雨による落車と混乱
第6ステージは、コース中盤以降は起伏がほぼ登場しない、スプリンター向けのレイアウト。
総合争いやステージ狙いのアタックが発生しない「平和」な1日になるかと思いきや、レースに混乱をもたらしたのは、雨によってかなりスリッピーになった路面状況。
残り71km辺りの緩い下り勾配区間で、メイン集団で複数の落車が立て続けに発生してしまう。
かなりの人数が巻き込まれて足止めを食らっただけでなく、複数のリタイア者が出ることに…。
落車の規模があまりにも大きすぎたため、レースは一時中断。
落車していた選手の復帰を待ってからレース再開となったものの、このまま通常のレースを行うのはリスクが高いと判断され、この日はタイム差やポイント獲得の無い、いわゆる「ニュートラル措置」が取られることに。
それでも、ステージ勝利に向けた争いは行われるので、逃げるタコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ)とエンゾ・パレニ(グルパマFDJ)の2人と、スプリントで勝負したいチームによる「追いかけっこ」という、当初の想定通りの展開でレースは進んでいく。
残り4km、未だに15秒差で逃げ続ける先頭の2人を捕まえるため、メイン集団を強烈に牽引するのはアルペシン・ドゥクーニンクの隊列。
カーデン・グローブスの前にアシストを3人並べて万全の構えを見せるアルペシンの後ろには、同じように4人のアシストがサム・ベネットを引っ張る格好のデカトロン・AG2R・ラ・モンディアルが控えている。
残り2.6kmで逃げは吸収され、集団の先頭は依然アルペシンのトレインが牽引を続行。
そのまま行くのかと思ったら、残り1.3kmの緩い右カーブから、アルペシンは先頭のイェンセン・プロウライトが少し単独で抜け出す格好に…?
この動きをキャッチしようと加速したのはワウト・ファンアールト(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、ただ肝心のオラフ・コーイを一緒に連れていけていない…。
ファンアールトは残り500mでプロウライトを捕まえる…と言うか、追い抜いていく。
しかし直後にファンアールトも集団に追い付かれ、残すは僅か200m!
もはやどのチームも隊列を組めていない状況下で、段違いの加速を見せたのはグローブス!!
フェンス際で競り合うライバルを尻目に、1人だけ開けたスペースに飛び出すと、そのままフィニッシュまで突き抜ける!!
混沌としたレースを鮮やかに締めくくる、見事な快勝!!
グローブス、2年ぶりのジロステージ勝利!!
コース取りの判断とトップスピード、どちらもずば抜けていた!!
最後の最後までかなり「ゴチャゴチャな展開」だったけれども、これは文句のつけようのない勝ち方だ!