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【レース感想】ミラノ~サンレモ2023

怪物の一撃!

ヨーロッパのレースシーンに春を告げる「ラ・プリマヴェーラ」ことミラノ~サンレモ。

シーズン一つ目のモニュメントという事で、当然各チームから精鋭が集結!

  • またしても必殺のダウンヒルが炸裂するか、昨年の覇者マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス
  • 2020年の覇者、異次元の万能性を有するワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)
  • 規格外の出力で全てを捻じ伏せる「怪物」マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)
  • 現役最強の総合系選手ながら、ワンデーレースでも衝撃の走りを見せるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ
  • 2019年の覇者、鮮やかなアタックが魅力のジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ
  • スプリント力と登坂力のバランスが光る、元世界王者のマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード

他にも、ヤスペル・ストゥイヴェン(トレック)、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)と言った過去の優勝者や、カレブ・ユアン(ロット・デスティニー)、サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)、ペテル・サガントタルエナジーズ)などのスプリンター陣も、やはり充実のメンバー。

終盤に訪れる勝負所のチプレッサとポッジオで、果たして今年はどんな展開が待ち受けているのか。

 

全長約300kmにも及ぶ最長のレースがいよいよスタート!

この日の逃げは9人、そしてメイン集団を牽引するのはユンボとトレックのアシスト選手。

メイン集団は逃げ集団にあまり大きなタイム差を与えず、最大でも3分台のタイム差で集団をコントロール

目立ったトラブルもなく距離を消化していき、気が付けば勝負所を前にした足慣らしの場とも言える3連起伏「トレ・カーピ」に突入。

この辺りからタイム差はゴリゴリと削れていき、そして逃げ集団とメイン集団の両方から脱落者も出てくる。

 

チプレッサの入り口辺りで逃げは全て吸収されて、いよいよ集団は本格開戦の緊張感に包まれる。

チプレッサではポガチャルを擁するUAEがペースアップを敢行して、ピュアスプリンターは脱落していく展開に。

ただ、そこまで厳しい絞り込みと言う感じではなく、ピーダスンやユアンと言ったある程度登坂耐性のあるスプリンターはまだまだ生き残ったままチプレッサを越えて行く。

 

そこから大きな動きはないまま、最後の勝負所であるポッジオに突入。

集団を牽引するのは、意外にもバーレーンのトレインだ。

ポッジオの狭い登り口、モホリッチ、ポガチャル、ファンアールト、ファンデルプールといった有力選手はしっかりと集団の前方をキープ。

そして、昨年は4度ものアタックを仕掛けていたポガチャルが、ここまでは意外と大人しい…?

と思っていたら、ティム・ウェレンスがポガチャルを連れてペースアップ!

ヘアピンコーナーが続いて集団が引き伸ばされるタイミングを狙っていたのか…!!

更に、UAEは10番手辺りにつけていたマッテオ・トレンティンが故意にペースダウン、集団は綺麗に分断される事に!

そしてその直後、満を持してポガチャルがアタック!!

このポガチャルの動きに真っ先に反応したのは、なんと重量級のフィリッポ・ガンナ(イネオス)!?

更にはファンアールトとファンデルプールが続き、ポガチャル、ガンナ、ファンアールト、ファンデルプールの4人が抜け出す格好に!!

 

スプリントでは勝ち目が無いのでひたすら踏み続けるポガチャル、しかし後ろの3人は離れず付いて来る。

そしてポガチャルの脚が少し緩んだ瞬間、ファンデルプールが猛然と加速!!

とんでもない勢いで飛び出したファンデルプールを、誰も追いかけられない…!!

ファンデルプールはそのまま3秒程のリードを作ってポッジオの頂上を通過、このまま逃げ切れるか…!?

 

テクニカルなダウンヒルでタイム差はあまり動かず、しかしここから、後続の3人はイマイチ協調が出来ず、ペースが上がらない。

一方のファンデルプールは、後ろを振り返らずにひたすら踏み続ける!!

残り1km、タイム差は…6秒!!

ここでの6秒は大きい!!

そして追走の3人は遂に諦め、2位狙いの牽制モードに…!!

ファンデルプールは踏む!

最終コーナーまでしっかり踏み続ける!!

 

残り300m、ファンデルプールが大きく振り返って後方を確認。

追走の3人は10秒以上後方、ファンデルプールは勝利を確信して頭を横に振る!!

大きなガッツポーズを見せながら、悠々とフィニッシュラインへ!!

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怪物ファンデルプールによる、不可避の一撃!!

見事なカウンターアタック一発で、鮮やかに勝って見せた!!

あのアタックは、カッコ良すぎるだろ…!!

分かっていても止められない。

ポガチャルも、ファンアールトも、ガンナも、反応すらできない。

これぞ「怪物」。

やはりその暴力的とまで言える圧倒的な力は、特別な衝撃を与えてくれる、唯一無二の存在だ!

 

そして後続の2位争いでは…、なんとガンナが残り250mからロングスパートを敢行!!

ガンナがそのまま逃げ切り2位、ポガチャルはアタックで力を使い果たしたのかあまり踏み込めず、ファンアールトが3位に。

地元イタリアの期待を背負ったガンナが見せた最後の底力、そしてポッジオでポガチャルのアタックに反応した意外とも言える登坂力、どちらも素晴らしかった!

 

これぞミラノ~サンレモ!

いや~、今年もミラノ~サンレモは面白かった!!

もはや「スプリンターズ・クラシック」ではなくなった感もあるけれども、とにかく最終盤における面白さの凝縮具合は、やはり群を抜いている!!

ポガチャルが仕掛け、意外にもガンナが反応し、ファンデルプールとファンアールトという大本命2人もしっかりと付いていき、そして最後は鮮やかなアタック一閃…!

誰かが台本を書いたのかと思うぐらい、「そりゃ面白くなるに決まっているでしょ!」という展開は、本当に素晴らしかった!

そして、ファンデルプールとファンアールトはしっかり体をロードレース仕様に戻して、ポガチャルは相変わらずアグレッシブで、更にはガンナが新境地を見せ…。

春を迎えたロードレースシーズン、これからも本当に楽しみで仕方がない。

3/20から始まるボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ、そしていよいよ幕を開けるフランドル・クラシック、思いっきり楽しんでいこう!

 

それでは、また!!

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おまけ

今日の1枚

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今日もファンデルプールは座り込む