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【レース感想】ツール・ド・フランス2023 第1ステージ

兄弟アタック!!

2023年のツールは、スペインのバスク地方ビルバオで開幕!

用意されたのは、バスク地方らしい厳しいアップダウンが登場して獲得標高が3,300mにもなる、第1ステージとしては異例の難易度のレイアウト。

特に、残り11.6kmで登場するピケ峠は、登坂距離2km・平均勾配10%というプロフィール以上に、後半1kmは13%の勾配を誇るかなりの難所。

いきなり総合勢が動く可能性も…?

 

長めのパレードランを経て、いよいよアクチュアルスタート!

と同時に、5人の選手が勢いよく飛び出して、早々に先頭集団を形成。

リリアン・カルメジャーヌ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)、シモン・グリエルミ(アルケア・サムシック)、パスカル・エインコールン(ロット・デスティニー)、ヨナス・グレゴー(ウノエックス・プロサイクリングチーム)、ヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)と、まずまずのメンバーだ。

メイン集団はこの5人に大きなリードを与えず、1分30秒前後のタイム差でコントロール

残り88.2km地点の中間スプリントポイントでは、メイン集団で先着争いが発生。

ポイント賞争いに意欲を見せる選手がスプリントをして、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が先着(全体6番手)成功で10ptを獲得。

以下、ペテル・サガントタルエネルジー)、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)、ブライアン・コカール(コフィディス)と続く格好に。

サガンカヴェンディッシュと、今回が最後のツールとなるレジェンド2人が積極的なのは、なんだか喜ばしいことだと思う。

 

コース後半に入って起伏の厳しさが増すと、メイン集団から徐々に選手が零れ落ちていく、ハードな展開に。

ピュアスプリンターだけではなく、割と登れそうな選手の姿もちらほら混ざっているぞ…。

残り50kmで逃げが吸収されると、続いて展開があったのは残り27.1kmに登場する2級山岳。

この日最もカテゴリーの高い山岳ということで、山岳賞ジャージ着用を目指してアタックを仕掛けたのは、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)!

オルグ・ツィマーマン(アンテルマルシェ)が反応したけれども、パウレスはそのまま先頭通過に成功して、この日の山岳賞を無事に確定させた。

 

残り22km、下りのコーナーで落車が発生。

倒れているのは…、なんと総合争いの有力候補であるエンリク・マス(モビスター・チーム)とリチャル・カラパス(EF)…!?

マスは肩甲骨の骨折で即時リタイア、大きく遅れつつなんとか完走したカラパスも、膝蓋骨に軽度の骨折が判明したため、レース終了後にリタイアすることに。

う~ん、初日から残念なアクシデントとなってしまった…。

 

注目のピケ峠に突入すると、UAEチームエミレーツユンボ・ヴィスマの牽引でメイン集団はかなりペースが上がる。

山頂まで1kmを切って急勾配区間に入り、UAEはフェリックス・グロスシャートナーからアダム・イェーツへと牽引を繋ぎ、集団が千切れる…!

なんとそのまま、アダム・イェーツ、タデイ・ポガチャル(UAE)、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)、ヴィクトル・ラフェ(コフィディス)の4人が先行…!?

山頂まで残り500mでアダム・イェーツが牽引を終えると、先頭に出るのはポガチャル…!!

いやいや、まさか初日からポガチャルとヴィンゲゴーがやり合う格好になるとは…。

 

山頂をポガチャル、ヴィンゲゴー、ラフェという並びで通過すると、下りでアダム・イェーツ、サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、マティアス・スケルモース(リドル)、ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)がすぐさま合流。

その直後、アダム・イェーツがスルスルっとペースを上げて抜け出しを図ると、追随したのはなんとサイモン・イェーツ…!!

まさかのイェーツ兄弟アタック…!!

これは熱い!!

 

先頭の2人を追いかける集団には後ろから選手が合流してきて、ヴィンゲゴーだけでなくウィルコ・ケルデルマン、セップ・クス、ワウト・ファンアールトと人数を揃えたユンボが牽引する流れに。

ただ、あまりペースは上がらず、残り2kmでタイム差は17秒と、逃げ切りが濃厚な感じだ。

 

先頭の2人が残り1kmを切って最後の登りに突入、追走とのタイム差は20秒と、これは完全にイェーツ兄弟でのステージ勝利争いだ。

残り500m、サイモン・イェーツが表情を歪めながら若干ペースを緩める…?

なんと、サイモン・イェーツは足が攣ったらしく…アダム・イェーツに付いていけない…!!

対照的に軽快なダンシングを見せるアダム・イェーツは、悠々とフィニッシュ地点へ…!!

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最強の双子対決を制して、ツールの開幕ステージ勝利を掴んだのはアダム・イェーツ!!

アダム・イェーツは、これが意外にもグランツール初勝利!!

いや~、なんというシナリオだ!

まさかツールの開幕ステージで、これだけ劇的な出来事が起こるとは…!

史上稀にみる難易度の開幕ステージという事で色々心配もしていたけれども、こういったことがあるからレースは分からない!

 

そして、追走集団はアダム・イェーツから12秒遅れてのフィニッシュ。

ポガチャルがしれっとスプリントで先着して、3位のボーナスタイム4秒をもぎとったのは流石の一言。

他にこの集団でフィニッシュできたのは、ヴィンゲゴー、スケルモース、ゴデュ、ケルデルマン、ファンアールト、ラフェ、ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ティボー・ピノ(グルパマ)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)、マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)、たったこれだけ。

ここから更に21秒遅れの集団には、エガン・ベルナル(イネオス)、ロマン・バルデ(チームDSMフェルミニッヒ)、エマヌエル・ブッフマン(ボーラ)、ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ)、ギヨーム・マルタンコフィディス)、ジャック・ヘイグ(バーレーン)、ペッリョ・ビルバオバーレーン)、ベン・オコーナー(AG2Rシトロエン)、フェリックス・ガル(AG2R)、ジュリオ・チッコーネ(リドル)、トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス)といった総合系選手が。

思った以上にタイム差が開いた上に、ポガチャルとヴィンゲゴーの「2強」がしっかり前に乗ったのは、他のライバルには結構な痛手かもしれない。

ただ、当然ツールはまだ開幕したばかり。

この先どんな展開が繰り広げられるのか、楽しみにしていきたい。