オランダチャンピオンのトップスピード
第6ステージは、スタート直後に4級山岳が登場する以外は起伏がほぼ登場しない、前日に続いて集団スプリントになるのが確実なレイアウト。
逃げるメリットが少なすぎて、逃げが無いまま集団が一塊で進む時間が長い中、吹きさらしの田園地帯で横風による分断が発生。
分断された集団は最大で1分ほどのタイム差が開いたけれども、結局は再び一つの集団になって、そのままフィニッシュへの距離を減らしていく。
残り3km、集団の先頭で隊列を組んで主導権を主張するのはウノエックス・モビリティ、なんと先頭は山岳賞ジャージを着るヨナス・アブラハムセン。
逆サイドで列を作り抗おうとするのはアスタナ・カザクスタンチーム、前日歴史を塗り替えたマーク・カヴェンディッシュでの連勝なるか。
ウノエックスのトレインは残り2kmを切っても最前をキープ、そしてアスタナが位置を下げる一方で、前へ上がっていくのはリドル・トレックやアルペシン・ドゥクーニンクの選手たち。
そしてアルペシンの隊列の背後では、ポイント賞ジャージを着るビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェワンティ)が単騎で機を窺う。
残り1km、未だにウノエックスが先頭、アルケア・B&Bホテルズやチーム・ジェイコ・アルウラーのトレインが前へ出ようと試みるけれども、ウノエックスは主導権を譲らない。
ラウンドアバウトを抜けて残り600m、ここでアルペシンが一気にスピードを上げる!
アルペシンはそのままマチュー・ファンデルプールが先頭に躍り出て、その背中にはエースのヤスペル・フィリプセンが控える万全の体勢!
残り200mを切って、フィリプセンがスプリントを開始!
その動きに合わせて、背後でタイミングを窺っていたワウト・ファンアールト(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、アルノー・ドゥリー(ロット・デスティニー)、ディラン・フルーネウェーヘン(ジェイコ)、そしてギルマイも飛び出してくる!
先頭で粘るフィリプセンに迫るのは…逆サイドの空いたスペースに活路を見出したフルーネウェーヘン!!
ピュアスプリンター同士、トップスピードでのハンドル投げ合い…!!
大迫力のスプリントを制したのは…フルーネウェーヘン!!
素晴らしい伸びで、昨年ポイント賞を獲得しているフィリプセンを真っ向からねじ伏せてみせた!!
いや~、ファンデルプールのリードアウトというフィリプセンの必勝パターンが決まったかと思ったけれども…フルーネウェーヘンの伸びが本当に素晴らしかった!
1人だけ、左側の空間に飛び出していった判断もお見事!
これでツールは通算6勝目、色々あったけれども…やはりこの選手は強いのだ!
そして2番手でフィニッシュラインを通過したフィリプセンは、進路をフェンス側に寄せた動きがファンアールトの動きを妨げる危険な斜行と判断されて、降着処分に。
2年連続でのポイント賞を狙うフィリプセンにとっては、ポイントを全く獲得できなかったのは結構な痛手になりそうな…。
そもそも調子が上がり切っていないような印象もあるので、このままギルマイがポイント賞ジャージをキープする可能性が、結構あるかもしれない。