本日もまた独走日和なり
ロードレース熱の高いスペインはバスク地方を舞台にしたワンデーレース、ドノストア・サンセバスティアン・クラシコア。
バスク地方らしいアップダウンを繰り返すそのプロフィール、優勝候補は当然登れる選手のみ。
今回出場する主な有力選手は以下の通り。
- 2019年の覇者、理不尽とも言える独走力で勝利を重ねるレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)
- ツール・ド・フランス3連覇はならずともやはりその力は絶大、現役最強の1人タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
- 2016年の覇者、そして9回連続トップ10入りと抜群の相性を誇るバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)
- 昨年2位、抜群のダウンヒルテクニックによる抜け出しという武器を持つマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
- 2018年のブエルタ・ア・エスパーニャ覇者、抜群の登りアタック力を持つサイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
昨年優勝したニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト)がツールの疲労によって出場を回避した一方、注目を集めるのは同じくツールに出場していたポガチャル。
確かに、レースへの適性としてはこれ以上ないぐらいフィットしているようにも思えるけれども、ツールであれだけ動き回っていて、果たして状態は…?
とりあえず、自分の予想はこんな感じ。
クラシカ・サンセバスティアン予想
— kiwa (@kiwa2408) July 30, 2022
メンバーなどを調べて、パッと浮かんだのはポガチャル、サイモン、マルティネス
ポガチャルにしようかな
リバウンドメンタリティを見せてほしい#jspocycle #klasikoa
普段ワンデーレースでは「本命・対抗・穴・大穴」と4枠予想をやっているのに、ジロ、ツールと続いていたために、ステージ予想の癖が抜けずに1人しか挙げていないという…。
とにかく、疲労度の心配はありつつ、少し期待を込めてポガチャル。
あと、名前を挙げたダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ)もツールからの連戦組だけれども、終盤に調子を上げていたから期待込みで。
レースがスタートし、8人の選手が逃げているんだけれども…メイン集団が意外と近い。
近いどころか、クイックステップが牽引してメイン集団のペースアップを図ると、なんと残り65km、2級山岳ハイスキベル登坂途中というかなり速いタイミングで逃げを吸収してしまう。
クイックステップはそのままハイペースでの牽引を続行して、ライバルを脱落させようと目論む。
マクシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)、マイケル・マシューズ(バイクエクスチェンジ)といった有力選手も遅れ…、そしてなんと、ポガチャルが力なく遅れていく…!?
やはり、ツールでの疲労が抜けていなかったか…。
こうしてかなり絞り込まれた集団から、モホリッチが得意のダウンヒルで一旦抜け出したけれども、決定的な差を付けることは出来ずに吸収。
そしてこのダウンヒルで、ジョアン・アルメイダ(UAE)が落車に巻き込まれて遅れたとの情報が。
ポガチャルに続いてアルメイダがトラブルとは、UAEはエースが2枚とも…。
1級山岳エライツに入ると、ヨナタン・カイセド(EF)がペースアップを仕掛ける。
残り45.9km、そのペースアップに乗じてアタックを仕掛けたのは…エヴェネプール!
エヴェネプールの相変わらず早目な仕掛けに、サイモン・イェーツただ1人がなんとか反応。
と思っていたら、残り44.5kmでサイモン・イェーツも離される…!?
これは…完全にエヴェネプールの勝ちパターンだ!!
追走するのはサイモン・イェーツ、少し遅れてパヴェル・シヴァコフ(イネオス)、カルロス・ロドリゲス(イネオス)、ティシュ・ベノート(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、そしてモレマ。
シヴァコフが一旦遅れかけたり、サイモン・イェーツが後ろと合流したりと、多少の動きはあったけれども…、正直なところ、大勢に影響はない。
なにせ、ペースが一番速いのが先頭のエヴェネプールなのだ。
エライツの登坂とダウンヒル、平坦区間、そして急勾配を含む最大の勝負所ムルギル・トントラ。
その全てでエヴェネプールがタイム差を広げていくのだから、後ろの動きはもはや関係が無い。
これが、現役随一の独走力を誇るエヴェネプール。
この形に持ち込まれたら、誰も止められない。
残り1kmを切ると、リードを2分以上に拡大していたエヴェネプールはもはや脚を緩めて、「サイクリングモード」でサンセバスティアンの市街地をじっくりと堪能しながらフィニッシュに向かっていく。
最終ストレートでは、「どうだ!」と言わんばかりに観客を煽るジェスチャーを披露!
もっと大きな歓声を。
もっと盛り上がりを。
確かに、それだけの権利があると言わざるを得ない、その走り。
若き英雄の走りは、この日も格別に衝撃的だった。
またしても独走でやってのけた!!
エヴェネプール、2019年以来となる2度目のサンセバスティアン制覇!!
もう、抜け出しを許したら終戦だ。
誰にも止められない。
独走するエヴェネプールを、誰も止められない。
8月19日から、エヴェネプールはブエルタ・ア・エスパーニャに出場する。
春のクラシックシーズン以降、このために調整を重ねてきた。
遂に初めて迎える、万全の状態で参戦するグランツール。
ワンデーレースに於ける才能の証明は、もう十分すぎるぐらいだ。
ブエルタで一体どんな走りを見せてくれるのか、本当に楽しみで仕方がない。