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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2021 第19ステージ

仕掛ける挑戦者、動じない王者

最終盤の山岳連戦、まずは1級山岳フィニッシュとなる第19ステージ。

当初の予定では1級山岳、3級山岳、1級山岳というかなりハードなコース設定だったけれども、数日前に発生したロープウェイ落下事故の影響で最初の1級山岳が4級山岳へと変更になり、難易度は少し下がる形に。

それでも、フィニッシュの1級山岳は登坂距離9.7km・平均勾配9.0%という、勝負の舞台として十分に相応しい厳しさを誇る。

 

この日の逃げは6人、メイン集団とのタイム差は4分ほどと、あまりリードを許してもらえない展開に。

メイン集団を牽くのは総合3位のサイモン・イェーツを抱えるチーム・バイクエクスチェンジ。

総合2位のダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)、そして総合1位のエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)を捉えるため、やはり積極的なレース運びを見せている。

 

4級山岳の下りでは、総合8位のジョアン・アルメイダを擁するドゥクーニンク・クイックステップがかなりのペースアップを仕掛け、メイン集団は分裂。

後方集団にベルナルの最重要山岳アシストであるダニエル・マルティネスが取り残されていたけれども、ここはフィリッポ・ガンナが下りてきて猛牽引を見せて、集団は再び1つになる。

ベルナルを応援している自分からするとかなり冷や汗をかく展開だったけれども、ガンナがいてくれて本当に良かった。

ガンナはその後の3級山岳でも強力な牽引を見せて、厳しい展開にメイン集団は人数を減らす事に。

 

1級山岳の入り口付近で逃げ集団は吸収され、いよいよ総合勢による争いが始まる。

まず集団の先頭を牽くのは、ここまでも積極的に牽く姿勢を見せていたドゥクーニンク・クイックステップ

ジェームス・ノックスが残り7kmを切る辺りまでアルメイダをエスコートして、アルメイダはここから早めのアタック!

総合首位のベルナルにとって脅威ではないアルメイダのアタックには、やはりイネオスは反応しない

続いて、残り6.4km地点で動いたのはサイモン・イェーツ!

3分23秒遅れの位置にいるサイモン・イェーツのアタック、そしてこれに追随した総合2位のカルーゾ、総合4位のアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック)といった面々に対してイネオスは…これもまた静観の構え。

サイモン・イェーツ達がアルメイダに追いつく中、ジョナタン・カストロビエホとマルティネスという2人に守られながら、ベルナルは淡々とマイペースで登っていく。

 

残り5.5km、サイモン・イェーツが再度アタックを仕掛けて、単独で先頭へ!

この時点でベルナルとのタイム差は15秒、そしてベルナルは…ここでもやはり動かない。

サイモン・イェーツは徐々にタイム差を広げ、残り4km地点で30秒差。

しかし、イネオスもカストロビエホからマルティネスへと牽引をスイッチしてペースを上げ始め、サイモン・イェーツ以外の先行していた選手を吸収、そしてタイム差がそれ以上は広がらなくなってくる。

依然先頭のサイモン・イェーツが残り2.5km、メイン集団はこのタイミングでマルティネスが仕事を終えて下がると、ベルナル自らが加速!

ウラソフ、そしてカルーゾを引きちぎり、唯一食らいついてきたアルメイダと共に20秒先のサイモン・イェーツを追いかける!!

ベルナルの踏み、そしてその視線には、第17ステージと違って力強さが戻っているぞ!

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先頭を走るサイモン・イェーツと、追いかけるベルナル達とのタイム差がほぼ動かないまま残り1kmを通過!

かなり苦しい表情を見せながらもベルナルにしがみついてきたアルメイダは、緩斜面区間に入るとベルナルの前に出て、残り500m辺りから最後の力を振り絞ってサイモン・イェーツ目掛けて加速を見せる!!

ベルナルは無理してアルメイダを追いかけず、そしてサイモン・イェーツの踏みは最後まで衰えない!

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サイモン・イェーツ、その強さを改めて証明する見事なステージ勝利!!

フィニッシュの5km以上前からという早めの仕掛けを見せながら、最後まで勢いを失わず、3週目に入ってコンディションが上がっている事を改めて披露!

これで総合2位のカルーゾまで20秒と、山岳一発で逆転可能な射程圏に捉えた!

 

惜しくもステージ2位に終わったアルメイダも、総合順位こそ上がらなかったものの、ライバル達との差を大きく詰める事に成功!

最終日が得意の個人TTな事を考えると、総合4位辺りまでは上がる可能性も出てきた!

 

そして、ステージ3位のベルナルは、サイモン・イェーツから28秒遅れでフィニッシュ!!

サイモン・イェーツにはボーナスタイムも含めて34秒詰められるものの、依然2分49秒のリードをキープ。

そして総合2位のカルーゾを8秒突き放し、総合タイム差は2分29秒。

ライバルの早めの仕掛けにも慌てない堅実で冷静な走りで、総合首位の座をしっかりと守って見せた!

 

残すは1級山岳3連発の第20ステージと、最終日の個人TTのみ!

まだ最後まで分からないけれども、ベルナルはマリア・ローザ獲得に向けて視界良好!!

最後まで力強く、冷静に、そして熱く駆け抜けろ!!