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【レース感想】ツール・ド・フランス2024 第12ステージ

完全に本物

第12ステージは、細かい起伏がそれなりに登場するけれども、集団スプリントになる可能性が高そうなレイアウト。

スプリントチームがもっと疲弊している3週目だったら、逃げ切りも十分あり得る…ぐらいの難易度な気がする。

 

この日逃げを選択したのは、ヴァランタン・マドゥアス(グルパマFDJ)、カンタン・パシェ(グルパマ)、ヨナス・アブラハムセン(ウノエックス・モビリティ)、アントニー・テュルジス(トタルエネルジー)の4人。

結構強いメンバー…というか、アブラハムセンはまた逃げているのか。

対するメイン集団を牽引するのは、アルペシン・ドゥクーニンク、アンテルマルシェ・ワンティ、モビスター・チームと、やはりスプリンターを擁するチーム。

逃げ集団にあまり大きなタイム差を与えず、残り42kmと結構早いタイミングで逃げを吸収してしまう。

 

スプリントに向けて緊張感が高まる中、残り12kmで落車が発生。

倒れているレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジャージは…、総合4位のプリモシュ・ログリッチだ…。

何とか再スタートして、アシストに牽かれながらメイン集団復帰を目指すログリッチ

しかし、ダメージが大きいのか、その踏みが…どうも鈍い。

タイム差は縮まらないどころか、徐々に開いていってしまう。

結局ログリッチは、2分27秒遅れてのフィニッシュになってしまった。

 

落車の影響で少し人数が減ったメイン集団は、あまり明確に主導権を握るようなチームが無いまま、残り3kmを通過。

残り2km、先頭を牽くのはなんと逃げに乗っていたアブラハムセン、しかしその後ろにはウノエックスの選手ではなく、イスラエル・プレミアテックとバーレーン・ヴィクトリアスの選手が並んでいる。

残り1km、先頭はEFエデュケーション・イージーポストのアシスト選手、しかしここもその背後にはイスラエルバーレーンの選手が2人ずつ入り込んでいる。

残り800m、先頭はニキアス・アルントとフィル・バウハウスというバーレーンの2人、その後ろにはイスラエルのジェイク・スチュワートとパスカル・アッカーマン。

残り600m、アルケア・B&Bホテルズのダニエル・マクレーがアルノー・デマールを連れながら先頭へ向かう。

ほぼ同じタイミングで、後方に埋もれていたビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ)を、マイク・トゥーニッセンが一気に引き上げようと試みる!

残り200m、絶好の体勢からデマールがスプリントを開始!

デマールがフェンス際に進路を寄せたことでワウト・ファンアールト(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)が行き場を失う一方、中央にできたスペースにはギルマイが飛び込む!

反対サイドの大外からは、後方にいたヤスペル・フィリプセン(アルペシン)が猛烈な勢いで駆け上がっていくけれども、これは流石に届かない!

ファンアールトがなんとか進路を見出してデマールに並ぶ!

しかし、ギルマイの伸びが抜きん出ている…!!

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平坦スプリントでこの強さ!!

完全覚醒のギルマイ、今大会3勝目!!

第3ステージの1勝目は、残り2.3kmでの落車により、少し役者が足りていなかった。

2勝目を挙げた第8ステージは、ピュアスプリンター向けと言うより、ギルマイが得意とする登りスプリントだった。

そしてこの第12ステージは…完全にスプリンター向け!

競り合ったライバルも、フィリプセン、ファンアールト、アッカーマン、デマールと、文句の付けようが無い!

昨年まではもっとパンチャー寄りの選手だと…、トップクラスのピュアスプリンターと平坦ステージで競り合うのは少し厳しいと評価していたけれども、これは完全に本物。

いわゆる「登れるスプリンター」、それもマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)クラスの選手だと、評価を改めなければいけない。

このままマイヨ・ヴェールを守り切る可能性、十分にありそうだ。

 

そして、ログリッチ…。

落車のダメージは大きく、この日はなんとか完走したけれども、第13ステージ出走前に、リタイアを選択。

色々あるけれども、とにかく…残念だ。