強烈なトレインの破壊力!!
第3ステージは、コース前半に3級・4級・3級・3級と4つのカテゴリー山岳が登場しつつ、全体的にはそこまでの難易度ではないので集団スプリントになると予想されるレイアウト。
ある種セオリーから外れた展開となった第1・第2ステージと違って、激しくも「落ち着いた」1日になりそうだ。
この日逃げたのは、連日の逃げになったニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)と、ローラン・ピション(アルケア・サムシック)の2人。
山岳賞ジャージをキープしたいパウレスはしっかりと山岳を先頭通過していき、代わりにピションに中間スプリントポイントは譲るという、前日同様にしっかり協調の取れた逃げになっている。
一方のメイン集団は、当然ながらアルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックといったスプリントチームが牽引。
しかし中間スプリントポイントでは、スプリンターではないヴィクトル・ラフェ(コフィディス)…前日の勝利でポイント賞ジャージを着るラフェが先着(全体3番手通過)に成功。
そうか、これでラフェは展開次第ではもう1日ジャージをキープできる可能性が出るのか…。
山岳ポイントを全て先頭通過してパウレスは、やるべきことを終えると早々にメイン集団に吸収されるのを選択した一方、ピションはコースがスペインから母国フランスへと入っていく終盤まで粘り、この日の敢闘賞に選ばれることに。
そのピションも残り37kmでメイン集団に捕まり、レースはいよいよ今大会最初の集団スプリントに向けて緊張感が高まっていく。
残り5km、ラウンドアバウトを抜けて一旦各チームの陣形が崩れると、集団の主導権を握ったのはスーダル・クイックステップの隊列。
流石のチーム力で綺麗にトレインを組むスーダルと張り合おうとするのは、アルケアやウノエックス・サイクリングチームか。
残り3kmを切っても先頭は依然スーダルのトレイン、イヴ・ランパールト、カスパー・アスグリーン、ミケル・モルコフ、そしてエースのファビオ・ヤコブセンと、考え得る最高の恰好だ。
残り2kmを切ると若干の登り勾配が登場、ここで一気に先頭へ上がって来るのはアンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ただビニアム・ギルマイを守るアシストは1枚だけなので早すぎやしないか。
そして、アンテルマルシェと横並びで先頭をキープするスーダルのトレインには、ユンボ・ヴィスマのクリストフ・ラポルトとワウト・ファンアールトが割り込もうと試み、更にはその背後にはアルペシンの並びもピッタリと貼りついている。
残り1.5kmを切ると、アンテルマルシェはやはり失速していき、その結果としてスーダルトレインからアスグリーンが1人飛び出してしまうような流れに。
このタイミングを見逃さずに、空いたスペースへ上がっていくのはアルペシンの隊列。
アスグリーンをそのまま抜き去りフィニッシュまで残り800m、ヨナス・リッカールト、マチュー・ファンデルプール、そしてヤスペル・フィリプセンと、これは完璧すぎるぐらいの形!
残り600m、リッカールトが仕事を終えて下がり、最終発射台のファンデルプールが仕事を開始。
他のチームもなんとか食らいつこうとするけれども、「怪物」ファンデルプールによる猛牽引は、横に並ぶ事すら許さない…!
残り250m、緩いS字コーナーでフィリプセンが発射!
ここに抜群のタイミングでファンアールトが合わせた…けれども、コーナーの内側に入ってしまったファンアールトは行き場が無くなってしまい失速…!
後方からフィリプセンを追いかけるのはフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)とカレブ・ユアン(ロット・デスティニー)、しかしフィリプセンは最後まで勢いを失わない!!
最高のお膳立てから、盤石のスプリント!!
今大会最初のスプリントを制したのはフィリプセン!!
アルペシン、強い…!!
リッカールトによる引き上げのタイミング、そしてファンデルプールによる「破壊的」なリードアウトに、他のチームは手も足も出なかった!
もちろん、そこからしっかり勝ち切ったフィリプセンもお見事!
これは…今後のスプリントステージでも主導権を握り続けるのではないか?
そして、ポイント賞争いは…なんと、ラフェとフィリプセンが80ptで並ぶことに!?
同点の場合は、ここまでのステージ順位の関係で順位が決まり…ラフェが首位をキープ…!!
目論見通り、ポイント賞ジャージの1日延長に成功したラフェ。
もちろん第4ステージ終了後には手放すことになるのだろうけれども、この姿勢は称賛したい。