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【レース感想】リエージュ~バストーニュ~リエージュ2022

手負いの狼集団

春のクラシックシーズンの締めくくりとなる、「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」ことリエージュ~バストーニュ~リエージュ

絶えずアップダウンが続くこのレース、総合系の選手も含めた登坂力を有する選手が集結!

  • 苦しむチームを救えるか、世界王者のジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)
  • 過去に4度の優勝、翌日に42歳の誕生日を迎えるアレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
  • その登坂力をワンデーレースでも活かせるか、今シーズン好調のダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ
  • 以外にも初出場、小集団スプリントなら圧倒的有利なワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
  • ラ・フレーシュ・ワロンヌ制覇で波に乗るディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス
  • 急遽未出走となったタデイ・ポガチャルの代役と呼ぶのは失礼か、2020年に2位の実績があるマルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ

ポガチャルにプリモシュ・ログリッチユンボ)という直近2年の優勝者がいないとは思えない、いいメンバーだ。

チーム全体の力が強そうなのは、バーレーンとイネオスか。

特にバーレーンは、トゥーンスの他にダミアーノ・カルーゾ、ジャック・ヘイグ、ミケル・ランダ、マテイ・モホリッチ、ワウト・プールス、ルイスレオン・サンチェスと、誰が勝っても不思議ではない、超豪華布陣!

バーレーン、もう完全に強豪チームだな…。

 

この日の逃げはブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)を筆頭に11人、メイン集団とのタイム差は最大で6分半ほど。

メイン集団はクイックステップバーレーンがコントロール、中盤以降はペースアップして逃げとのタイム差を着実に詰めていき、そして逃げは続々と脱落者が出る厳しい展開に。

 

残り60kmを切った辺り、メイン集団で事件が発生。

道幅が狭い下り坂で、かなりの選手が巻き込まれる大落車が…。

EFエデュケーション・イージーポストは5人以上が地面に投げ出される大惨事、そして道路脇に激しく投げ出されたアラフィリップが立ち上がれない…。

そのままリタイアとなったアラフィリップは、肩甲骨と肋骨の骨折に加えて外傷性の気胸という、かなりの重傷を負ってしまった…。

この落車でメイン集団は一旦人数を40人ぐらいまで減らしたけれども、10kmほど走ると結構な人数が復帰してきて、最終的には80人前後に。

 

そんな中、大落車に誰も巻き込まれなかったバーレーンは、残り43km辺りからレースを動かし始める。

グランツール総合表彰台経験者であるランダとカルーゾによる波状攻撃で、集団を絞り込んでいく!

残り35km辺りからは2016年の覇者プールスによる抜け出しと、主導権を握るために動き続ける!

これは、ラ・フレーシュ・ワロンヌに続いてバーレーンが思い通りのレース運びとなるのか…?

 

残り31kmから始まる「コート・ド・ラ・ルドゥット(登坂距離2.1km・平均勾配8.9%)」、逃げ集団はアルミライルが他の選手を置き去りにして独走、メイン集団とのタイム差は1分ほど。

一方のメイン集団はエースを失ったクイックステップの2人、マウリ・ファンセヴェネントとレムコ・エヴェネプールが先頭に。

ファンセヴェナントがかなり速いペースを刻む中、エヴェネプールがとんでもない加速を見せて発射!

エヴェネプールの踏みは強烈で、唯一反応したEFのニールソン・ポーレスもすぐに引き離される!!

現役随一の独走の名手エヴェネプール、これは勝ちパターンでは…!?

エヴェネプールはそのまま逃げ遅れの選手を次々ぶち抜いていき、あっと言う間に先頭のアルミライルに合流。

そしてアルミライルがローテーションせず「付き位置」をキープするのもお構いなしに、そのまま踏み続けてメイン集団とのタイム差を稼ぎに掛かる!!

残す大きな登りは最大の勝負所「コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(登坂距離1.2km・平均勾配11%)」、そこまでにどれだけのタイム差を作れるかが勝負だ!

 

残り15km、いよいよエヴェネプールとアルミライルがコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコンに突入。

メイン集団とのタイム差は40秒弱、これは…逃げ切りも充分あり得るぞ!

エヴェネプールはアルミライルを振り切って独走を開始!

一方のメイン集団は…少しペースが緩んでいないか…?

結局メイン集団は目立ったアタックやペースアップはないままこの勝負所を登り終えてしまい、エヴェネプールとのタイム差は依然30秒以上。

更に、メイン集団はエース級ばかりになった事が災いして、牽制気味に。

エヴェネプールがペースを崩したり何かトラブルが無い限り、逃げ切りが濃厚になってきたぞ!!

 

追いかけるメイン集団では、残り10.5km辺りの起伏でトゥーンスがアタックを仕掛けると、ファンアールトが脱落。

残り8.6kmではアレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)が一旦抜け出すけれども、この動きも結局吸収される。

そして、集団は一旦脱落したファンアールトやヤコブ・フルサン(イスラエル・プレミアテック)が合流できるほどにペースが落ちている!

一方、先頭のエヴェネプールは快調に踏み続ける!!

 

残り3kmを切るとエヴェネプールは勝利を確信、カメラに向かって小さくガッツポーズを見せる!!

エヴェネプールは45秒ものタイム差をもって残り1kmのゲートを通過!!

無線でチームメイトに勝利を伝え、そして感極まった様子でフィニッシュラインへ!!

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エヴェネプールによる圧巻の独走劇!!

弱冠22歳の若者が、苦境のウルフパックを救う価値あるモニュメント制覇!!

今シーズンのクイックステップは、多数の離脱者が出た影響もあり、お家芸である春のクラシックで結果を残せていなかった。

そしてこの最終戦でも、エースであるアラフィリップを途中で失う苦しい展開だった。

それでも、エヴェネプールが勝つ。

チームメイトのアシストを受け、自らの強みを最大限活かして、勝ち切る。

改めてエヴェネプールの能力の高さ、そしてクイックステップの底力を目の当たりにした、そんなレースだった。

エヴェネプールが蒼き狼軍団の中心人物として、今後どんな走りを見せてくれるのか楽しみにしていきたい。

 

2位争いとなった後続集団のスプリントでは、圧倒的有利と思っていたファンアールトがクエンティン・ヘルマンス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)に先着を許すと言う、まさかの波乱も。

ヘルマンスもファンアールト同様シクロクロス出身の選手、そして2021-2022シーズンで好調だったとは言え、まさかモニュメントでの2位は全く予想していなかった…。

そして敗れたファンアールトは、流石に登りで消耗しすぎたか。

ただ、来年以降リエージュ~バストーニュ~リエージュも狙える可能性があると分かったのは、大きな収穫かな。

 

「激動」の春のクラシックシーズンが終了

リエージュ~バストーニュ~リエージュ、モニュメントの一角に相応しい、そして春のクラシックシーズンの締めに相応しい、素晴らしいレースだった!

そして、クラシックの盟主たるクイックステップのここまでストーリーが、より一層素晴らしいものにしてくれたと思う。

エヴェネプールよ、君はどこまで行くのか。

才能と情熱あふれる若者の未来に、幸多からんことを。

 

さあ、クラシックが終わったらグランツールだ!

まずは5/6から始まる、美しきジロ・デ・イタリア!!

一体どんなストーリーが綴られるのか、存分に堪能していきたい!!

 

それでは、また!!

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