「当たるかどうか」は問題ではない
今年もまたツール・ド・フランスの季節がやってきましたね!
昨年はヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)がその登坂力とチーム力を見事に活かして、絶対王者タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)から王座を奪取しました。
今年も間違いなくヴィンゲゴーとポガチャル、この2人が中心となるツールが一体どのような結果になるのか、「当たらない」予想を書いていきたいと思います(いやまぁ、当てるつもりで書いてはいるんですけれども…)。
総合争い ~抜きん出た2人による頂上決戦~
ヴィンゲゴーとポガチャルの個の力は、他の選手とは明らかに次元が違います。
また、ユンボとUAEはチーム力でもトップクラスと言っていいでしょう。
はっきり言って、この2強による頂上決戦に割って入っていける選手は…いません。
チーム力だけならイネオス・グレナディアーズがそれなりに戦えるようにも見えますが、エガン・ベルナルが昨年の大事故からトップコンディションに戻せていない現状では、イネオスは「エース不在」のような状態です。
そんな、ある意味「トップ2の予想よりも、団子状態のその下を当てるのが難しい」シチュエーションですが…。
迷いに迷いつつ、自分の予想はこんな感じです!
本命:ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)
穴:ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)
大穴:マティアス・スケルモース(リドル・トレック)
大穴を決めるのにかなりの時間が掛かりましたが…これでいってみましょう!
本命:連覇を目指すヴィンゲゴー
ディフェンディングチャンピオンのヴィンゲゴーは、前哨戦のクリテリウム・デュ・ドーフィネで「無双」するコンディションの良さを見せ、最高の状態でツール連覇を目指します。
2021年に総合2位、そして昨年はポガチャルを破って総合優勝と、今やその実力を疑う人はいない…というか、間違いなくポガチャルと並んで「2強」と呼べる存在になりました。
ポガチャルと比べると、パンチ力はやや欠ける代わりに、登坂力…特に長い登坂ではヴィンゲゴーに分があるように見えます。
2021年のモン・ヴァントゥー、2022年のグラノンにオタカムと、ヴィンゲゴーはいずれも超級山岳でポガチャルを突き放しました。
そうなると、当然今回も同じような形を狙ってくるでしょう。
勝負所で超級山岳が登場するのは、第9ステージ・第13ステージ・第17ステージの3つ。
このどこかで、昨年の第11ステージを彷彿とさせるような総攻撃を仕掛けてくる可能性は高そうです。
もはや伝説となった昨年の第11ステージの大逆転劇、それを成し遂げたのはヴィンゲゴーの登坂力だけでなく、間違いなくチーム力の賜物でした。
そして当然、今回も相変わらず強烈なメンバーを揃えてきました。
最強の山岳アシストであるセップ・クス、唯一無二のスーパーオールラウンダーことワウト・ファンアールト、ジロ・デ・イタリア総合3位の実績があるウィルコ・ケルデルマン、経験豊富な「登れるルーラー」ディラン・ファンバーレ、これまた万能型の名手ティシュ・ベノート、ユンボ移籍で大きく成長したいぶし銀のクリストフ・ラポルト、平坦番長のナータン・ファンホーイドンクと、準備は万端です。
一つだけ無理やり懸念点を挙げるなら、クスがジロ→ツールという連戦スケジュールは初めての経験で、もしクスの調子が上がらないと「トップクライマー」と呼べる選手がいなくなる…と言えなくもないです。
ただ、ユンボがクスをメンバーに選んでいるという事は、しっかり働けると判断していると思いますので、まず問題ないでしょう。
個の力とチーム力を極めて高いレベルで併せ持った優勝候補として、ヴィンゲゴーを本命とします。
対抗:ポガチャルの不安要素は…
王座奪還を目指す「絶対王者」ポガチャルは、コンディションに若干の不安を抱えながらのツール開幕となります。
昨年の悔しさをバネにして…かどうかは分かりませんが、今シーズンのポガチャルは春先から「無双」をしていました。
パリ~ニースでは他を圧倒しての総合優勝、そしてワンデーレースでも「クラシックの王」ことロンド・ファン・フラーンデレン優勝、更にアムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌも制覇と、誰にも止められないような状態が続きます。
しかし、4月23日のリエージュ~バストーニュ~リエージュで、落車によって手首を骨折するアクシデントに見舞われてしまいます。
数日後には室内トレーニングを再開、その後も順調な回復を見せてツールに向けた高地トレーニングに参加と、一応ツールに問題なく参加できる流れにはなりました。
ツール直前で唯一のレース参戦となったスロベニア国内選手権では、ロードレースと個人タイムトライアルの両方で優勝と、一見すると何も問題は無いようにも思えます。
ただ、やはりチームとしても「そのコンディションが万全かは未だ不透明」という認識のようで、アシストに専念させる予定だったアダム・イェーツをサブエースとして備えさせるというGMのコメントも出ているような状況です。
万全ならその能力は間違いなく世界一ながら、果たして最高の状態でツールを戦えるのかは、一抹の不安が残る…と言ったところでしょうか。
ポガチャル自身のコンディションには不安がある一方で、チーム力は最高のものを…数年前までは「チーム力が不安要素」と言われていたのが信じられないぐらい素晴らしい布陣でツールに臨みます。
サブエースとして控えるアダム・イェーツ、昨年も最終盤までポガチャルを支えた頼れるベテランのラファウ・マイカ、UAE移籍で活き活きとアシスト業に励むマルク・ソレル、新加入した実力派クライマーのフェリックス・グロスシャートナー、登坂力でも急成長を見せるTT強者のミッケル・ビヨーグ、百戦錬磨の猛者マッテオ・トレンティン、職人系平坦牽引役のヴェガールスターケ・ラエンゲンと、ユンボに引けを取らない豪華でバランスの取れた布陣です。
昨年もかなり良いメンバーを揃えていましたが、アダム・イェーツが加わったのは相当大きなプラス要素でしょう。
アダム・イェーツは直近のドーフィネで総合2位と好走を見せていて、前述のように「サブエース」的な要素も含めて、相当大きな役割を果たしそうです。
また、昨年はアシスト選手がトラブルにより相次いでリタイアしたのもかなり影響してしまいましたが…、そういったアクシデントが無ければユンボに真正面から立ち向かえるチーム力を有していると評価できると思います。
コンディションの一抹の不安以外は最高クラスのポガチャルを、迷いながらも対抗とします。
穴:意外にもツール初参戦のヒンドレー
2022年のジロ覇者であるヒンドレーは、いよいよツールに初参戦になります。
ジロでは2020年の総合2位を経て昨年総合優勝と、その登坂力を武器に安定した成績を残しています。
今大会の「3位争いグループ」の中では、登坂力の安定感は随一と評価していいはずです。
また、グランツール総合優勝を最終盤まで本気で争った経験も、他の選手にはあまりないアドバンテージと言っていいでしょう。
3週間を通じて大きく遅れることなく、そして勝負所ではアタックを仕掛けてタイム差を稼ぎにいく、そんな冷静でしたたかな走りを見せられれば、シャンゼリゼでの表彰台が見えてくると思います。
チームとしては、総合一本鎗では無くスプリントも狙う体制なので、山岳アシストの陣容があまり厚くないのは若干の不安もあります。
ただ、2019年のツールで総合4位という実績のあるエマヌエル・ブッフマンがかなり調子が良さそうようなのは朗報です。
最終盤までヒンドレーをエスコートする護衛役として、活躍に期待できると思います。
登坂の安定感と経験を評価して、ツールは初挑戦ですがヒンドレーを穴枠とします。
大穴:スケルモースのポテンシャルや如何に
最後の一枠はかなり迷いましたが…、直近の走りを評価するならスケルモースが最も良いでしょう。
180cm・65kgと山岳系オールラウンダーらしい体格を有するデンマーク出身の22歳の若者は、今シーズン素晴らしい成績を残しています。
ツール前哨戦のツール・ド・スイスで総合優勝する総合力と安定感、ラ・フレーシュ・ワロンヌで2位に入る急勾配への適正、そして猛者がひしめくデンマーク国内選手権ではロードレース優勝にタイムトライアル2位と、ここまでのリザルトはヴィンゲゴーとポガチャルに次ぐレベルです。
もちろん、グランツールは2022年のジロ以来自身2度目の挑戦と、3週間の戦い方や適正に対してはまだまだ未知数で不安な部分も大きいでしょう。
ただ、それ以上にそのポテンシャルへの期待は大きいです。
何か特別なことをせずとも、「普通に走れば」総合上位に食い込む可能性は充分あると睨んでいます。
チーム力としては、ジロを新型コロナウィルス感染のためにキャンセルしたジュリオ・チッコーネがいるのは、山岳ステージでの戦力としては相当大きなプラス要素です。
もちろん、そのままチッコーネがエースを務める可能性もあり、そうなるとスケルモースはアシストに回らざるを得ません。
ただ、チッコーネは安定感に欠ける節があり、開幕前の段階ではどちらがエースなのか判断しにくいと言うか…、恐らくチームとしても「生き残った方をエースにする」ぐらいの感覚かと思います。
2人とも総合上位に生き残ってダブルエースとして運用できればそれがベスト、もし片方が遅れてもエース級のアシストとして活躍させればよしと、状況に応じた二段構えでしょう。
ポテンシャルの高さに期待も込めて、スケルモースを大穴として推します。
その他の有力候補
総合3位を狙いそうな候補が、かなりの数います。
- エンリク・マス(モビスター・チーム)
- ダニエル・マルティネス(イネオス)
- カルロス・ロドリゲス(イネオス)
- ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
- リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)
- サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- ロマン・バルデ(チームDSM・フェルミニッヒ)
- ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)
- ベン・オコーナー(AG2Rシトロエン)
ざっと、こんなところでしょうか。
実は、ドーフィネ開幕前はマスかランダを有力候補として考えていましたが、ドーフィネでマスが総合17位にランダが22位と、ちょっと調子が悪そうなんですよね…。
もちろん、ツールまでの3週間弱でコンディションを仕上げてくる可能性はありますが、推しにくかったというのが本音です。
あとは、イネオス勢の2人、マルティネスとロドリゲスも迷いました。
チーム力に関しては、マルティネス、ロドリゲス、ベルナル、ミハウ・クフィアトコフスキ、トム・ピドコック、ジョナタン・カストロビエホ、オマール・フライレ、ベン・ターナーと、それこそユンボやUAEにも対抗できそうなメンバーにも見えます。
ただやはり、エースの力で言うと…、2019年のツール覇者ベルナルが、前述の通り大怪我からの完全復活には程遠いような状況にあります。
そうなると、ジロ総合5位の実績を持っているマルティネスがエース級の走りを披露できていれば良かったと思うのですが、残念ながら今シーズンここまでワールドツアーでは活躍できていません。
ロドリゲスも、3月の負傷からドーフィネで復帰したばかりと、まだトップコンディションではない可能性が高いです。
いくらアシストが豪華でも、エースがしっかり戦えない可能性が高いとなると、予想には挙げにくいですね…。
ポイント賞争い ~ファンアールト次第?~
昨年は「ポイント賞を狙う」と公言したワウト・ファンアールト(ユンボ)が、現行制度での史上最高得点でポイント賞を受賞しました。
ただ、今回は「ステージ勝利は狙いつつ、ポイント賞を狙う為に走る訳では無い」といった旨のコメントをしています。
…要するに、どうなるかよく分からないですね(汗)。
判断に困りつつ、自分の予想は以下の通りです!
総合と違い、割とどの選手にも可能性があると思っています。
本命:フィリプセンは「現役最強スプリンター」と成れるか
昨年ツールでステージ2勝を挙げたフィリプセンは、間違いなく現役トップクラスのスプリンターです。
昨年まではアルペシンがワールドチームではなくプロチームだったため、チーム体制などの違いから純粋な評価がとても難しかったとも思います。
それでも、ワールドチームへと昇格した今シーズン、フィリプセンはここまで6勝(ワールドツアーでは3勝)と、相変わらず素晴らしいリザルトを残しています。
「スプリンター戦国時代」とも評される抜きん出た選手がいない状況ですが、フィリプセンは数少ない「最強」の候補と言っていいでしょう。
そんな抜群の個の力を有したフィリプセンのために、アルペシンは素晴らしい体制を整えてツールに臨みます。
セーアン・クラーウアナスン→ヨナス・リッカールト→ラモン・シンケルダム→マチュー・ファンデルプール→フィリプセンと繋ぐスプリントトレインは、今大会最強だと個人的には思います。
というか、この位置で「怪物」ファンデルプールを使えるのはあまりにも破壊的で、ファンデルプールで他チームのトレインを蹂躙してからフィリプセンが発射される、ライバルからしたらどうしようもない形での勝利を、今シーズン何度か挙げています。
ひたすらに平坦スプリントでポイントを稼ぐ、そんなやり方で充分勝ち得るだけの個の力とチーム力があると評価して、フィリプセンを本命にします。
対抗:ファンアールトは「狙わない」と言うけれども…
「脚質ファンアールト」とも称される異次元の万能性を有するファンアールトですが、前述の通り「今回は積極的にポイント賞を狙う訳ではない」とコメントしています。
ただ、「狙わない」とはいえ、ファンアールトがスプリントステージで勝利を狙いつつその脚質を存分に発揮すると、結果的にポイント賞争いに割って入るのではないか…という疑念が浮かびますよね。
ヴィンゲゴーをアシストするために「前待ち」で逃げに乗り、中間スプリントポイントで稼ぐというケースも、普通にあるでしょうし…。
ただ、そうだとしても昨年のような圧倒的なポイント差を付けるような状況にはならなそうで、ポイント賞争いがもつれたまま最終盤に突入した場合のファンアールトの振る舞いは、なかなか興味深いところです。
昨年のような「大本命」ではないとしても、その脚質でポイントを稼ぎ得るファンアールトを対抗とします。
穴:ヤコブセンと「ウルフパック」の戦い方
フィリプセンに並ぶ現役トップスプリンターとして、自分はこのヤコブセンを挙げます。
2020年の大クラッシュから奇跡の復活を経て、2021年にはブエルタ・ア・エスパーニャでステージ3勝を挙げてのポイント賞、2022年はツールでの1勝を含む年間13勝と、質も量も充実のリザルトを残し続けています。
今大会も当初は本命に挙げようか迷っていたぐらい最強候補なのは間違いないですが、個人的にはチームのメンバーに若干の不安というか…変化を感じます。
最強のスプリントチームである「ウルフパック」ことスーダルは、ヤコブセンの他に、ジュリアン・アラフィリップ、カスパー・アスグリーン、レミ・カヴァニャ、ティム・デクレルク、ドリス・デヴェナインス、イヴ・ランパールト、ミケル・モルコフと、確かに豪華な布陣では臨みます。
ただ、トレイン要員の中で、スプリンター寄りの選手がモルコフ1人のみなのは、今までと明確に違う点です。
もう1人、例えばフロリアン・セネシャルやダヴィデ・バレリーニやベルト・ファンレルベルフのような、最終リードアウト役も務まるぐらいスピードに優れた選手を連れて来て、他のチームを圧倒するようなトレインの力を見せてそのまま勝ち切るのが、クイックステップの必勝パターンだったと思います。
その部分の選手を削って、デクレルク、カヴァニャ、アスグリーン、ランパールトと、ルーラー系の選手…中長距離の巡航・牽引に強みのある選手を多く揃えたのは、なかなか興味深い変化です。
まあ、モルコフもヤコブセンも、他のチームの動きを利用する上手さを持っている選手なので、大きな問題は無いのかもしれませんが…、果たして結果はどう転ぶでしょうか。
トップを狙える力を間違いなく持ちつつ、個人的には陣容の変化で少し評価を落としてヤコブセンを穴枠に選出します。
大穴:ピーダスンは「ファンアールト式」でどれだけ稼げるか
昨年ブエルタでステージ3勝を挙げてポイント賞を獲得したピーダスンは、現役屈指の登れるスプリンターと言っていいでしょう。
中程度の登りなら難なくこなす登坂能力、逃げに乗る積極性、アタックから独走を仕掛ける攻撃性、そして平坦スプリントでもポイントを稼げる純粋なスプリント能力と、ポイント賞を目指すために必要な能力を満遍なく高いレベルで有しています。
平坦スプリントでステージ勝利を狙うのは少し難しいかもしれませんが、いわゆるピュアスプリンターでは稼ぐことの出来ない部分で差を付けて、上位に食い込む可能性は充分にあるでしょう。
昨年のファンアールトのように、もしくは2010年代のペテル・サガン(トタルエネルジー)のように…は流石に少し言い過ぎな気もしますが、やっていることはかなり似通っているはずです。
また、リドルがヤスペル・ストゥイヴェンにアレックス・キルシュと、割と強力なアシストを連れてきたのも追い風でしょう。
戦い方次第では充分に勝機を見出せるピーダスンを大穴とします。
その他の有力候補
まず可能性が考えられるのは、あまり人数はいませんが複数のステージを勝ち得るピュアスプリンターですかね。
- カレブ・ユアン(ロット・デスティニー)
- ディラン・フルーネウェーヘン(ジェイコ)
ユアンはあまり「ポイント賞狙い」という感じはしませんが、ヤスペル・デブイスト→ジャコポ・グアルニエーリ→ユアンという並びは、今大会ではアルペシンやスーダルと共に「3強トレイン」と評していいと思います。
フルーネウェーヘンも、優秀な平坦系ルーラーを多く揃えるチーム構成から、ルカ・メスゲッツ→フルーネウェーヘンと繋ぐスタイルは、安定して勝負に絡めそうです。
あと、ピュアスプリンターではない選手では、ツール初出場となるビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)も充分候補に入り得るでしょうか。
ファンアールトやピーダスンのように、ピュアスプリンターには出来ない戦い方でかき回してくれそうです。
山岳賞 ~結局、総合勢なのかその他なのかが分からない~
さあ、毎年「一番難しい」と言っている山岳賞ですが…、ここ3年は総合優勝した選手がそのまま山岳賞を獲得しています。
ただ、予想をする段階では総合勢の選手は挙げにくいというか、他の選手の名前を挙げたくなるんですよね…。
そんな葛藤を抱えつつ…自分の予想がこちら!
願望が入っているのは気のせい…ではないですね。
本命:ヴィンゲゴーが総合優勝するなら、自然と…
ヴィンゲゴーが総合優勝する、それは即ち山岳ステージでポガチャルを打ち破ったことを意味しています。
そうなると自然と山岳ポイントを大量に稼ぐ訳で…。
まあ、ヴィンゲゴーを本命に選出するのは自然な流れとしか言いようが無いですね。
登坂で最も強かった選手が山岳賞を獲得する、至極当然の結果になれば納得性も高いでしょう。
対抗:カラパスという選手の面白さ
純粋に登坂力だけを評価するなら、カラパスは2021年のツールで総合3位に入ったことからも窺えるように、「2強」にかなり近い存在と評してもいいでしょう。
ただ、今シーズンはイマイチ調子が上がっていなくて…、個人的には総合争いに加わらないのではないかと考えています。
そうすると、昨年のブエルタのように、早々にタイムを失いつつ2週目以降にステージ勝利と山岳賞を狙うというスタイルは、容易に想像が付くと思います。
山岳賞を狙うかどうかは不透明ですが、狙うシチュエーションにも充分なり得る、そして狙えば相当強いカラパスを対抗として挙げます。
穴:ピノは最後のツールでどう魅せるか
今シーズン限りでの引退を表明しているピノは、直前になってツールへの出場が決まりました。
引退と言っても、5月にはジロで山岳賞を獲得したように、まだ力が大きく失われている訳では無く、ステージ勝利を目標に設定しているようです。
ステージ勝利を目指して積極的に逃げに乗り、そして終盤の難関山岳ステージで勝利を挙げたりすると、その流れで意図せずとも山岳ポイントを大量に稼いでいる可能性は、割とあり得ると思います。
ツールに情熱を傾け、その一方で翻弄もされ続けたピノ、そのラストに相応しい活躍に期待も込めて、穴枠として推します。
大穴:ベルナルの復活に期待と祈りを込めて…
あまり多くを語る必要は無いかもしれませんね。
ベルナルの復活に期待している、単純にそれだけです。
…と言いつつ、一応それっぽい理屈付けもしておきます。
今シーズン、ツール・ド・ロマンディ総合8位にドーフィネ総合12位と、ベルナルはそれなりに登れる姿を見せています。
ただ、あくまで「それなり」であり、総合優勝を目指せるかと言うと…、正直なところ総合10位以内に入ったら上出来すぎるぐらいでしょう。
そうすると、もし早々にタイムを大きく失った場合、そしてその上でマルティネスやロドリゲスも振るわなかった場合、アシスト業務から解放されて積極的に逃げに乗る…という可能性はそれなりにありそうです。
ステージを狙いつつ、道中で山岳ポイントを稼いで、気が付けば…という展開を期待してもいいでしょう。
大きな期待を込めつつ、期待だけではなく割とあり得る展開ということで、ベルナルを大穴に推します。
ヤングライダー賞 ~この展開は今年が最後~
ポガチャルがヤングライダー賞の対象である以上、トラブルが無い限りヤングライダー賞は事実上確定しているようなものです。
実質、この予想は2位以下に誰が入るのかを当てるゲームと化していますね。
改めて書き起こしてみると…、これはなかなかいい若手が揃っている気がします!
本命:ポガチャル、「4年連続4回目」
いや~、もうポガチャルのヤングライダー賞に関しては、正直なところもはや書くべき内容が無いような状態ですよ。
総合優勝を争う「2強」なのだから、ヤングライダー賞を獲るのは必然。
以上、終了です。
来年からはポガチャルがヤングライダー賞の対象外となるので、この状況も今年で最後だと思うと、何と言うか…少し安心しますね。
対抗:スケルモースは好調をキープできるか
当然、総合の予想で大穴に挙げたスケルモースも自然とこの位置になります。
ポテンシャルは間違い無いですが、焦点はコンディションと経験でしょう。
ツール直前で絶好調に見えるのはもちろん悪い事では無いですが、もしピークが早すぎるのだとしたらまずいですし、3週間を戦う中でコンディションを崩す可能性も勿論あります。
逆に言えば、そこさえクリアすればかなり良い位置に食い込むのではないかと予想しています。
ポガチャルが総合首位に立ち、繰り下げでスケルモースがヤングライダージャージを着る可能性は、結構あるのではないでしょうか。
穴:グランツールでの実績もあるロドリゲス
昨年のブエルタで総合7位の実績があるロドリゲスは、コンディションさえ整っていれば総合トップ10入りも現実的な実力を持っているでしょう。
3月のストラーデ・ビアンケでの落車によって長期離脱を余儀なくされてしまいましたが、復帰戦となったドーフィネでは総合9位という成績を残しています。
ポジティブに捉えるなら、復帰戦でこの成績ならそれなりに評価も出来ますし、イネオスのチーム力もロドリゲスの順位を押し上げる大きな要素になり得るとは思います。
まあ逆にそのチーム力は、ロドリゲス自身の走りが不甲斐なければアシストとしての役割を強いられることになりますが…。
スペインの未来を担う期待の若手として、なんとか頑張って欲しいところです。
大穴:ガルの成長曲線
ヤングライダー賞対象の最終年となる25歳のガルは、今シーズン大きな成長を見せています。
特に、ツール前哨戦のツール・ド・スイスでステージ1勝を挙げて総合8位に入ったのは、かなり大きなリザルトと言っていいでしょう。
スイスの他に、イツリア・バスクカントリー総合10位、ツアー・オブ・ジ・アルプス総合9位というリザルトを残している点も、安定感も含めて評価できる部分です。
チームにはオコーナーというエースがいますが、ダブルエース、もしくは割と自由を与えられる立場として動ければ、なかなか面白い存在になるのではないかと期待しています。
その他の有力候補
真っ先に思い浮かぶのは、マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター・チーム)です。
今シーズン、パリ~ニースで総合8位、ロマンディで総合2位とかなりのリザルトを残していますが、直近のドーフィネでは総合63位と大きく遅れてしまっています。
また、チームにはマスという絶対的なエースがいるので、アシストに専念する可能性が高いこともあり、迷いつつもこの位置での紹介になりました。
あとは、登坂力があるという意味ではトム・ピドコック(イネオス)もかなりのものを有していますが…、正直なところあまり総合争いに加わる姿がイメージ出来ないんですよね。
昨年同様、ステージ優勝狙いの「アタッカー」として活躍するのではないでしょうか。
今年も思いっきり楽しんでいきましょう!
予想記事を書いておいてあれなんですが、ヴィンゲゴーとポガチャルによる総合争いも、群雄割拠のポイント賞争いも、結果がどうなるか全く分からいぐらい力が拮抗していると思います。
裏を返せば、それだけ白熱した勝負が繰り広げられることになりそうで、本当に楽しみです。
最高の舞台での最高の争いを、3週間思う存分楽しんでいきましょう!!