「登れるスプリンター」頂上決戦!
第3ステージは、終盤に3級山岳と4級山岳が連続で登場する、丘陵カテゴリーのレイアウト。
総合争いが起こるような厳しさは無く、そしてピュアスプリンターが生き残れるかと言うと…?
そうなると、「登れるスプリンター」向けになりそうだ。
あとは一応、山岳での抜け出しからの逃げ切りも可能性としては考えられそうか。
この日の逃げは、チーム・コラテックのアレクサンダー・コニシェフとヴェリコ・ストイニッチ、この2人のみ。
最大で7分を越えるリードを許された24歳コンビの先頭だったけれども、メイン集団はこの日の優勝候補を抱えるトレック・セガフレードとチーム・ジェイコ・アルウラーの牽引により、着実に先頭との距離を縮めていく。
中盤以降は雨の降りしきる中、先頭集団とメイン集団のタイム差が2分を切った状態で、残り40kmから3級山岳に突入。
登りに入ると、メイン集団ではピュアスプリンターを脱落させようとジェイコがペースアップを図ったため、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)や前日の勝者ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)などのスプリンターが脱落すると同時に、先頭とのタイム差はみるみる縮まっていく。
残り36km、最後まで逃げ続けていたストイニッチがメイン集団に吸収される。
そして、イタリア・チャンピオンジャージを着るフィリッポ・ザナ(ジェイコ)がハイペース牽引を続けるメイン集団は、マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)などの割と登れる選手も脱落する、なかなかサバイバルな展開だ…。
3級山岳の頂上手前、山岳ポイント獲得を目指して加速したのはティボー・ピノ(グルパマFDJ)!
サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン)が反応したけれども、ピノはそのまま難なく先頭通過に成功。
ピノは直後の4級山岳も先頭で通過して、山岳賞ランキングのトップに躍り出た。
4級山岳ではこの日の優勝候補筆頭とも言えるマッズ・ピーダスン(トレック)が遅れる波乱もありつつ、ピーダスンはアシストの力を借りて集団に復帰。
やはり、山岳を生き残ったスプリンターやパンチャーによる、スプリントでの決着になりそうな流れだ。
ダウンヒルを経てから、残り9.7km地点のボーナスタイム付きの中間スプリントポイントは、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)の順番で通過し、エヴェネプールが僅かながらリードの拡大に成功。
そこからフィニッシュまでの区間はまたしてもジェイコが中心の牽引…先程の山岳で一旦仕事を終えて下がったようにも見えたザナが、また先頭に出て来て強烈な牽引と見事な仕事を見せている。
残り3.2kmでザナが仕事を終えても、集団の主導権を握るのは依然ジェイコのまま。
ただ、先頭に陣取るジェイコのアシスト2枚の後ろにはトレックの隊列が入り込み、ジェイコのエースであるマイケル・マシューズはトレックの隊列の最後尾にいるピーダスンの背中に張り付く事を選択している。
残り2kmを切るとジェイコのアシストは力尽き、集団を引っ張るのはトレックの隊列、そしてマシューズはその動きを上手く利用しているような格好だ。
残り1km、単騎のヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ)や、アシストに引っ張られたカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)なんかもいい位置にポジションを上げて来る。
最終コーナーを抜けて残り200m、未だにアシストを1人残すピーダスンが有利かと思ったその瞬間、マシューズが早めの仕掛けで飛び出す!!
登り勾配を全力で踏み込みリードを作ったマシューズ!!
残り100mを切って勾配が緩むとピーダスンとグローブスが猛追を見せるけれども、マシューズの勢いも落ちない…!!
マシューズ、登りスプリントで貫禄の勝利!!
チームメイトの献身に、しっかりと応えて見せた!!
登り勾配での残り200mからの仕掛けは、少し早すぎるかとも思ったけれども、最後まで勢いを失わずに先頭をキープしたのは本当にお見事!
そして、根性の二度牽きを見せたザナを筆頭に、まさにチーム一丸となって掴んだ勝利だと言う点も素晴らしい!
春先は新型コロナウィルス感染などで苦しんだマシューズ、そして今シーズンここまでUCIポイント獲得が順調ではないジェイコ、今後のステージでも活躍が楽しみだ。