力こそ正義…!!
第11ステージは、序盤の3級山岳以外は大きな起伏がないので、集団スプリントが予想されるレイアウト。
一応、海沿いのエリアを通るということで、横風による分断の懸念はあるらしいけれども…。
まあ、参加しているチームの戦力的に、それは起こりにくい気もする。
そしてスタート前、総合5位でヤングライダー賞ジャージを着るキアン・アイデブルックス(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)がリタイアという、残念な情報が入ってくる。
う~ん、総合表彰台も狙える位置にいただけに、本当に残念だ…。
ヤングライダー賞首位の座は、代わりに総合5位へと順位を上げたアントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス)のものに。
ティメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ)、フィリッポ・ザナ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、アレックス・ボウダン(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)辺りまではまだタイム差が少ないヤングライダー賞争い、ここからどうなるか。
アクチュアルスタート直後にトマ・シャンピオン(コフィディス)がアタックを見せると、アイデブルックスのリタイアにより残り4人となってしまったヴィスマから、ティム・ファンダイケとエドアルド・アッフィニの2人がそこに飛び乗り、3人の先頭集団が形成される。
スプリントチームが牽引を担うメイン集団は、この逃げに対して最大でも2分40秒ほどと、あまり大きなタイム差を与えない。
たった3人の逃げなのだから、もう少し大きなタイム差を与えてもいい気がするけれども…、万が一にも逃げ切りを許さないようなこのコントロールは、最近のグランツールではよく見る光景な気もする。
先頭の3人がメイン集団に吸収されたのは、残り34.6kmに設定されたボーナスタイムポイントの直前。
ボーナスタイム獲得を目指して動いたチームは…総合2位のダニエル・マルティネスを擁するボーラと、18秒差の総合3位ゲラント・トーマスがいるイネオス。
イネオスがしっかりトーマスを連れて位置を上げるのに対して、ボーラはダニエル・マルティネスは連れてこない…代わりに、トップスピードのあるライアン・マレンに先頭通過をさせて、1位通過の3秒ボーナスを消すことに成功。
それでもイネオスは着実にトーマスを2位通過させて、2秒のボーナスタイムを獲得。
僅差での争いになっている2人、今後のステージでもこういった争いが起こりそうだ。
残り20.8kmでアンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)による飛び出しはあったけれども、これはしっかりスプリントチームのアシスト陣が捕まえて、レースはやはり集団スプリントの展開に。
残り5km、ジュリアン・アラフィリップの牽引によって集団の先頭に躍り出たのはスーダル・クイックステップの隊列。
その後ろには総合回避のために位置を上げているイネオス、スプリントチームはジェイコやリドルがいいポジションか。
コーナーを利用してジェイコが最前列に陣取るけれども、これはフィニッシュまで人数が足りるか…?
直後にジェイコから先頭を奪ったのはイネオス、ベン・スウィフトとマグナス・シェフィールドがいい働きを見せて、残り3kmの救済措置区間までトーマスをしっかりとエスコートする。
残り2km、スルスルっとイネオスの背後まで位置を上げてきたのは、総合首位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)。
第9ステージのようにフアン・モラノのための牽引なんだろうけれども、リーダージャージを着てこの動きをするのは見慣れないというか…どうしても違和感はある。
ここで再び前に出たのはジェイコのトレイン、並びは前からマックス・ヴァルシャイド、ルカ・メスゲッツ、そして最後はエースのカレブ・ユアン。
ジェイコの背後で隊列を整えているのは、スーダル、アルペシン・ドゥクーニンク、リドルと、今大会ここまで良い動きを見せているチームたちだ。
残り1.2km、ここで一気にペースを上げて先頭に出るのはアルペシン、しかし肝心のカーデン・グローブスは何人かの割り込みを許してしまっているぞ…?
残り600mを切ってもまだアルペシンのアシストが先頭、しかし振り返ってグローブスが少しはぐれてしまっているのを確認すると、牽引をやめることを選択。
この一瞬の隙をついて飛び出したのはスーダルが誇る最終発射台のベルト・ファンレルベレヘ、しっかりとエースのティム・メルリールを引き連れている!
後方では落車も起こるけれども、最前線には影響が出ず、気が付けばもう残り200m!
向かい風の中、真っ先にスプリントを開始したのはメルリール、その背後にはポイント賞ジャージを着るジョナサン・ミラン(リドル)、更にはグローブスが続く!!
残り50m、ミランがメルリールに並ぶ!!
ミランの伸びが素晴らしいぞ…!!
なんというパワフルなスプリント!!
ミラン、第4ステージに続いて今大会2勝目!!
その大柄な体を上下に揺らしながら突き進む姿は、ほんとうにド迫力…!!
昨年のジロでは「勝ちきれない」感じもあって1勝のみだったけれども、今回は11ステージで既に2勝と絶好調。
チーム状態もかなり良いので、このまま2年連続ポイント賞獲得の可能性も、かなり高まってきたのでは?
そして、2着でフィニッシュラインを通過したメルリールだったけれども…、スプリント時の動きが斜行で進路妨害と判定されて、集団最後尾へと降着処分に。
改めて映像を見直すと…あらら、意図的ではないかもしれないけれども、完全にモラノのコースを塞いでしまっている。
モラノとしては、かなり良い伸びを見せたところでブレーキを掛けざるを得なくて、これは無念…。
ただ、もしこの先のステージでもポガチャルが力を貸してくれるのなら…もしかしたらチャンスがあるかもしれない。