4年振りのジロ勝利!
第11ステージは、3つ登場するカテゴリー山岳の難易度が3級・3級・4級と低く、集団スプリントが予想されるレイアウト。
スーダル・クイックステップが前日のレムコ・エヴェネプールに続いて、マティア・カッタネオ、ヨセフ・チェルニー、ヤン・ヒルト、ルイス・フェルヴァーケの4人が新型コロナウィルスのためにリタイア、そして他のチームにも複数の離脱者が出ている、ちょっと大変な状況でのスタートに…。
この日の逃げ6人に対して、トレック・セガフレードやアスタナ・カザクスタンチームやバーレーン・ヴィクトリアスなどのスプリンターチームが牽引するメイン集団は、4分強のタイム差を容認。
過酷なサバイバルレースになった前日と違い、先頭集団もメイン集団もどこか平和な雰囲気が流れる中、2つ目の3級山岳を越えた先のダウンヒル区間で、事件が起きてしまう。
メイン集団の中で、雨で濡れた路面で自転車を滑らせてしまったアレッサンドロ・コーヴィ(UAEチームエミレーツ)を起点として、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)、そしてイネオス・グレナディアーズの選手が大量に落車してしまう。
総合首位のゲラント・トーマス(イネオス)と総合2位のログリッチはダメージがほぼ無かったようで即座に再スタートしたけれども、総合3位のテイオ・ゲイガンハート(イネオス)が立ち上がれない…。
ゲイガンハートは股関節部分を骨折してしまい、そのまま救急車で病院に直行。
イネオスとしては、好調だったダブルエースの一角を失うかなりの痛手だっただけでなく、落車に巻き込まれたパヴェル・シヴァコフ(スタート時点で総合8位)も大きくタイムを落とす事になってしまう、まさに悪夢のような出来事に…。
また、なんとかこの日は完走したコーヴィも、仙骨骨折の疑いでリタイア。
更には、その少し先の区間ではオスカル・ロドリゲス(モビスター・チーム)がコースアウトして壁に激突してしまい、こちらも即時リタイア。
新型コロナウィルスだけでなく、落車でも次々と選手が離脱していくのは、少し見ていて辛い部分も…。
ショッキングなアクシデントがあってももちろんレースは続き…、レースに動きがあったのはこの日最後のカテゴリー山岳となる4級山岳。
フィリッポ・ザナ(チーム・ジェイコ・アルウラー)がメイン集団のペースを上げ、登りが苦手なピュアスプリンターをふるい落としに掛かる。
ただ、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ)やジョナサン・ミラン(バーレーン)はしっかりと生き残り、この日の集団スプリントに参加できない有力スプリンターは、体調不良でレース序盤から遅れていたカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)のみという状況で、4級山岳を越えていく事に。
最後まで逃げ残っていたローレンス・レックス(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が残り5kmでメイン集団に捕まり、集団はスプリントに向けてペースアップ。
しっかり人数を揃えているのはトレックとバーレーン、他のチームはエースが単騎だったりアシストが残り1枚だったりと、少し不安がある状況か。
残り2kmを切って、集団の中ほどで落車が発生。
フィニッシュまで3km以内の救済措置区間なので総合勢に影響はないけれども、フェルナンド・ガビリア(モビスター)はここでスプリントへの参加権を失ってしまう。
残り1km、トレックの隊列が集団の最前列を奪い、その後ろにはアスタナ、バーレーン、ジェイコ、チームDSM、UAE辺りが控える格好。
どこもアシストを減らしていて、そこから集団の先頭が目まぐるしく変わる中、真っ先に仕掛けたのはマッズ・ピーダスン(トレック)、ただ…残り300mは早すぎないか!?
ピーダスンの背中にはカヴェンディッシュ、アッカーマンと続く!
残り100m、ピーダスン、カヴェンディッシュ、アッカーマンの3人は横一線!
ピーダスンはやはり仕掛けが早すぎたのか失速、カヴェンディッシュとアッカーマンの一騎打ちかと思いきや、後方からはミランがラインを大胆に変えながらとんでもない勢いで突っ込んでくる…!!
最後はハンドルの投げ合い、際どいぞ…!!
ん!?
あまりに接戦に、フィニッシュ直後にアッカーマンとミランの両者が手を挙げる…!?
写真判定の結果、競り勝ったのは…アッカーマン!!
今季未勝利だったアッカーマン、4年振りとなるジロでのステージ勝利!!
ここ数年は結構深刻な不振、更に昨年は尾てい骨の骨折と、苦しんでいたアッカーマン。
しかしこの日のスプリントは、ステージ2勝を挙げてマリア・アッズーラを獲得した、2019年のジロを彷彿とさせる素晴らしいもの!
そしてアッカーマンと言えば、やはりこのはじけるような笑顔!
いや~、見ているこちらが嬉しくなるようなその笑顔を、またグランツールで見られて本当に良かった!
このまま調子をキープして、是非また勝利を挙げてくれ~!!