ハットトリック達成!
第13ステージは、起伏が一切登場しない、潔いほどの平坦ステージ。
流石にこれは、間違いなく集団スプリントになりそうだ。
カテゴリー山岳が登場しないので逃げるメリットが少ない中、スタート直後に勇気を持って飛び出したのは、アンドレア・ピエトロボン(ポルティ・コメタ)。
この動きに即座に反応したVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネの2選手…マヌエーレ・トロッツィとアレッサンドロ・トネッリが加わって、プロチーム所属のイタリア人3人による逃げが早々に決まる格好に。
スプリントチームが牽引するメイン集団は、先頭の3人とのタイム差を最大でも3分強ほどにコントロール。
距離を追うごとに徐々にその差を詰めていって、このまま「平穏に」集団スプリントへ向かっていく…と思っていた。
メイン集団で波乱があったのは、残り62km辺り。
直角コーナーで進路が変わった瞬間、イネオス・グレナディアーズが猛列なペースアップを敢行!
トビアス・フォスとフィリッポ・ガンナという個人タイムトライアル元世界王者コンビ、更には今大会絶好調のジョナタン・ナルバエスも加わって、一気に集団を分断させる!!
後方の集団に取り残された主な選手は…ん?
イネオスが攻撃したいであろう総合勢のライバルは、全員しっかり前方集団に残っている模様。
遅れてしまい慌てているのは…ポイント賞ジャージを着るジョナサン・ミラン(リドル・トレック)だ。
当然、リドルはアシスト陣が…アシストだけでなくミランもローテーションに加わって、必死に後方集団を牽引。
フィニッシュスプリントに向けて脚を温存したい気持ちもあるだろうけれども、まずは追いつかないと話にならない…。
幸い、チーム・ヴィスマ・リースアバイクやモビスター・チームが協力してくれたこともあり、後方集団は残り43km辺りでメイン集団との合流に成功。
このペースアップにより逃げの3人を吸収していたので、レースは完全に振出しに戻る格好に。
一旦落ち着いた集団から、マルティン・マルチェルージ(バルディアーニ)とドリース・デポーテル(アンテルマルシェ・ワンティ)の2人が飛び出して新たな逃げを形成。
ただ、メイン集団は慌てずにタイム差をコントロールして、残り9km辺りでしっかりとを吸収する。
やはり、決着は集団スプリントだ。
残り5kmを切ると、集団は一気にスピードアップ。
先頭で踏んでいるのはUAEチームエミレーツとイネオス、どちらも総合勢(UAEは一応フアン・モラノというスプリンターがいるけれども…)、細く曲がりくねったコーナーに向けて危険回避の動きか。
残り3km、イネオスに変わって集団前方に出てきたのはスーダル・クイックステップ、そして張り合うようにアルペシン・ドゥクーニンクも位置を上げてくる。
残り2.4km、ここで一気に先頭を奪ったのは、リドルの奇麗な隊列。
アシストを4枚並べ、最後尾にはしっかりミランが控えている。
残り2km、今度はチーム・ジェイコ・アルウラーが先頭へ、ただアシストは2枚だけと少し心許ないか。
残り1.5kmの直角コーナーは、リドルが先頭を奪い返して抜けていく。
ここまでは主導権が激しく入れ替わる展開だったけれども、リドルはアシストを3枚残した状態で残り1kmのアーチを通過!
ミランのスプリントに向けて理想的な態勢が整っている!
残り400m、今大会ここまでミランのために素晴らしいリードアウトを披露しているシモーネ・コンソンニが先頭に!
リドルの必勝態勢に穴をあけようと、残り300mで早めのスプリントを仕掛けたのはフェルナンド・ガビリア(モビスター)!!
しかし、ミランは抜け目なくガビリアの背中を捉え、逆に風よけとして利用…!!
そして残り200m、ミランが全力でのスプリントを開始!!
ミランは相変わらず上半身を揺らしながら、大迫力のスプリント…!!
ガビリアを一気に抜き去り、そして後続も寄せ付けない!!
フィニッシュの瞬間まで、誰も横に並ばせすらない!!
横風分断も関係なし!!
文字通りライバルを寄せ付けない圧倒的なスプリントで、ミランが今大会3勝目!!
アシスト陣の働きも、ミランのそのパワフルなスプリントも、文句のつけようがない!
昨年のジロは、ポイント賞を獲得しながらもステージ1勝のみで、「ポテンシャルはものすごいけれども、まだ勝ち方をつかみ切れていないかな」なんて思ったけれども…。
ステージ3勝という結果だけでなく、この勝ち方は流石に本物でしょ。
更に、このステージでライバルのティム・メルリール(スーダル)とカーデン・グローブス(アルペシン)が沈んだこともあり、ポイント賞争いも独走状態に。
2年連続のポイント賞獲得、完走さえすれば達成できそうだ。