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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2022 第9ステージ

さあ、総合争いの本格開戦だ

第1周目の最終日は、終盤に2つの1級山岳(パッソ・ランチャーノとブロックハウス)が登場する、本格的な山岳ステージ。

フィニッシュ地点となっているブロックハウスは、登坂距離13.7km・平均勾配8.5%と、そのプロフィールに申し分なし。

間違いなく、激しい総合争いの舞台となる。

 

この日の逃げは、途中でディエゴ・ローザ(エオーロ・コメタ)単独の抜け出しなどもあったけれども、結局はそのローザも含めた9人に落ち着く。

メイン集団はイネオス・グレナディアーズが牽引して逃げとのタイム差をコントロール

イネオスは、本来ならブロックハウスの登り口ぐらいから使いたいであろうジョナタン・カストロビエホをこの時点で投入。

落車の影響で調子が上がらないカストロビエホだったけれども、最大で5分以上あった逃げとのタイム差を、パッソ・ランチャーノ突入の段階で2分台に縮める働きを披露。

この様子なら2週目終盤や3週目にはしっかりコンディションが戻っている可能性が高そうだ。

 

パッソ・ランチャーノの登坂で、先頭集団はナンス・ペテルス(AG2Rシトロエン)のアタックをきっかけに絞り込みが掛かる。

生き残ったのはペテルス、ナトナエル・テスファチオンとエドゥアルド・セプルペダのドローンホッパー・アンドローニジョカトリ勢、そして少し遅れて追いついてきたローザの4人。

ここからアタックを仕掛けたのは、この日序盤の独走時にも山岳ポイントを獲得していたローザ。

この動きに対応できたのはテスファチオンのみ、そしてテスファチオンは山頂先頭通過に意欲は見せず、ローザが先頭で山頂を通過。

これでローザは、山岳賞争いでクーン・ボウマン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)を抜いてトップに躍り出た。

その後のダウンヒルでは、テスファチオンがローザを置き去りにして独走を開始。

しかし、テスファチオンはコーナーでコースアウトして激しく藪に突っ込んでしまう…。

幸い、大きなケガは無かったようでテスファチオンはレースに復帰。

崖や岩肌ではなく、藪でよかった…。

 

ブロックハウスの登り口では、先頭を走るローザに追走集団からペテルスとジョー・ドンブロウスキ(アスタナ・カザクスタン・チーム)が追いつき、更にそこからドンブロウスキが飛び出す格好に。

ただ、気が付けば背後まで迫っていたメイン集団が、残り15.8kmでドンブロウスキを吸収。

いよいよここからが本番、総合勢による火花を散らすような激戦の幕が上がる。

主導権を握るのは相変わらずイネオス、前からベン・トゥレット、パヴェル・シヴァコフ、リッチー・ポートと強力な山岳アシストを3枚並べて、その後ろには当然エースのリチャル・カラパスが控えている。

まずは驚異の新人トゥレットの牽引、これがかなり速いペースで、集団からどんどん選手がこぼれ落ちていく。

残り12.5km、イタリアの期待を一身に背負うジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)が脱落。

そして残り11.9km辺りでは、第4ステージでの落車の影響が心配されていたサイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が遅れてしまう!?

レース後に「暑さにも苦しんだ」とコメントしたサイモン・イェーツは、結局11分ものタイムを失う事に…。

 

破壊力抜群のイネオス山岳トレインはトゥレット→シヴァコフ→ポートと交代しながら威力を発揮し続けて、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)やウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)、ギヨーム・マルタンコフィディス)といった有力選手も脱落。

残り5km、勾配が厳しくなる勝負所の入り口でも先頭では依然ポートが牽引、メイン集団は11人。

  • ポート(イネオス)
  • カラパス(イネオス)
  • エマヌエル・ブッフマン(ボーラ)
  • ジャイ・ヒンドレー(ボーラ)
  • ロマン・バルデ(チームDSM
  • ティメン・アレンスマン(DSM
  • ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス
  • ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ
  • ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ)
  • アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
  • ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)

途中で苦しそうな感じを見せていたアルメイダは、ギリギリ集団最後尾に食らいついているように見えるけれども…?

 

残り4.6km、アタックを仕掛けたのはカラパス!!

反応できたのはバルデとランダの2人のみだ!!

この3人を追いかけるのはアルメイダ、ニバリ、ヒンドレー、ポッツォヴィーヴォの4人…え?

アルメイダ!?

真っ先に遅れそうなぐらい苦しそうに見えたんだけれども、追走集団の先頭を牽いている…!

粘り、そしてペース走が持ち味なのは分かってはいたけれども、凄いな…。

残り3km辺りでニバリが脱落しつつ、生き残った3人は残り2.kmで先頭の3人に合流。

そこからバルデのアタックで先ほどまでと同じ3人・3人に分かれたりはしたけれども、結局はまたしてもアルメイダの牽引で再合流。

そのままカラパス、バルデ、ランダ、アルメイダ、ヒンドレー、ポッツォヴィーヴォの6人でのフィニッシュスプリントに。

残り300mの最終コーナーに先頭で突っ込んだのはヒンドレー!

残り150m、カラパスとバルデが前に出てくる!

残り100mを切り、3人がほぼ横並び!!

そのままほぼ横一線でフィニッシュに向かう!!

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激戦を制したのは…ヒンドレー!!

ヒンドレーは総合2位に入った2020年以来、ジロ通算2つ目のステージ勝利!!

ケルデルマンにブッフマンというエースになり得るチームメイトが遅れる中、その自慢の登坂力で自らがエースであると名乗りを上げる事に成功!

こうなると、ケルデルマンとブッフマンが超強力なアシストに変身する訳で、ボーラの陣容はイネオスに次ぐ(もしかしたら並ぶぐらい)強力なものに思える。

調子が良さそうなカラパス、バルデ、ランダ、そして相変わらずの粘りを見せるアルメイダ辺りと、どのような総合争いを見せてくれるのか本当に楽しみだ。

 

そして、先頭から1分46秒遅れでマリア・ローザを着たフアン・ロペス(トレック)がフィニッシュ。

ロペスは12秒差でギリギリ総合首位の座を守る事に成功!

現時点で、今大会最大のサプライズとも言えるロペスによるマリア・ローザのキープは、どこまで続くだろうか。

走行中やレース後に多彩な表情を見せる華のある選手だから、可能な限り頑張って欲しい。