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【レース感想】ツール・ド・フランス2024 第17ステージ

「勝負所」への嗅覚

第17ステージは、スタートから約120kmは緩い登り基調、そして終盤には2級・1級・3級と3つのカテゴリー山岳が登場する、なんとも難易度が分かりにくいレイアウト。

ガチガチの総合争いが発生するには少し緩いように感じるので、クライマーによる逃げ切りの可能性が高そうか。

 

レースはスタート直後からかなりハイペースの展開になり、逃げたい選手はいるけれどもなかなか飛び出すのが難しいような状況に。

やっと逃げが出来上がったのは、50km以上走ってから。

ティシュ・ベノート(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、ボブ・ユンゲルス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、ロマン・グレゴワール(グルパマFDJ)、マグナス・コルト(ウノエックス・モビリティ)と、かなり強力な4人での逃げに。

ただ、メイン集団はこの4人に最大でも1分強と大きなタイム差を許さず、逃げに飛び乗ろうと追走集団を作る動きが活性化したまま。

中間スプリントポイントを越え、そろそろ2級山岳が近づいてきたタイミングで、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)、サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、ワウト・ファンアールト(ヴィスマ)、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)、エンリク・マス(モビスター・チーム)、パヴェル・シヴァコフ(UAEチームエミレーツ)、スティーブン・ウィリアムズ(イスラエル・プレミアテック)など、実績のある選手がかなり入り込んだ40人ほどの追走集団が形成される。

総合争いに直接関わる選手がこの追走集団に居なかったので、メイン集団は急激にペースダウンをして、先頭と追走による逃げ切りを完全に容認。

実力者多数、激熱な山岳逃げ勝負だ。

 

追走集団は思うように先頭の4人とのタイム差を詰められず、1分40秒ほどのタイム差で2級山岳に突入。

2級山岳で追走集団から飛び出したのは、ギヨーム・マルタンコフィディス)とバランタン・マデュアス(グルパマ)のフランス人コンビ。

マルタンとマデュアスは、2級山岳を越え、1級山岳に入ってから先頭への合流に成功。

それとほぼ同時に、40秒後方の追走集団からアタックを仕掛けたのはサイモン・イェーツ。

サイモン・イェーツはあっという間に先頭に追い付くと、そのまま追い越して単独で先頭へ!

そのサイモン・イェーツを後方から追いかけるのは、追走集団から遅れて飛び出したカラパスとウィリアムズ。

カラパスは強烈なペースでウィリアムズを突き放して、山頂まで3.3kmの位置でサイモン・イェーツに合流する。

山頂まで残り1.8km、勾配の厳しい区間でアタックを仕掛けたのはカラパス!

サイモン・イェーツは…反応できない!!

山頂までに10秒強のタイム差を作り出したカラパスは、その後も徐々にタイム差を開いていき、フィニッシュまで独走!!

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抜群の仕掛けから、鮮やかな独走勝利!

ツール初勝利のカラパス、全グランツールでのステージ勝利を達成!!

この勝負所への嗅覚、流石の一言!

「どこでアタックすれば決まるか」の判断、カラパスはいつも本当に素晴らしい…!

 

そして、後方のメイン集団でも、1級山岳で動きが発生。

山頂近くでアタックを見せたのは、総合首位のタデイ・ポガチャル(UAE)。

一旦抜け出したポガチャルだったけれども、総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ)と総合3位レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が、前方から降りてきたクリストフ・ラポルト(ヴィスマ)の力も借りて、下り区間で合流に成功。

最後の3級山岳に入った直後、エヴェネプールがアタックを仕掛けると、総合タイム差のあるポガチャルとヴィンゲゴーは、この動きを静観。

エヴェネプールにはヤン・ヒルト、ポガチャルとヴィンゲゴーにはシヴァコフ、ベノート、ファンアールトという、逃げていたアシスト選手が合流してそれぞれ前を牽く展開に。

そのまま、まずはエヴェネプールが先着、10秒後にポガチャル、最後のスプリントで離されたヴィンゲゴーはさらに2秒後にフィニッシュ。

動きはあったけれども、実質ほぼ動かず。

総合争いは、第19ステージ以降に持ち越されることに(第18ステージは…流石に動かないよね?)。