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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第10ステージ

兄に続け!

2週目の初日となる第10ステージは142kmと短距離ながら、コース中盤の2級山岳を越えて、最後は1級山岳にフィニッシュするレイアウト。

休息日明け、いきなりハイテンションな総合争いの可能性も…?

 

総合勢のテンション次第では逃げ切りも十分に有り得るレイアウトなので、スタート後のアタック合戦はやはりかなり激しいものに。

まずはサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック)とクインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)が抜け出し、先行する2人に追いつこうと何度もアタックが掛かるけれども、合流できたのはアレッサンドロ・デマルキ(チーム・ジェイコ・アルウラー)のみ。

この3人で逃げが決まったかと思いきや、メイン集団は相変わらずアタック合戦がやまず、結果的にかなりのハイペースを刻み、逃げる3人もかなり必死な様子…。

たまらずヘルマンスは脱落してしまったけれども、中間スプリントポイントを通過してからは少し落ち着いた…と思ったのも束の間、そこから改めて逃げへの合流を目指す動きが活発に。

かなり大きな…25人にもなる追走集団が形成されて、2級山岳の手前で先頭への合流に成功。

ロマン・バルデ(チームDSMフェルミニッヒ・ポストNL)、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)、エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)、マクシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)、ヤン・トラトニック(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)など、実力者を多く含む27人の逃げ集団が出来上がった。

一方のメイン集団は明らかにペースを緩めて、タイム差は拡大傾向に。

気が付けば先頭集団と4分以上のタイム差になり…これは逃げ切りがほぼ確定か。

 

先頭で動きがあったのは、残り37kmに設置されたインテルジロポイントを通過した直後。

インテルジロポイントに向けたアタックを利用して、ヤン・トラトニック(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)が単独での抜け出しに成功。

淡々とペースを刻むトラトニックを追いかけるのは、バルデ、アンドレア・バジオーリ(リドル・トレック)、ヴァランタン・パレパントル(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)、マルコ・フリーゴ(イスラエル)の4人。

残り30kmの時点で、トラトニックと第2集団のタイム差は約30秒、その更に40秒ほど後方に第3集団…カルーゾ、チャベス、シャフマン、ポッツォヴィーヴォ、オウレリアン・パレパントル(デカトロン)、フアン・ロペス(リドル)、フィリッポ・ザナ(ジェイコ)などがいる集団が位置している。

その構図がほぼ変わらないまま、残り20.9kmから登り始める1級山岳に突入していく。

 

いつも通り淡々と、ひたすら自分のペースで突き進むトラトニックは、気が付けば後続とのタイム差を1分以上にまで広げている。

追いかける第2集団からは、残り14kmでまずはフリーゴが脱落。

そして残り13km、ヴァランタン・パレパントルとバルデの加速に、バジオーリが反応できない。

このフランス人クライマー2人、アタックの直前になにやら話し込んでいたので…トラトニックに追いつくために、「クライマータイプの選手ではないバジオーリを置き去りにしよう」みたいな会話があったか。

協調しながらハイペースを維持するバルデとヴァランタン・パレパントルは、トラトニックとのタイム差をじわじわと削っていく。

更なる動きがあったのは、残り3.1km。

トラトニックとのタイム差が37秒にまで迫っている状況で、ヴァランタン・パレパントルがアタックを仕掛けると、バルデが反応できない!

かなり余裕を持った感じでグイグイ登っていくヴァランタン・パレパントルは、あっという間にトラトニックを捉えて、そのまま抜き去っていく!!

バルデも粘りの追走を見せてトラトニックをパスするけれども、ヴァランタン・パレパントルのペースが相当いいぞ…。

2人のタイム差は徐々に開き、残り1kmで25秒差!

ヴァランタン・パレパントルの勢いは衰えない!!

残り200mを切ると、勝利を確信して「信じられない…!」といった感じの表情を見せる!!

渾身のガッツポーズを見せながら、歓喜のフィニッシュ!!

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ヴァランタン・パレパントル、1級山頂フィニッシュでの力強い逃げ切り!!

嬉しいプロ初勝利は、前年にステージ勝利を飾った兄オレリアンに続く、兄弟でのジロステージ勝利というおまけつき!!

バルデを突き放し、トラトニックを抜き去り、そのまま独走とは…これは23歳にしてかなり強い勝ち方だぞ…!

176cm・52kmと細身の若手クライマー、これまた将来が楽しみな選手が台頭してきた!