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【レース感想】エトワール・ド・ベセージュ2022

ベセージュで輝く新星

南仏を舞台に繰り広げられる、ヨーロッパでのステージレース開幕を告げるレースの一つであるエトワール・ド・ベセージュ。

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1クラスのレースながら、以下のように様々な脚質の有力選手が集結!

激坂フィニッシュ、1級山岳フィニッシュ、丘陵ステージ、個人タイムトライアルと、バラエティに富んだレイアウトなだけに、色々な選手の活躍が楽しめそうだ。

 

第1ステージ

平坦基調ながら急勾配の3級山岳が3回登場する周回コース、そしてフィニッシュはその激坂という、割と面白そうなステージ。

 

中継開始直後、いきなりアッカーマンなどを含む落車…。

そして妙に集団が慌ただしいと思ったら、横風分断だ…!

先頭に残れたのは、ガンナとカラパス、ファンアーベルマート、ピーダスン、ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)など、20人強のみ。

ガンナという強烈な機関車役だけでなく、カラパスなどのエース級も含めて回しまくっているこの先頭集団に対して、後続集団は30~40秒ほどのギャップを許してしまう。

そして結局、この差は最後まで埋まらず、ステージ勝利は先頭集団で争われる事に。

 

残り1kmからの急勾配区間に入ると、トタルエナジーズが先頭で3人のトレインを組んで主導権を主張。

残り600m辺り、ガンナに引き上げられているカラパスが地力では勝るかなと思っていたら、なんとカラパスが失速。

確かに、道中で踏みまくっていたのが気になってはいたけど、ちょっと意外過ぎる…。

その直後、トタルのトレインからクリス・ローレスが満を持して発射、そしてこの動きに反応したのはピーダスン!

ピーダスンは一気にローレスを追い抜くと、そのまま独走!!

逆にローレスは勢いを失い、チームメイトのエドワルド・ボアッソンハーゲンに抜かれているぞ…。

ピーダスンはそのまま余裕を持ってのフィニッシュ!!

元世界王者のピーダスン、その強さを見せつける完勝!!

タフなルーラーとして2019年にアルカンシェル獲得、その後意外にも(?)スプリントで勝利を量産、そして登りでも強さを見せつける…!

本当に、面白い選手だ。

そして、アシストとして働きまっくていたチームメイトのトマス・スクインシュの働きも素晴らしかった!

 

第2ステージ

前日と同じように激坂フィニッシュ、ただし最大勾配が12%、そしてラストに向けて勾配が厳しくなっていくレイアウトと、この日の方が難易度が高い感じ。

 

横風で荒れた前日とは打って変わって、総合リーダーであるピーダスンを抱えるトレックがメイン集団をコントロールして、4人の逃げを追いかけるというオーソドックスな展開に。

逃げ集団は、残り30km辺りから始まる2級山岳の途中でメイン集団に吸収される。

直後にレミ・ロシャス(コフィディス)が、登り終えての下りでセバスティアンライヒェンバッハ(グルパマFDJ)が抜け出しを図るけれども、この動きもあえなく吸収されて、集団はひと塊のまま残り1.6kmから始まるフィニッシュの激坂を迎える事に。

 

登坂の入り口で猛牽引を見せるのはUAE、続いてEFエデュケーション・イージーポスト、更にはアルケア・サムシックが集団を引っ張る格好。

残り500mを切ってアルケアのアシストが力尽きると、後方から(「アシスト選手の背中からでは無い」のがちょっと不思議なところ)コナー・スウィフト(アルケア)がもの凄い勢いで先頭へ。

その動きに即座に反応したのはボアッソンハーゲンとピーダスン、続いてアルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)やブライアン・コカール(コフィディス)もその背後に付いていく。

更に、昨年のツール・ド・ラブニール覇者であるトビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・サイクリングチーム)も駆け上がってくる中、踏みを強めて先頭へと飛び出したのは前日の勝者でリーダージャージを着るピーダスン!!

勢いよく踏み続けるピーダスンがそのまますんなり勝つかと思ったら、コカールが粘りの走りで食らいつき、残り100mを切ると横並びに!!

2人ともなかなか譲らずに踏み続ける熱い展開!!

最後の最後に僅かに前に出たのは…コカールだ!!

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激熱な激坂勝負を制したコカール、これが約1年半ぶりの勝利!

フィニッシュ後は倒れ込んで立ち上がれないぐらい、全力で踏み続けたコカール。

座り込んだまま見せた喜びを嚙みしめるような表情には、きっとここ数年あまり結果が出せなかった苦しみなんかが詰まっていたのだろう。

2015年にツール最終ステージのシャンゼリゼで2位に入った小柄なスプリンターは、まだ今年で30歳。

コフィディスに移籍した事が、そしてこの勝利が、輝きを取り戻すきっかけになる事を期待したい。

 

第3ステージ

終盤の2つの起伏が飛び出しを誘発しそうな、なんとも展開の予想が難しいステージ。

 

残り28km地点の2級山岳を超え、6人の逃げはメイン集団から僅か10秒強のリードという状態で、残り10km地点にあるカテゴリーなしの起伏(登坂距離2.4km・平均勾配6.5%)に突入。

逃げ集団で強さを見せたのは、19歳の新鋭マグナス・シェフィールド(イネオス)。

一緒に逃げていた選手を置き去りにして、1人黙々と先頭で踏み続ける。

ただ、メイン集団もペースを上げてじわじわと迫り、ラトゥールのアタックでさらに加速するとシェフィールドは飲み込まれてしまう。

主導権が入れ替わりながらハイペースで山頂を通過すると、生き残った人数は15人。

総合首位のピーダスンは…残っていなかった。

 

山頂通過直後、ダウンヒルで積極的に飛び出したのはバンジャマン・トマ(コフィディス)。

カラパスなど2名の選手が落車するトラブルもありつつ、このトマのアタックに反応できたのはベッティオールとヨハンネセンの2人のみ。

平坦区間に入るとしっかり協調した先頭の3人は、追走集団から10秒程のタイム差を稼ぐことに成功する。

このまま3人でスプリント勝負かと思った矢先、残り3km地点の緩い登りでトマがアタックを仕掛ける!

このアタックにかなりキレがあり、一発でギャップを作る事に成功!!

タイムトライアル巧者のトマはその持ち味を存分に活かし、フィニッシュまで独走!!

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積極的な動きを見せたトマ、鮮やかな快勝で総合首位の座に!!

そして、コフィディスは前日のコカールに続き2連勝!

昨年は僅か12勝だったが、この勢いで勝利を重ねられるか注目だ。

 

第4ステージ

登坂距離4.6km・平均勾配9.1%の1級山岳ブケ峠へとフィニッシュする、今大会のクイーンステージ。

 

ブケ峠突入の直前に全ての逃げが吸収され、いよいよ総合争いのゴングが鳴る。

登り口から積極的に集団を牽引するのは、イネオスのシェフィールド。

ハイペースを刻んで集団を縦に引き伸ばし、集団は人数を減らしていく。

シェフィールドの牽引が1km程で終了すると、先頭はEFのマグナス・コルトが牽き、その背後には総合2位のベッティオールが控える。

残り3.2km辺りからは、総合首位のトマを抱えるコフィディスのロシャスが前方でペースメイク。

ロシャスの後方に、総合首位のトマ、総合2位のベッティオール、総合3位のヨハンネセンが並ぶ格好になっている。

残り2km、少し勾配が厳しくなった地点でジェイ・バイン(アルペシン・フェニックス)がアタックし、その背中にヨハンネセンが張り付く!

少し遅れてアントニオ・ティベーリ(トレック)が追いかけ、更にはクレモン・シャンプッサンAG2Rシトロエン・チーム)も猛追を仕掛ける!

残り200mでシャンプッサンも追いつき先頭が4人になった直後、ヨハンネセンがアタック!!

ヨハンネセンはそのまま最後まで踏み抜き、先頭でフィニッシュ!!

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昨年のツール・ド・ラブニール覇者であるノルウェーの新鋭ヨハンネセン、嬉しいプロ初勝利!

第2ステージと第3ステージで連日ステージ3位に入っていたけれども、まさかクイーンステージで普通に勝ってしまうとは!

この選手も近年の傾向に乗って、頭角を現すのが早いかもしれない。

 

第5ステージ

最終日は、10.6kmの個人タイムトライアル。

第4ステージ終了時点で総合首位はトマ、総合2位がベッティオール(7秒遅れ)、総合3位がヨハンネセン(8秒遅れ)。

普通に考えれば、フランスの個人タイムトライアル王者であるトマがそのままリードを守りそうだけれども、ベッティオールも決してタイムトライアルが苦手ではない事、そしてフィニッシュ手前2.6kmから平均勾配5.8%の登り坂となっている事が、結果にどう影響するだろうか。

また、ヨハンネセンは今回がなんと人生で3度目のタイムトライアル出走との事で、果たしてどんな走りを見せてくれるだろうか。

 

総合優勝争いの前に、ステージ勝利争いでやはり最速のタイムを叩き出したのは、現役最速のこの男。

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世界王者の証であるアルカンシェルを身に纏うフィリッポ・ガンナ、貫禄の勝利!

流石と言うか、他に大物タイムトライアルスペシャリストが出場していなかった今回は、まあ負ける訳にはいかないと言ったところか。

 

ガンナに惜しくも7秒届かずステージ2位となったのは、第1ステージで勝利を挙げたピーダスン。

激坂フィニッシュを制し、更にはタイムトライアルでも好走と、本当に活躍の幅が広い選手だ。

 

そしていよいよ、総合上位3人の出走。

まずは、タイムトライアルの経験値がかなり少ないヨハンネセン。

…ん?

普通に悪くない走りに見えるぞ。

流石に好タイムと言う程ではないけれども、ガンナから34秒遅れのステージ15位でフィニッシュして、総合3位をキープ!

今大会、ラヴニール覇者という称号に恥じぬ活躍を見せてくれたヨハンネセン、今後のさらなる飛躍が楽しみだ!

 

続いて、7秒差でトマを追いかけるベッティオールが出走。

平坦区間をいいリズムで走り抜け、そして登りも悪くない!

ガンナから19秒遅れでステージ6位となるタイムを記録!

トマの走り次第では逆転の可能性も…?

 

そして最終走者、トマがスタート。

フランス王者の走りは…流石に速い!

平坦が早いのはもちろん、登りも必死の形相でリズムを崩さず登り切り、ステージ3位(ガンナから10秒遅れ)でフィニッシュ!

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タイムトライアルスペシャリストとしての意地を見せたトマ、これで見事に総合優勝!

しっかりとリードを守るどころかその差を広げ、文句なしの総合優勝だ!

 

惜しくも敗れて総合2位となったベッティオールは、ステージ勝利こそ無かったものの、全てのステージで10位以内に入るというもの凄い安定感を発揮。

昨年あたりから登坂力が向上している印象のあるベッティオール、2019年のロンド・ファン・フラーンデレン覇者という肩書に相応しい活躍を期待したい。

 

ヨハンネセンの衝撃

改めて、結果を振り返り。

 

  • 総合優勝:バンジャマン・トマ(コフィディス
  • 総合2位:アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)
  • 総合3位:トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・サイクリングチーム)

 

トマ、ベッティオールという実績のある選手に続いて、プロ1年目のヨハンネセンがステージ勝利を挙げつつ総合3位と言う衝撃。

流石、ラブニール覇者の冠は伊達じゃない。

何が出来て、どんな可能性があるのか、もっと見てみたい選手だ。

コフィディスに移籍して即結果を残したトマ、安定感のある走りを続けたベッティオールも、それなりの実績はありながらまだまだポテンシャルを発揮し切れていない選手と言う印象があるので、色々な場面で活躍を期待したい。

 

それでは、また!

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