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【レース感想】ツール・ド・フランス2022 第9ステージ

鮮やかな復活劇!!

中盤以降に1級山岳が2つ登場するけれども、総合争いよりは逃げ切りになりそうなレイアウト。

 

ステージ勝利だけでなく山岳賞争いも絡んだ事で、アクチュアルスタートからなかなか激しいアタック合戦に。

1時間ほどのやり合いを経て、出来上がったのは22人という今大会最大の逃げ集団。

ブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ)にジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアーズ)という総合系チームのアシスト、ボブ・ユンゲルス(AG2Rシトロエン)、シモン・ゲシュケ(コフィディス)、ヨン・イサギレ(コフィディス)、ルイスレオン・サンチェスバーレーン・ヴィクトリアス)などの逃げ巧者、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)にリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)という総合の実績がある強者、そしてマイヨヴェールのワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)など、もの凄く強力なメンバーが揃っている。

と言うか、またファンアールトか。

マイヨジョーヌからマイヨヴェールに着替えても、相変わらずやりたい放題だな…。

ファンアールトはそのまま中間スプリントポイントを楽々と(いや、そもそもこの逃げに乗るのは決して楽ではないか…)先頭通過して、マイヨヴェール街道をひた走る。

 

メイン集団を牽引するのは、マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャルを擁するUAE(マクナルティが逃げに乗ったけど…)。

総合16位(3分24秒遅れ)のウランが逃げに乗ったため、逃げにあまり大きなタイム差は与えないまま、レースを展開させる。

 

4級山岳と2級山岳を越えてから登場するこの日1つ目の1級山岳では、ユンゲルスがかなり早めのアタックを敢行!

この動きを追いかけるのは、手前の2級山岳で3ptの山岳ポイントを獲得していたゲシュケ。

ゲシュケは目論見通り1級山岳の先頭通過に成功すると、無理をせず後方の追走集団に戻る事を選択する(ゲシュケは続く1級山岳でもポイント獲得に成功して、山岳賞争いでトップに立つ事に)。

その一方で、ユンゲルスはそこからペースを緩めずに単独逃げを続行!!

ダウンヒルをハイスピードでかっ飛ばし、山頂で2分30秒あったメイン集団とのタイム差を、最後の1級山岳突入時には3分20秒にまで広げている。

 

ユンゲルスが淡々と自分のペースで登り続ける一方、2分遅れで1級山岳に突入した追走集団からは、ピノが勢いよく飛び出してユンゲルスを追いかける!

ピノがユンゲルスとのタイム差をじわじわと縮め、そしてそのピノカストロビエホとカルロス・ベローナ(モビスター・チーム)が追いかけるけれども、こちらはなかなかその差が詰まらない。

ユンゲルスにピノ、共に復活を期す人気選手による激熱の勝負…!

この1級山岳を越えると、残すは短いダウンヒルと、フィニッシュに向けた4kmほどの緩い登り。

ここで追いつかせなければ脚質的にユンゲルスに圧倒的有利と思われる中、ピノは…20秒差まで詰めるけれども追いつかない!

そしてユンゲルスはまたしてもダウンヒルをかっ飛ばしていき、最後の登坂に入るまでにタイム差を30秒に広げる事に成功!!

ユンゲルスは表情を歪めながらも、力強くマイペースで登っていく!

対するピノは無理をしすぎたのか若干ペースダウン、逆に後方からカストロビエホとベローナが迫ってきている…!

ユンゲルスは残り300mを切って後方を確認、まだライバルの姿は見えない!!

最後は脚を緩めながら歓喜の表情で両腕を広げ、そして渾身のガッツポーズ!!

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60kmの独走!!

ユンゲルス、完全復活を告げる4年振りのワールドツアー勝利!!

そして、これが嬉しいツール初勝利!!

2016年と2017年にはジロで総合トップ10入り(2017年はヤングライダー賞獲得)、そして2018年にはモニュメントの一角リエージュ~バストーニュ~リエージュを制した多彩なオールラウンダーは、ここ数年不振に喘いでいた。

昨年、その原因が「腸骨動脈内線維症」という脚への血流が阻害される病気だと判明して、東京オリンピック参加を見送ってまで手術を受ける事を選択。

そして迎えた今シーズン、ツール・ド・スイスで総合6位、そして今大会も初日の個人タイムトライアルで12位と、明らかに調子を取り戻してはいた。

そして見せた、この日の快走。

なんと鮮やかで力強い独走だったか。

なんと晴れ晴れとした表情での、美しいフィニッシュだったか。

なんと鮮やかな復活劇だろうか。

おめでとう、ユンゲルス。

数年の空白期間があったけれどもまだ29歳、これからいくつもの勝利をページに刻むための時間はまだたっぷりとある。

君の物語の新章はここからだ。

 

ユンゲルスから遅れる事40秒、カストロビエホとベローナに抜かれたピノがフィニッシュ。

ユンゲルス同様、こちらもここ数年は苦しい時期を過ごしてきた選手だけれども、1級山岳での登坂は、復活を予感させるには十分すぎるものだったと思う。

2週目以降も、ステージ勝利を目指して頑張れ!

 

そしてピノがフィニッシュしたと思ったら、いつの間にかそのすぐ後ろまで迫っていたメイン集団…と言うか、思いっきりスプリントをしているポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)が画面に飛び込んできた!?

総合1位のポガチャルと総合2位のヴィンゲゴーは、後続に3秒のタイム差をつけてフィニッシュ!!

このフィニッシュレイアウトで仕掛けたポガチャルもえげつないけれども、しっかり反応したヴィンゲゴーもこれまた凄い…。

休息日を挟んでの2週目、現時点で今大会総合の2強である2人、そして他のライバルがどのような走りを見せてくれるのか、楽しみにしていたい。