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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2022 第4ステージ

逃げと総合、エトナ山での2つの争い

ハンガリーからイタリアへと舞台を移しての初日は、エトナ山への山頂フィニッシュ。

登坂距離22.9km・平均勾配6%という長い登坂で、一体どのような展開が繰り広げられるか。

 

この日の逃げは、レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)、マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル)、フアン・ロペス(トレック・セガフレード)、レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)、レミ・ロシャス(コフィディス)、シルヴァン・モニケ(ロット・スーダル)など、かなり良いメンバーが揃った14人。

メイン集団は逃げに最大で10分以上のタイム差を与え、エトナ山の入り口辺りでも未だに7分近くのタイム差と、完全に逃げ切り容認モードだ。

 

残り28km、エトナ山の登坂が本格的に始まる前に逃げから飛び出したのはステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス)。

最大で45秒程のリードを作ったオルダーニだったけれども、本質的にクライマータイプではない事もあって徐々にペースダウン。

残り12km、第2集団からフアン・ロペスが勢いよく飛び出すと、そのまま一気にオルダーニを抜き去り単独での先頭に躍り出る。

フアン・ロペスの踏みはオルダーニと違ってかなり軽快で、そのまま逃げ切る可能性すらあり得るように見える。

残り8km、オルダーニを飲み込んだ第2集団ではケムナがアタック、対応できたのはファンセヴェナントとモニケの2人のみ。

それでも先頭のフアン・ロペスとのタイム差はまだ30秒以上あったけれども、残り6.5km辺りでケムナが再度アタックを仕掛け、単独でフアン・ロペスとの差を詰めに行く!

第1ステージでも最終盤での抜け出し、第2ステージの個人タイムトライアルでも8位と好調のケムナは、残り2.5kmで遂にフアン・ロペスに追いつく事に成功。

後方では一度遅れたはずのタラマエがペース走法に切り替えて追いかけて来るけれども、その差は30秒以上。

ステージ勝利争いは先頭の2人に絞られる格好に。

 

フアン・ロペスとケムナは何か言葉を交わて協調する様子も見せつつ、残り1kmからはケムナの先頭固定で距離を消化。

フィニッシュ手前の180度ヘアピンコーナー、勝負の行方を左右しそうなこの大事な局面で、フアン・ロペスが進入角度を誤りバランスを崩してしまう痛恨のミス…!

最後はケムナが余裕を持ってのフィニッシュ!!

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山岳逃げ切りの名手ケムナ、本領発揮の見事な逃げ切り勝利!!

2020年のツール・ド・フランス第16ステージ以来、2度目となるグランツール勝利!

ここまでのプロキャリアで、ワールドツアーでの勝利は全て山岳ステージでの逃げ切りと、そのものすごい偏りっぷりには、もはや脱帽…!

安定して勝つ事が難しいであろう逃げでこれだけ結果を残すのは、本当に凄いと思う。

 

そして、惜しくも敗れたフアン・ロペスは、総合首位に躍り出てマリア・ローザを獲得!

ステージ勝利を飾れなくてかなり悔しがっていたのが一転、チームメイトと歓喜の抱擁を交わす!

昨年から開花の兆しを見せている若手クライマー、頑張りが報われて何よりだ。

 

一方、メイン集団はイネオス・グレナディアーズのペーシングにより、登坂の途中で脱落者も…。

特にチーム・ユンボ・ヴィスマは、トム・デュムランが早々に脱落してメイン集団から約6分30秒の遅れと致命的なタイム差、トビアス・フォスとサム・オーメンも2分以上のタイムロスと、壊滅的な状況に…。

また、この日ミゲルアンヘル・ロペスが怪我でリタイアしていたアスタナ・カザクスタン・チームも、ヴィンチェンツォ・ニバリが2分以上の遅れ、ダヴィ・デラクルスに至っては20分以上の遅れと、こちらも既にかなり厳しい状態に…。

 

デュムランやニバリと言ったジロ優勝経験のある実力者がこんな段階で脱落するのは寂しい気持ちもあるけれども、これが勝負の厳しさ…。

今後のステージで、逆に自由にステージを狙う姿などに期待したい。