やっぱり強いなぁ…!
休息日明けの第16ステージは、コース中盤の起伏以外は平坦な、スプリンター向けなレイアウト。
今大会は最終日がシャンゼリゼでのスプリントではないので、この日が最後のスプリントステージに。
今大会これまでのスプリントステージと同じように、この日もなかなか逃げが発生しない展開に…。
集団はかなりのスローペースでレースを進めていき、やっと活性化の様子を見せたのは、残り92.5km地点に設定された中間スプリントポイントの手前から。
ポイント賞争い首位でマイヨ・ヴェールを着るビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)と、86pt差の2位ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が先着を狙う中、先頭で通過したのはブライアン・コカール(コフィディス)。
フィリプセンが2位で通過、ギルマイは4位通過となり、2人の差は4ptだけ縮まることに。
そして、この中間スプリント後の隙をついて、単独での飛び出しを敢行したのはトマ・ガシニャール(トタルエネルジー)。
この動きに呼応する選手がいなかった上で、メイン集団としてもレースを落ち着かせるためにこの動きを「容認」して、ガシニャールは暫くの間そのまま1人で逃げる格好に。
フランス籍チームのフランス人ということもあり、4級山岳では大声援を独占状態で堪能したガシニャールは、残り25kmでメイン集団に吸収される。
その後は少し心配されていた横風分断などもなく、最後の集団スプリントに向けて、レースは緊張感を高めていく。
残り3km、集団の先頭を牽くのはアンテルマルシェのアシスト選手、しかしエースのギルマイが少しはぐれてしまっている。
前方の良い位置を確保できているのは、アンテルマルシェの後ろに5人の選手を連ねるウノエックス・モビリティの隊列だ。
残り2km、ウノエックスの横にスルスルっとトレインを並べてきたのはアルペシン。
その反対サイドではロット・デスティニーもトレインを作っているけれども、エースのアルノー・ドゥリーの姿が見当たらない。
残り1.6kmのラウンドアバウトで落車が発生…ん?
ギルマイが巻き込まれている…!?
残り1km、ウノエックスがアシストをかなり減らしてしまっているのと対照的に、その後ろにはアルペシンのトレインが良い形で並んでいる。
残り500m、アルペシンのロベ・ヘイスが先頭を奪取、その後ろにはマチュー・ファンデルプールにフィリプセンと、万全の構え!
残り350mからファンデルプールの最終リードアウト、そしてフィリプセンが残り150mからスプリントを開始!!
フィリプセンの背中を捉えるのはフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)、その更に後ろにはアレクサンダー・クリストフ(ウノエックス)!
しかしバウハウスもクリストフも、フィリプセンの横に並ぶことすらできない…!!
「横並び」すら許さない、この圧倒的なトップスピード!!
流石の強さを見せつけたフィリプセン、今大会3勝目!!
盤石のリードアウトから、完璧なスプリント!
いや~、やはりフィリプセンは強い!!
1週目を未勝利で終えた時はどうなることかと思ったけれども、終わってみればハットトリックを達成しているという…。
2022年2勝、2023年4勝、2024年3勝と、ツールでこの安定感は、やはり現役最強のスプリンターと評して間違いなさそうだ。
そしてギルマイが落車でスプリントに絡めなかったので、ポイント賞争いはギルマイが376pt、フィリプセンが344ptと、32pt差に。
もうスプリントステージは残っていないけれども、この差なら数字の上では中間スプリントポイント(最大で20pt獲得)のみで逆転も可能だ。
ただし、登坂力では明らかにギルマイに分があるので、32というポイントの差以上にギルマイが優勢か。
それでも、レースは何が起こりか分からない。
ポイント賞争い、最後まで目が離せなくなってきた。