雨のタイムトライアル
2週目の幕開けとなる第10ステージは、28.6kmの個人タイムトライアル。
ほぼ平坦基調で第2ステージ以上にタイムトライアルスペシャリスト向けなこの日、リザルトに大きな影響を与えたのは、雨だった。
本スタート前の試走時に振っていた雨は、第1走者がスタートする前に一旦降りやみ、路面もドライコンディションに。
しかし、総合上位勢がスタートする頃にまた雨粒が落ち始めると、最終盤は結構な本降りになってしまう。
そうなると、総合勢はリスク回避の安全走行を選択せざるを得なくなる。
結果としてこの日のステージ優勝は、雨が降り始める前にスタートした、総合争いと関係のない順位の選手によって争われることに。
まず素晴らしい走りを見せたのは、オランダのタイムトライアル王者であるダン・ホーレ(リドル・トレック)。
昨年ジロではジョナサン・ミランをポイント賞に導き、そして今大会もここまでマッズ・ピーダスンの快進撃を支える「陰の立役者」は、アシスト業から解き放たれたことでその本領を存分に発揮。
198cmの長身をバイクの上で折りたたみながら、体格に由来する圧倒的な出力で突き進む!
トップタイムをマークしたホーレを打ち破る筆頭候補は、当然第2ステージで勝利したジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアーズ)。
中間計測ではホーレのタイムを17秒も上回ったターリング、しかし後半は伸びず、最終的には6秒遅れでのフィニッシュに…!
そして前述のとおり、総合勢は雨の中でタイムを伸ばせなかったので、ステージ優勝は長時間ホットシートに座り続けたホーレのものに…!!
アシストとしていぶし銀の活躍を続けてきたホーレ、ジロという大舞台でプロ2勝目をマーク!!
まさか、ターリングを破るとは…!
これはもしかしたら、ただの平坦牽引役では収まらない選手なのでは…?
そして、これまた前述のとおり、総合勢は誰もが抑えめの走りに徹してフィニッシュ。
総合勢のトップタイムはステージ17位のプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)で、ホーレから1分14秒というタイムという、かなり異例の事態に。
総合順位を落とした主な選手は、ジュリオ・チッコーネ(リドル、5位→8位)、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、4位→9位)、そしてエガン・ベルナル(イネオス、7位→11位)。
特にベルナルは、濡れた路面でスリップして落車してしまい、ホーレから2分58秒遅れ、ログッリチから1分44秒遅れと、かなりのタイム損失に…。
派手なクラッシュだった割に大きなケガが無さそうなのは、不幸中の幸いと言えるかもしれないけれども…。
どうも、上手く噛み合わないね…。