スケジュールが…
さあ、今年もロードレース界最大のイベント、ツール・ド・フランスの時期がやってきました!
いつも通りテンションを上げて予想記事を書こうと思っていたのですが、なんとこのタイミングでガッツリと風邪をひいてしまいまして…。
なかなか記事を書けるようなコンディションにならず、時間が…そして気力と体力が、明らかに足りていないような状況になってしまいました。
それでも、実質「ツールの注目選手紹介」をやっている予想記事は、このブログとしてはとても重要なものであり、なんとか書きたい…という気持ちが強かったです。
そのため今回は、文章量をバッサリと削った「簡易版」の予想記事となります。
その上で、情報量はできるだけ減らさないように…ということで、各選手の解説や情報はいわゆる「地の文」ではなく、箇条書きにしてみます。
いつもとはかなり違った雰囲気にはなりますが、なんとか気合を込めて書いていくので、ぜひお付き合いください。
総合争い ~「ビッグ4」は…そろい踏みと言っていいのか?~
ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)。
シーズン開幕の頃、この4人がツールに同時参戦の見込みということで、ツールへの期待感はかなり高まっていました。
ただ、4月のイツリア・バスクカントリーで起こった大落車に、ヴィンゲゴー、ログリッチ、エヴェネプールの3人が巻き込まれ、特にヴィンゲゴーとエヴェネプールはツールに間に合うのかが心配されるレベルのケガを負ってしまいました。
2人ともなんとかツールに間に合わせてはきましたが、はたしてコンディションはどこまで上がっているでしょうか。
そんななかなか読みにくい状況ではありますが…自分の予想は以下の通りです。
対抗:プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
穴:ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)
大穴:カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)
大穴は…めちゃくちゃ迷いました。
本命:ポガチャルはジロの勢いを継続できるか
- 総合優勝したジロでの走りは、総合2位とのタイム差が約10分、更にはステージ6勝と、まさに圧巻!
- 今シーズンここまで、ジロ以外のレースも過去最高の出来
- アシストは、なんとジロから総入れ替え
- アダム・イェーツ、ジョアン・アルメイダ、フアン・アユソなど、エース級の選手が数多く揃う陣容は、間違いなく今大会最強
- 唯一の不安要素は、自身初となる年間2度のグランツール出場が、コンディションに悪影響を与えているかどうか
- 疲労を心配すると言う意味では、普段の「攻めまくる走り」ではなく、ある程度「抑えた走り」が出来るかどうかがカギになる可能性も
対抗:ログリッチ、悲願達成のまたとないチャンスかも?
- 前哨戦のクリテリウム・デュ・ドーフィネでは、ステージ2勝を挙げて総合優勝!
- ジャイ・ヒンドレーにアレクサンドル・ウラソフと、かなり強力なアシストを2枚用意できたのは心強い
- イツリア・バスクカントリーの落車に巻き込まれながら、骨折などの大きなケガはなかったため、コンディションは良好
- もしかしたら、「ビッグ4」でコンディションに全く不安が無いのはログリッチだけ…?
- 千載一遇の好機、悲願の総合優勝を掴めるか
- ファンの期待も高い…と言うか、自分も今回はログリッチに勝ってほしい気持ちはある
- チームのメインスポンサーがレッドブルに代わり、翼を授かる…?
穴:3連覇を目指すヴィンゲゴー、茨の道
- グランツール総合優勝を狙う「総合力」という観点では、2連覇中のヴィンゲゴーが最強なのはまず間違いない
- ただ、イツリア・バスクカントリーの落車で、鎖骨と肋骨の骨折に肺気胸と、かなりのダメージが…
- ツールまでレースには一切出ず、ぶっつけ本番なのは流石にかなりの不安要素
- 絶対的な山岳アシストであるセップ・クスが、コロナウィルス感染のためにメンバー外になってしまったのも大誤算
- 大きく崩れない安定感に定評のある選手だが、今回に限っては大失速の可能性も…?
- 一応、「出場するということは、コンディションに自信がある…勝てると踏んでいる」と、ポジティブに捉えられなくはない
大穴:カルロス・ロドリゲスのポテンシャル
- スペインの大器、本格開化の予感がビンビン
- ツール・ド・ロマンディ総合優勝など、今シーズンはかなり好調
- 前哨戦のドーフィネでは総合4位ながら、しっかりとステージ1勝
- アシスト陣の豪華さは、UAEに次ぐレベル
- ジロ総合3位のゲラント・トーマスを筆頭に、エガン・ベルナル、ローレンス・デプルス、ミハウ・クフィアトコフスキなど、実力者がずらりと並ぶ
- 落車が多いのは要改善
- 落車さえなければ、総合5位以内はかなりの確率で、総合表彰台も十分に狙えるレベルと予想
その他注目選手
- レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)
- サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)
- エンリク・マス(モビスター・チーム)
- リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)
怪我明けのエヴェネプールは、前哨戦のドーフィネで明らかに仕上がっていなかったので、途中で総合争いから脱落すると予想します。
脱落しなかったら…表彰台に登る可能性は高いと思っています。
ポイント賞争い ~「ド本命」にどう抗うか~
昨年圧倒的な強さを見せたヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が軸になるのは間違いないと思います。
そして、平坦スプリントの「真っ向勝負」でフィリプセンに抗えるような、有力なピュアスプリンターが少ない…というのが率直な印象です。
そうなると、フィリプセン以外で可能性が高いのは「登れるスプリンター」系統に…?
ということで、予想は以下の通りです。
- 本命:ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)
- 対抗:マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)
- 穴:ワウト・ファンアールト (チーム・ヴィスマ・リースアバイク)
- 大穴:サム・ベネット(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)
大穴は、「不在」も検討したぐらい…有力候補がいないです。
本命:現役最強のスプリンター、フィリプセン
- 昨年はステージ4勝を挙げてのポイント賞獲得と、名実ともに現役最強のスプリンターに!
- トップスピード、ポジショニングと仕掛けの上手さ、そして水準以上の登り耐性と、まさに死角なし
- 今シーズンも、ミラノ~サンレモ優勝など相変わらずの強さ
- ヨナス・リッカールトからマチュー・ファンデルプールへとバトンを渡すスプリントトレインは、間違いなく今大会最強
- ファンデルプールとのコンビが炸裂すると、止めようが無いレベル
対抗:ピーダスンが勝つには…登りスプリントと「逃げ」か
- 「登りスプリント」に関しては、現役トップの1人
- その登坂力は、2級山岳ぐらいは平気で登ることもある、スプリンターとしては破格のレベル
- その一方、平坦スプリントでフィリプセンに勝てるかと問われると…なかなか厳しいというのが本音
- それを見越してか、アシストも割と登り耐性のあるメンバーを揃えてきた印象
- ポイント賞獲得に向けて、平坦スプリントは安定上位、登りスプリントでは勝利が必須
- 丘陵ステージや山岳ステージで逃げに乗って、中間スプリントでどれだけ差を付けられるか
穴:ファンアールトの問題は、果たしてポイント賞を狙うのかどうか
- 2022年にとんでもないポイント差でポイント賞を獲得したように、本気でポイント賞を狙ったらフィリプセン以上の「ド本命」
- ただし、ヴィンゲゴーの総合優勝を狙うチーム事情を考えると、ポイント賞の優先度は…
- 「本気」なら、平坦スプリントでフィリプセンに勝ち、登りスプリントでピーダスンを圧倒する…なんてこともあり得る
- あまり考えたくはないが、ヴィンゲゴーが早々に脱落したりすると、ファンアールトが本気でポイント賞を獲りにいく可能性が高まるかも?
- とにかく、本気でポイント賞を狙うのかどうかが問題
大穴:サム・ベネットが全盛期並みの走りを見せられれば…
- 2020年にポイント賞を獲得した実力者ではあるけれども、ここ数年は極度の不振
- 正直言って、その頃と同じ走りを見せられるとは…思っていない
- それでも一応、5月のダンケルク4日間レースではステージ4勝と爆発
- トップスピード、上手さ、登り耐性、そしてロングスプリントという飛び道具と、全盛期はポイント賞獲得への適正は高かった
- 他に有力な候補が少なくて、期待も込めての選出
- ただ、アシストはちょっと貧弱…オリヴェル・ナーセンが牽くのか?
その他注目選手
- アルノー・ドゥリー(ロット・デスティニー)
- ディラン・フルーネウェーヘン(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- ファビオ・ヤコブセン(チームDSM・フェルミニッヒ・ポストNL)
- マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)
- フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
この中からステージ勝利を挙げられる選手が、果たして何人いるでしょうか…。
グランツール初出場にはなりますが、ベルギー国内選手権でフィリプセンを破ったドゥリーには期待しています。
山岳賞争い ~例年のことだけれども…難しい~
総合上位陣、総合争いから脱落した有力選手、更には逃げ屋と、多くの選手に可能性がある山岳賞の予想が、正直言って一番難しいです。
あまり深く考えすぎずに、サクサクっと予想したらこんな感じになりました。
- 本命:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
- 対抗:ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)
- 穴:ロマン・バルデ(チームDSM・フェルミニッヒ・ポストNL)
- 大穴:リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)
本命は…まあこうするしかないでしょう。
本命:ポガチャルを総合優勝の本命にしているので…
- 過去3回のグランツール制覇時、必ず山岳賞も獲得
- 総合勢としては規格外のパンチ力でステージ勝利(≒山頂先頭通過)を重ねると、自然とそうなる
- もし総合優勝に届かないとしても、山岳賞に関しては本命でいい気がする
対抗:チッコーネは2年連続での受賞を狙っているか
- 昨年ツール山岳賞、2019年にもジロ・デ・イタリアで山岳賞獲得経験あり
- 登坂力は間違いなく一級品も、実はグランツール総合トップ10は未経験
- 総合争いでいい位置をキープし続けると、逆に山岳賞を狙う感じではなくなりそう
穴:バルデ、最後のツール
- 来シーズンのドーフィネを引退レースにすると発表…つまり、ツールはこれが最後の参加に
- ツールは2016年総合2位、2017年総合3位、2019年山岳賞獲得と、地元フランスの選手として活躍を続けてきた
- 今回は総合争いではなくステージ狙いと明言しているのは、山岳賞獲得に向けて追い風のはず
大穴:今シーズン調子の上がらないカラパス…
- 2019年ジロ総合優勝を筆頭にグランツール総合表彰台4回と、その実力に疑いの余地はない
- ただ、2023年のEF移籍後はイマイチ力を発揮できず、今シーズンのステージレースではツール・ド・スイスでの総合7位がベストリザルト
- 割と早い段階で総合争いから脱落するのでは…と予想してこの位置に
その他注目選手
- サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- フェリックス・ガル(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)
- サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
- ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)
- ギヨーム・マルタン(コフィディス)
- デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック)
あまり「逃げ屋」っぽい選手が多くない印象なので、総合争いから脱落した選手が上位に多く入りそうな気がします。
個人的に結構期待しているのは、昨年ジロで積極的な走りが目立ったジーです。
直前のドーフィネで総合3位とかなりの登坂力を見せたので、このまま波に乗って良い結果を残すかもしれません。
ヤングライダー賞 ~久々の「争い」~
2020年から2023年まで4年連続でヤングライダー賞を獲得していたポガチャルが、遂に対象年齢から外れました…!
本当に久しぶりに、ツールのヤングライダー賞を巡った「争い」が発生しそうです。
有力選手、その質も量も揃っているので、かなり面白い展開になるかもしれません。
- 本命:カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ9
- 対抗:レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)
- 穴:マッテオ・ヨルゲンソン(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)
- 大穴:フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
エヴェネプールのコンディションがどうなのか、そこが一番の問題ですね。
本命:当然ここは、総合で大穴にしたカルロス・ロドリゲス
- そもそも、エヴェネプールが崩れなくても勝つ可能性はそれなりにありそう
- 昨年のツールでは、終盤の落車が無ければ総合表彰台圏内だった
- 序盤によっぽど大きな遅れ方をしない限り、総合エースとして豪華アシスト陣に手厚く守ってもらえるのはかなり大きい
対抗:エヴェネプールはとにかくコンディション面が不安…
- イツリア・バスクカントリーでの落車からどれだけコンディションが回復しているか、これに尽きる
- 万全ならば、「ビッグ4」という前評判通り、総合優勝争いに絡める強さ
- もし登坂での走りが「そこそこ」ぐらいでも、個人タイムトライアルで差を付けられるのは、他のヤングライダー賞候補と比べて大きな強み
穴:ヨルゲンソンのチーム内での役割
- パリ~ニース総合優勝にドーフィネ総合2位と、今シーズン絶好調!
- 総合エースであるヴィンゲゴーのコンディションの不安と、最終山岳アシストであるクスの離脱は、ヨルゲンソンに「サブエース」もしくは「最終山岳アシスト」の役割を与える可能性が
- 展開次第では、勝負所まで結構しっかり守ってもらえて、総合順位もキープできそう
大穴:アユソはアシストに専念?
- 2022年のブエルタ総合3位と、グランツールでの実績はカルロス・ロドリゲスやヨルゲンソン以上
- 今シーズンも、イツリア・バスクカントリー総合優勝にティレーノ~アドレアティコ総合2位と、かなりの走り
- ただし、ポガチャルのアシストとして力を使ってしまうのはほぼ確実で、自身の総合順位にはあまり拘らない可能性が高い(それでも普通に総合20位ぐらいに入るか)
その他注目選手
- サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
- レニー・マルティネス(グルパマFDJ)
- オスカー・オンリー(チームDSM・フェルミニッヒ・ポストNL)
- トム・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ)
ブイトラゴはやや安定感に欠ける印象もありますが、昨年のブエルタで総合10位に入っているので、アユソの代わりに大穴に入れるか少し迷いました。
レニー・マルティネスとオンリーはかなり期待している選手なので、どのくらいの順位になるのかかなり楽しみにしています。
最後に、ツールの感想記事について…
ば~っと勢いで書いてきましたが、なんとか書き終えることできました…。
例年と比べて明らかに時間を掛けられていないので、内容としては薄いかもしれませんが…少しでもツールを楽しむ助けになれば幸いです。
さて、いよいよツールが始まる訳ですが、もちろん今回も全ステージの感想記事を書いていく予定です。
ただ、少し仕事の方が忙しい状況になっていまして…、ブログを書くのに今までと同じぐらい時間を割けない可能性が高そうです。
そんな訳で、今回のツールに関しては、感想記事の内容がいつもより軽い…簡易版のようなものになると思います。
申し訳ありませんが、どうかご容赦ください。
そんな状況ですが、レースを観て楽しむことに関してはもちろん変わらない熱量でやっていきますので、皆さん一緒に楽しんでいきましょう~!
おまけ
ベルナルについての予想
- カルロス・ロドリゲスとの「ダブルエース体制」の可能性は、半々ぐらい?
- 一応開幕直後は、「保険」の意味も込めてダブルエース扱いで行きそうな気はしている
- 全てが上手く噛み合って、総合10位に入るかどうか…というのがリアルな予想
- アシストとして尽力して、自身の総合順位をあまり気にしない振る舞いになると、総合20位ぐらいか
- ステージ勝利に関しては、「メイン集団から先行」が絶対条件(逃げ、抜け出しは問わない)
…ネガティブすぎますかね?
いやでも、これが忖度なしのガチな予想です。
そして予想はあくまで予想として…、頑張れベルナル!