総合争いの本格幕開け！
第7ステージは、1級山岳へとフィニッシュする今大会初の山岳ステージ。
山岳逃げ切りの可能性もゼロではないレイアウトだったけれども、総合争いにおける実質の首位と言えるプリモシュ・ログリッチを擁するレッドブル・ボーラハンスグローエと、現時点で総合首位のマッズ・ピーダスンを抱えると同時にジュリオ・チッコーネで総合争いに参戦しているリドル・トレックが、逃げにあまり大きなタイム差を許さないコントロールを見せる。
フィニッシュへと向かう1級山岳に入ると、イネオス・グレナディアーズとバーレーン・ヴィクトリアスが牽引に意欲を見せて、更なるペースアップを敢行。
逃げは残り5kmで全て吸収され、1級山岳のラスト3km、平均勾配が10%を越える険しい登坂区間に勝負は委ねられた。
残り3km地点で集団の先頭を牽くのはイネオス・グレナディアーズのジョナタン・カストロビエホ。
イネオスはその後ろに2年連続ジロ総合6位のティメン・アレンスマン、そして復活を目指すエースのエガン・ベルナルと並ぶ、やる気満々の体勢。
残り2.6km、カストロビエホと入れ替わるような格好で先頭を奪ったのはリドルの隊列、カルロス・ベローナとマティアス・バチェクがチッコーネをエスコートしている。
残り2.3km、一気にペースを上げて先頭に出てきたのは百戦錬磨の名アシスト、ラファウ・マイカ（UAEチームエミレーツ・XRG）。
エースのフアン・アユソを引き連れてはいないけれども、これは明確に集団への攻撃…！
マイカの高速牽引で集団の人数がどんどんと削られていく中、残り1.4kmでアタックを仕掛けたのはチッコーネ。
この動きに真っ先に反応して追い付いたのはベルナル、これは…かなり調子が良さそうだ！
チッコーネは残り1.2kmで再び腰を上げて加速を見せるけれども、すぐさまベルナルに潰されてしまい、ここは脚を緩めざるを得ない。
一旦ペースを落とすチッコーネの代わりにベルナルが集団の先頭に出ると、集団後方になんとか貼り付くような格好だったアレンスマンが、ド根性で先頭まで位置を上げてきてベルナルを牽引…！
そして残り800m、ここで満を持してベルナルがアタック…！！
この動きにすぐさま反応するのはイサーク・デルトロ（UAE）、チッコーネ、アントニオ・ティベーリ（バーレーン）、アユソの4人、ログリッチの反応が鈍いのは慌てていないだけか、それとも…？
残り600m、強烈なカウンターアタックを見せたのはアユソ！！
ベルナル、チッコーネ、そしてチームメイトのデルトロと続くけれども、強烈な踏み込みを見せるアユソが、後続を千切る…！！
アユソはラスト400mの少し勾配が緩む区間も、そのまま力強く独走！！
今大会最初の山岳ステージを制したのはアユソ！！
嬉しいグランツール初勝利だけでなく、4秒のタイム差と10秒のボーナスタイムも獲得！！
途中までは集団内で静かに過ごしていたけれども、最後はまさにアタック一閃！！
いや～、これは強烈な走りだった…！
そしてUAEは、デルトロがステージ2位に入ったことで、なんとワンツーフィニッシュ！
アユソ22歳、デルトロ21歳、恐ろしすぎる若手コンビだ…。
それでも総合首位の座は、ステージ4位でフィニッシュしたログリッチに渡ることに。
アユソと同じように登坂の途中は集団内で静かに過ごす…だけでなく、最終局面でもあまり慌てて追いかけるような様子は見せず、それでも気が付けば4位でフィニッシュと、省エネで上手くまとめた感じか…？
総合2位のアユソとのタイム差は4秒、そこから更に5秒離れて総合3位のデルトロと、まだまだタイム差はごく僅かで、この先もかなり面白くなりそうだ。
そしてベルナルは…ステージ3位でフィニッシュ！！
勝利には届かなかったけれども…それでも、この日の走り！！
最終盤は常に臨戦態勢、チッコーネの動きを2度潰し、自らアタックを仕掛け、アユソの動きにも真っ先に反応。
最前線で見事に戦い、総合争いにしっかり加わる素晴らしい走りを見せてくれた！！
2022年の大事故から、よくぞここまで戻してきてくれた…！！
落ち着いた振る舞いと、獲物を射貫くような鋭い視線。
自ら攻撃を仕掛ける姿勢と、力強く軽やかな登坂。
これが、ベルナルだ。
これこそが、ファンが待ち続けたベルナル本来の姿だ…！！
「おめでとう」は、まだ言わないでおこう。
今はただ…ありがとう、だ。
そして、頑張れ。
2週目から本格化していく総合争いで、思う存分その力を見せつけてくれ！！
