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【レース感想】ツール・ド・フランス2024 第14ステージ

いつどんな時も、自分のスタイルで

第14ステージは、ピレネー山脈2連戦の初戦となる、難関山岳ステージ。

コース中盤で超級山岳トゥールマレー(登坂距離19km・平均勾配7.4%)を越えて、2級山岳を経てから超級山岳プラ・ダデ(登坂距離10.6km・平均勾配7.9%)にフィニッシュする。

 

激しいアタック合戦、更には大きめの追走の末に形成された先頭集団には、ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)、アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタンチーム)、ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)、オイエル・ラスカノ(モビスター・チーム)など、実力者の姿が。

追いかけるメイン集団は、総合首位のタデイ・ポガチャルを擁するUAEチームエミレーツが牽引。

これまでのステージでも素晴らしい働きをしてきたUAE自慢の機関車役ニルス・ポリッツが、超級山岳トゥールマレーをほぼ単身で牽き切るという、平坦系ルーラーとは思えないような驚愕のパフォーマンスを見せる。

この結果、先頭とメイン集団のタイム差はトゥールマレー山頂で4分、2級山岳入り口では3分、最後の超級山岳プラ・ダテ入り口で1分20秒と、この日も逃げ切りは「あり得ない」状況で最終局面に突入していく。

 

超級山岳プラ・ダテの登坂に入ると、UAEはマルク・ソレル、パヴェル・シヴァコフ、ジョアン・アルメイダと牽引のバトンを繋ぐ。

そして残り7.2km、ここでアダム・イェーツにアタックさせるという意外な一手を打つ。

アダム・イェーツは6分59秒差の総合7位と、ライバルチームとしては慌てて止めに行くような位置ではないと同時に、あまり長く放置もできない、飛び出させるには絶妙な人選かもしれない。

この動きを受けて、メイン集団は総合3位ヨナス・ヴィンゲゴーを抱えるチーム・ヴィスマ・リースアバイクのアシスト、マッテオ・ヨルゲンソンが牽引する格好に。

残り4.6km、アダム・イェーツがメイン集団とのタイム差を30秒に広げて、先頭で唯一逃げ残っているヒーリーにそろそろ追いつく…というタイミングで、メイン集団で動きが起こる。

アタックを仕掛けたのは今日もこの選手、マイヨ・ジョーヌを着るポガチャル!!

当然ヴィンゲゴーが付いていこうと試みるけれども、早々にあきらめてペース走に切り替えざるを得ない!

そのままあっという間にアダム・イェーツに合流したポガチャル、もちろんここは「前待ち」をしていたアダム・イェーツが牽く。

アダム・イェーツが牽いていた時間は短かったけれども、少し呼吸を整えたポガチャルは、再度ペースを上げて先頭を独走!!

後続とのタイム差は…徐々に広がっていく!!

そのままフィニッシュまで、一気に駆け上がっていく!!

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この積極性、そしてこの強さ、これぞポガチャル!!

総合リードを広げる、価値あるステージ勝利!!

まさか、アダム・イェーツをあんな風に使うとは…!!

しかもレース後のインタビューで、あの動きは決して予定していたものではないと語っている。

閃き、本能…、あの動きをレース中に思いつく凄さと同時に、即座にやろうと決断できる辺りも、やはりポガチャルは普通の選手とは一味違う。

これで総合タイム差は、2位に浮上したヴィンゲゴーが1分57秒、総合3位のレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が2分22秒。

まだ「終わった」訳では無いけれども、決して小さくない、ひっくり返すにはなかなか大変なタイム差になった。

ひとまず、翌15ステージもピレネー山脈を舞台にした難関山岳ステージ。

激熱な総合争いが繰り広げられそうだ。