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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第10ステージ

グリッチの戦い方とマイヨロホの行方

2週目の初日となる第10ステージは、最終盤までは平坦だけれども、残り16km地点に急勾配の2級山岳がそびえる、(多分)逃げ向きなレイアウト。

 

1時間以上のアタック合戦の末に出来上がった逃げは、31人と言うかなりの大所帯。

メイン集団を牽引するチーム・ユンボ・ヴィスマはかなり遅めのペースを刻み、この逃げに10分以上のタイム差を与える。

そして逃げ集団の中には、オドクリスティアン・エイキング(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ、総合9分10秒遅れ)とギヨーム・マルタンコフィディス、総合9分39秒遅れ)という、総合タイムで10分以内の遅れの選手がいるので、ユンボはプリモシュ・ログリッチのマイヨロホを一旦明け渡し、牽引の責任から逃れたいという事か。

 

ユンボの目論見通り、先頭集団はメイン集団に13分ほどのリードを保ったまま2級山岳の入り口に到着。

登坂の序盤で飛び出したのは、アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、マウリ・ファンセヴェナント(ドゥクーニンク)、クレモン・シャンプッサンAG2Rシトロエン)、ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)、マイケル・ストーラー(チームDSM)の5人。

更にそこから、山頂まで3km地点でストーラーがアタック!

第7ステージでも終盤での逃げ切りを決めたストーラー、またしても同じようなパターンでの勝利なるか!?

後方の追走集団では、エイキングとマルタンによるマイヨロホを狙った争いも勃発。

エイキングにタイム差を付ける必要があるマルタンがアタックを繰り出すけれども、エイキングも譲らずにしっかりと付いていく。

 

後続に40秒近くの差を付けて山頂を通過したストーラーの走りは軽快で、ダウンヒルも問題なくクリア!

後続は協調できていないのかタイムをあまり詰められず、ストーラーはそのまま単独でフィニッシュ地点へ!

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ストーラー、今大会2度目となる逃げ切り勝利!!

先月、プロ4年目にして初勝利を挙げた男が、まさかのブエルタで2勝!!

登りでの強さ、そしてその後の独走力と、その強さを改めて証明してくれた!

勝利による自信が更なる結果を呼び寄せる好循環に突入しているストーラー、残りのステージも期待できそうだ。

 

2位争いとなった追走集団はファンセヴェナントが先着。

そしてマイヨロホ争いは、エイキングがこの追走集団に入っていたのに対して、マルタンはそこから29秒遅れてのフィニッシュとなり、エイキングに軍配が上がる事に。

 

そして12分ほど後方のメイン集団では、2級山岳で予想外の動きが。

なんと、この日はマイヨロホを明け渡したい事もあって大人しくしていると思われていた総合首位のログリッチが、まさかのアタック!

この意表を突いた攻撃に誰も付いていけず、辛うじてエンリク・マス(モビスター・チーム)、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター)、セップ・クス(ユンボ)、ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)の4人が追走、イネオス・グレナディアーズのエガン・ベルナルとアダム・イェーツのコンビはさらに遅れての追走となってしまう…!

一発のアタックで全てを置き去りにしたログリッチはそのまま単独で山頂を通過、そのままダウンヒルも飛ばしていく!!

ダウンヒルである意味「不必要」なリスクのある踏みを見せていたログリッチは、J SPORTSの放送席が「ダウンヒル気を付けて…」と心配したその直後、コーナーでスリップして落車をしてしまう…!

幸い、ログリッチのダメージは少なそうでまたすぐ走り出したけれども、結局マスたちのグループに追いつかれてしまい、そのまま一緒にフィニッシュする事に。

まぁ、タイム差を付けようとアタックを繰り出したログリッチの姿勢は、素晴らしかったとは思う。

ただ、リスク管理はどうかしっかりと…。

今年のパリ~ニース、そしてツール・ド・フランスでも、落車で全てを失っているのだから…。