる。

 

先頭は3人のままこの日最後の登坂、登坂距離21㎞・平均勾配5.6%という緩く長い1級山岳ティーニュ峠に突入。

登坂を開始して間もなく、3人の中で最初に遅れ始めたのは、なんとキンタナ。

ここまでキレキレな登坂を見せていけれども、「山岳賞に照準を合わせる」って、「ステージ勝利よりも超級山岳で力を使う」という意味なのか…!?

続いて残り17km辺りで遅れ始めたのは、イギータ

強力なコロンビア人クライマー2人を突き放して独走するオコーナーは、快調に登り続ける!

追走集団からはマッテア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がキンタナやイギータを追い抜いてくるけれども、オコーナーのペースも落ちない!

オコーナーは2位に5分以上の大差をつけて、見事な独走勝利!!

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昨年のジロでのステージ勝利に続いて、これでグランツール2勝目!!

スタート前には総合で8分13秒遅れの総合14位だったけれども、この大逃げで一気に総合2位までジャンプアップに成功!

今シーズン、ツール・ド・ロマンディで総合6位、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合8位と絶好調のオコーナー、ツールでも躍進なるか大注目!

 

ステージ2位には追走から飛び出したカッタネオ、そしてステージ3位は…なんとコルブレッリ!?

いやいや、いくら「登れるスプリンター」とはいえ、何故そんなところに残っているの!?

「登れる」って、「スプリンターにしては登れる」という意味で、「山岳ステージでも生き残れる」という意味ではないでしょ!?

レース後のインタビューでは「チーム総合のために頑張った」みたいな事を言っていたけれども、コルブレッリはこの3位フィニッシュでスプリントポイントも15pt獲得。

まさか山岳ステージで、中間スプリントだけではなくフィニッシュでもポイントを加算するとは…。

 

そして、一時はオコーナーにバーチャル・マイヨジョーヌを奪われる程タイム差が広がっていたメイン集団も、ティーニュ峠ではUAEがしっかりペースアップを図り、差を詰めてくる。

そのUAEの牽引が終了すると、イネオス・グレナディアーズがペースを上げ、そしてそのままリチャル・カラパスが更にペースアップして抜け出しを試みる!

しかし、マイヨジョーヌを着るタデイ・ポガチャル(UAE)がしっかり反応、そして無慈悲なカウンターアタックを繰り出すと、ライバルは誰も付いていけない…!

前日に続き圧倒的な登坂力を見せつけたポガチャルは、そのまま30秒ほどにまでリードを広げてフィニッシュ。

強すぎる…。

 

ポガチャルが圧倒的な個の力を見せつけると同時に、オコーナーが2分1秒差の総合2位に突如食い込んできたことで、総合5分~6分遅れ辺りに固まっているライバル達は、まずオコーナーをなんとかしなければいけない展開に。

UAEが始めからこの展開を狙ってオコーナーを逃がしたのかは何とも言えないところだけれども、まあ上手い事コントロールしたなぁ…。

 

そして、山岳ステージで大逃げが決まった事で、メイン集団の後ろで遅れている選手たちはタイムアウトとの厳しい戦いを強いられる事に…。

イムリミットはオコーナーから37分20秒(優勝タイム+14%)。

31分37秒遅れで大きなグルペットがフィニッシュするけれども、この集団にはいないスプリンターがまだ結構いる…。

35分33秒遅れ、ナセル・ブアニ(アルケア)がフィニッシュ。

35分49秒遅れ、マイヨヴェールを着用するマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がなんとかフィニッシュにたどり着く。

最大の難所とも言えるステージを乗り切ったカヴェンディッシュは、チームメイトと熱い抱擁を交わしながら、まるでステージ勝利を上げたかのように喜んでいる。

イムリミットの5秒前、グレッグ・ファンアーベルマートAG2R)やヴィクトル・カンペナールツ(チーム・クベカ・ネクストハッシュ)などがギリギリ間に合う。

そして、タイムアウトとなる37分20秒が経過。

今大会最注目スプリンターの1人、アルノー・デマール(グルパマFDJ)が間に合わなかった…。

デマールの他にもブライアン・コカール(B&Bホテルズ・KTM)やジャコポ・グアルニエールグルパマ)など、合計7人がタイムアウトでツールを去る事に…。

 

何はともあれ、嵐のような展開の連続だった第1週目はこれで終了。

更なる波乱はあるのか、それともこのままポガチャルが王者として君臨し続けるのか。

2週目も楽しみにしていきたい。