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【レース感想】ツール・ド・フランス2022 第1ステージ

雨のコペンハーゲン

ロードレース界最大のイベント、ツール・ド・フランスが開幕!

まずはデンマークでの3日間、初日はコペンハーゲンの美しい街並みを駆け抜ける個人タイムトライアルステージ。

13.2kmという短距離でド平坦なので難易度が低そうに見えるけれども、割とコーナーが多くてテクニカルなレイアウト、そして予報通りの雨模様で、これが結果にどのように影響するか…。

 

時間が経つにつれて雨脚が強まる予報の為、有力選手は軒並み序盤から中盤にかけての出走に。

まずは8番出走で、この日の優勝候補の1人であるシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)がスタート。

ただ、ビッセガーは雨でスリッピーになった路面にてこずり、なんと2度もの落車…。

そういえば昨年のツールも、雨の個人タイムトライアルでコーナーでスリップしていたような…。

 

そんな中、いち早くターゲットタイムを叩き出したのはマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)。

オフロードで鍛えられたそのバイクコントロールテクニック、そしてコーナーからの立ち上がりで加速する出力と、その持ち味を存分に発揮。

このファンデルプールのタイムをプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)も上回れず、「天候次第ではこのままファンデルプールのステージ勝利、そしてマイヨジョーヌ獲得か…?」なんて思っていた頃、この日最大の盛り上がりどころがやって来る。

 

64番手出走フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)、65番手出走ワウト・ファンアールト(ユンボ)、66番手出走タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)と、大注目の3人が連続してスタート。

 

まずは世界王者ガンナ

…ん?

中間計測は意外と伸びていない?

それでもフィニッシュタイムはファンデルプールを2秒更新とさすがの走りと思ったけれども、どうやらガンナはスローパンクに見舞われていた模様。

残念であると同時に、それでファンデルプールを上回り、最終的にはステージ4位に入るのか…という衝撃。

 

続いて、ベルギー国内選手権を膝のケガのために回避したファンアールトがスタート。

こちらもガンナ同様に中間計測はファンアールトから少し遅れるけれども、その後は快調なペースを維持(ファンデルプールが若干前半に突っ込んでいた形か)。

フィニッシュタイムはガンナを5秒上回り、ファンアールトが暫定首位でホットシートへ!

 

そして、今年も総合優勝の大本命であるポガチャル。

雨とか、テクニカルな路面とか、そんなものはポガチャルの妨げには…ならなかった。

ファンアールトから2秒遅れ、総合勢トップとなる暫定2位のタイムでのフィニッシュ。

強い。

それしか言えないわ。

 

その後、ファンアールトに迫るような選手もなかなか現れず、これは決まったかと思った辺りで、大きな番狂わせが…。

105番出走、イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル)。

クイックステップが誇る強かな狼は、コーナーを巧みに攻め、バーチャル計測でファンアールトを上回りながらフィニッシュへと近づいていく!!

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ランパールトはトップタイムを5秒更新!!

自身も「夢にも思わなかった」と語る、涙のツール初勝利!!

これは驚いた!!

いや確かに、今シーズンはバロワーズ・ベルギー・ツアーの個人タイムトライアルで勝利、昨シーズンもベルギー国内選手権であのレムコ・エヴェネプール(クイックステップ)を破っていたけれども、ランパールトのステージ勝利を予想できた人は殆どいないのでは?

チーム在籍8年目、そして地元ベルギー出身というチームの中核を担うランパールト、今シーズン苦しんでいるチームに最高のツール開幕をもたらした!

 

そして注目の総合争いは、やはりと言うか…もはや当然のようにポガチャルがトップタイム。

主要総合勢のタイム差は大体こんな感じに。

  • ポガチャル(総合勢トップ)
  • ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ、+8秒)
  • グリッチ(+8秒)
  • アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、+15秒)
  • ゲラント・トーマス(イネオス、+17秒)
  • アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ、+27秒)
  • ダニエル・マルティネス(イネオス、+36秒)
  • ロマン・バルデ(チームDSM、+38秒)
  • ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック、+41秒)
  • ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ、+42秒)
  • ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、+43秒)
  • ヤコブ・フルサン(イスラエル・プレミアテック、+47秒)
  • ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン、+47秒)
  • エンリク・マス(モビスター・チーム、+48秒)
  • ベン・オコーナー(AG2Rシトロエン、+53秒)
  • リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト、+1分06秒)

上位3人は完全に想定内。

アダム・イェーツがトーマスより上にいるのは、アダム・イェーツが良いという意味でもトーマスが悪いという意味でも、ちょっと予想していなかった…。

とりあえず、ウラソフぐらいまでは上手く纏めたと言っていいかな。

逆に、キンタナの+41秒より遅かった選手は…キンタナが思ったほど悪くなかった事を差し引いても、いきなり大きなビハインドに…。

 

ただ、まだツールは開幕したばかり。

総合争いはまだまだこれからだ。

残りの20ステージ、まずは大きなトラブルなく、その上で手に汗握るような激戦が繰り広げられる事を期待したい。