まさに絶好調!!
スタート直後の2級山岳など5つのカテゴリー山岳を越えて、最後は1級山岳コリャウ・ファンクアヤ(登坂距離10.1㎞・平均勾配8.5%)へとフィニッシュするレイアウト。
1級山岳コリャウ・ファンクアヤは、最大勾配19%、そしてラスト3kmは常に10%以上の勾配と、間違いなく激しい総合争いが繰り広げられる。
一体、どんな展開になるのか。
一旦8人の逃げが決まったように思われた後、グルパマFDJのセバスティアン・レイシェンバックがティボー・ピノを引き連れて逃げ集団への合流を目指す。
更には、既に逃げに乗っていたブルーノ・アーミライもピノを引っ張り上げる為に降りて来て、3人で先頭への合流に成功。
これで、ピノ、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ジェイ・ヴァイン(アルペシン・ドゥクーニンク)、アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン・チーム)、マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)、マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード)など、かなりの実力者が揃った10人の逃げ集団が形成された。
メイン集団を牽引するクイックステップ・アルファヴィニルは、逃げに4分前後のタイム差を与えながらコントロールしている。
この日は特別賞ジャージ争いに動きが発生。
まず、逃げに乗ったヴァインが道中全ての山岳を先頭通過した事で、山岳賞争いのトップに躍り出る。
ちなみに、この日山岳賞ジャージを着用していたヴィクトル・ランゲロッティ(ブルゴスBH)は、落車に見舞われて残念ながらリタイアとなってしまった。
そしてポイント賞ジャージは、これまた逃げに乗っていたピーダスンが道中の登坂をしっかりと乗り切り、コース終盤の中間スプリントポイントを先頭通過。
これにより、ピーダスンはサム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)を5pt上回り、ポイント賞のトップへ。
ピュアスプリントで稼ぐサム・ベネットと、登りもこなしながら稼いでいくピーダスンという対照的な2人による争い、かなり面白くなりそうだ。
逃げ集団は、3分30秒ほどのリードを持って1級山岳コリャウ・ファンクアヤに突入。
ここから、メイン集団はジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ)が猛牽引を行い、かなりのペースアップ。
アラフィリップは残り6.7kmまで牽引を続け、先頭集団とのタイム差は2分20秒ほどにまで縮まってきた。
その直後、先頭集団ではルツェンコが加速、ソレルやランダという実力者が遅れる一方、しっかり反応したヴァインが逆にルツェンコを突き放すようなペーシングを見せ、ここに付いていけたのはピノとレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)の2人のみ。
ヴァインの加速は凄まじく、タラマエはすぐさま脱落、そしてピノも残り5.9kmで離されてしまう!
2日前にプロ初勝利を飾ったヴァイン、山岳ステージで再びの独走勝利となるか!?
メイン集団は、依然クイックステップのアシストによる牽引が続き、ポロポロと脱落者が出ていく。
ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ)、フアン・アユソ(UAE)、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)、ジョアン・アルメイダ(UAE)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ)など、有力選手も零れ落ちてしまう。
残り4kmを切って、生き残っているのは15人ほど。
イネオスやEFエデュケーション・イージーポストが3人選手を残せている一方、チーム・ユンボ・ヴィスマは既にエースのプリモシュ・ログリッチのみになっている。
残り3.5km、テイオ・ゲイガンハート(イネオス)が集団を牽いてペースを上げると、ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)が遅れてしまい、ボーラはジャイ・ヒンドレー1人に。
同じタイミングでクイックステップの最終アシストも下がっていき、総合リーダーのレムコ・エヴェネプールも単独になっている。
悪天候の影響で一旦途切れた中継映像が復旧すると、映し出されたのは先頭をひた走るヴァインの姿、フィニッシュまでは2kmを切っている!
その後方ではピノ、タラマエ、ソレル(!?)の3人が追走しているようだけれども、30秒ほどのタイム差がある模様。
同じころ、メイン集団はこの日もまたエヴェネプールが前を牽いている…!
生き残っているのは…ログリッチ、エンリク・マス(モビスター・チーム)、カルロス・ロドリゲス(イネオス)のみ!
エヴェネプールのペース走アタックがこの日も炸裂している!!
先頭のヴァインは順調に踏み続けて、残り1kmの時点でも追走のソレルに対して30秒以上のタイム差をキープ!
第6ステージと同じように、霧が立ち込めるフィニッシュ地点へ独走でやって来る!!
まさかの山岳ステージ2連勝!!
ヴァインがまたしても独走でその強さを見せつけた!!
いや~、強い!!
これは相当強い!!
調子が良いのはあるんだろうけれども、それにしたってこの2勝は勝ち方が凄い!
ズイフトアカデミー出身のヴァイン、J SPORTS実況の長澤アナによる「バーチャルからリアルへ、そして世界へ」という言葉の通り、その力とズイフトの可能性を、改めて示してくれた!
ヴァインから1分強遅れてフィニッシュ地点にやってきたエヴェネプールのグループからは、直前でロドリゲスが脱落。
最後の最後にマスがタイム差を奪おうとスピードを上げると、こういったシチュエーションが得意なはずのログリッチが前に出られない一方で、エヴェネプールがマスを追い抜き逆にタイム差を奪わんばかりの加速を見せる!!
結局この3人は同タイムフィニッシュになったけれども、エヴェネプールの恐ろしさが改めて見られたフィニッシュだった…。
何はともあれ、エヴェネプールはこの日も多くのライバルからタイム差を付ける事に成功。
そしてまたしてもマスがしっかりと付いていきフィニッシュと、こちらも好調をキープ。
2日前は遅れてしまったログリッチもなんとか食らいつき、復調傾向と言えなくもないけれども、最後のスプリントで前に出られなかった辺り、まだまだ完調ではなさそうな雰囲気と言ったところか。
翌第9ステージは、とんでもない激坂フィニッシュ。
これまでとはまた違ったテイストの山岳決戦、一体どのような展開になるのか目が離せない。