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【レース感想】オンループ・ヘットニュースブラッド

その「異次元の脚質」はさらなる進化を見せるのか

春のクラシック開幕を告げる「オープニング・ウィークエンド」の一戦、オンループ・ヘットニュースブラッド。

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ヨーロッパでの本格的なシーズン幕開けという事で、当然ながら有力選手が多数出場。

「開幕戦」という事で各選手の調子が少し見極めにくい中、自分の予想がこちら。

シクロクロス世界選手権をスキップしてロードレースシーズンに合わせてきたファンアールト、昨年までも凄かったけれど今年は更に一味違うのではないかと…。

 

好天に恵まれながらも、気温8℃と寒空の下でレースはスタート!

序盤で形成された逃げは7人、メイン集団とのタイム差は最大で7分台。

メイン集団が活性化してきたのは残り70kmを切った辺りから。

マグナス・シェフィールドとベン・ターナーのイネオス若手コンビが抜け出しを試みたり、ジョン・デゲンコルブ(チームDSM)が残り55kmでアタックを仕掛けたりしてペースが上がると、ミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・イージーポスト)のような有力選手もポロポロと脱落し始める。

残り52km、ロイック・ヴリーヘン(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)とフロリアンフェルメールシュ(ロット・スーダル)の2人が、更には残り51kmでシュテファン・キュング(グルパマFDJ)がメイン集団からの抜け出しに成功。

3人は同一のグループとなり先頭集団を目指して、途中で逃げからこぼれた選手を吸収したりしながら、残り44km地点で先頭との合流に成功。

これで先頭は9人、メイン集団とのタイム差は約30秒にまで縮まっている。

 

残り35kmのレベルグの登りでは、ネイサン・ファンホーイドンク(ユンボ)がメイン集団を強烈に牽引して、絞り込みに掛かる。

メイン集団に負荷をかけたユンボはすぐさまに次の手を繰り出す。

残り31km、新加入のティシュ・ベノートがアタック!

優勝候補とも言える実力者ベノートの抜け出しを容認する訳にはいかず、ピドコック、ジョナタン・ナルバエス(イネオス)が反応し、更にはユンボのエースであるファンアールトもそこに付いていく。

少し遅れてコロブレッリも合流して、かなり強力な5人が揃った追走集団が形成される事に。

この5人は残り26kmで先頭集団に合流。

30秒程離れているメイン集団は主にクイックステップが牽引しているけれども、この時点でイヴ・ランパールトやアスグリーンに仕事をさせざるを得ない、なかなか苦しい展開に。

いつも集団の牽引とコントロールを担っているティム・デクレルクを病気で欠いているためか、ワンデーレースの王者もこの日は後手に回っている感がある…。

 

残り20km、ここまで積極的にレースを展開してきたユンボが更なる一手を放つ。

ベノート、この日2度目のアタック!

おお、ベノート、いい…。

凄くいいぞ…!

このベノートを追いかけなければいけない追走集団は、イマイチ協調できずにペースが落ちてしまい、カペルミュール突入直前の残り17kmでメイン集団に吸収される事に。

ベノートは25秒程のリードを持ってカペルミュールを1人で駆け上がる。

ただ、メイン集団はやはりここで「本気」になり、オリバー・ナーセン(AG2R)、アレックス・キルシュ(トレック)、キュングなどの牽引で猛烈に加速。

カペルミュールを抜けた直後にベノートは吸収され、この時点で集団に残れたのは20人ほどになっていた。

 

残す勝負所はあと一つ、今大会最大の勝負所と言えるボスベルグ

残り14kmから始まるこの石畳の登りに備えて、集団は一瞬落ち着いたように見えていた。

そして恐らく、殆どの視聴者もボスベルグでどんな戦いが繰り広げられるのかを、固唾を飲んで見守ろうとしていた。

そんな「隙」を見逃さなかった男がいた。

この日最大の優勝候補であるファンアールト、なんとボスベルグ突入直前の平坦な舗装路でのアタック!!

そのまま勢いを保ちながら単独でボスベルグに突入していく!!

ヴィクトル・カンペナールツ(ロット)とハインリッヒ・ハウッスラー(バーレーン)が慌てて追いかけるけれども、石畳の登りでファンアールトに敵う訳はない!

ボスベルグ終了時、ファンアールトと集団のタイム差は約10秒。

世界最高クラスの独走力を誇るファンアールトと、人数を残した集団による追いかけっこ。

集団が協調できれば追いつける気もするけれども…。

残り8km、タイム差は19秒。

残り5km、タイム差は26秒。

徐々に広がるタイム差。

残り3.7kmで30秒にまで広がり…もうこの展開なら間違いない、逃げ切りだ。

残り100mからは少し脚を緩め、余裕のフィニッシュ!!

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春のクラシック開幕戦、ファンアールトが鮮やかな独走勝利!!

虚を突いたアタックのタイミングと威力、そしてそこからの独走はまさに圧倒的!!

チームとしても、ベノートによる再三の攻撃にファンホーイドンクやマイク・テウニッセンの働きと、素晴らしい連携を見せていた。

昨年までワンデーレースではチーム戦力の割に機能していなかったユンボ、そしてリスクを恐れてか少し消極的にも見えたファンアールトの走りが、明らかに変化している。

今シーズンのファンアールトは、更に一段階進化した姿を見せてくれるかもしれない。

 

2位争いとなった集団は、コロブレッリ、ファンアーベルマートと、順当と言える着順でフィニッシュ。

これでファンアーベルマートは通算5回目の表彰台、相変わらずもの凄い安定感だ…。

 

春のクラシック開幕戦オンループ・ヘットニュースブラッド、良いレースだった!

ここから続くワンデーレース、そのステージレースとは違った緊張感を存分に楽しんでいきたい!

それでは、また!

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