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【レース感想】ツール・ド・フランス2023 第4ステージ

混沌のスプリントを制したのは…

第4ステージは、終盤に4級山岳が1つ登場するだけの、難易度の低い平坦ステージ。

残り3kmからは公道ではなくサーキットに突入しての、集団スプリントだ。

 

レース序盤は、珍しく逃げの生まれない展開になり、メイン集団はもの凄いスローペースで距離を消化していくことに。

「このままではフィニッシュが日本時間の25時を過ぎそう…」なんて心配をしている中、動きがあったのは残り88.2kmに設定された中間スプリントポイント。

逃げがいないので「メイン集団での先頭通過=20pt獲得」という最高の機会をものにしたのは、前日のステージ勝者であるヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)。

これは…フィリプセンは相当調子が良いし、チームの連携も抜群だぞ。

 

中間スプリント争いでペースが上がったメイン集団から飛び出したのは、ブノワ・コスヌフロワ(AGRシトロエン)とアントニー・ドゥラプラス(アルケア・サムシック)の2人。

このフランス人コンビによる抜け出しを、メイン集団は容認。

ただしあまりタイム差は与えず、4級山岳を越え、残り25kmという辺りで捕まえて、集団スプリントに向けてレースは進んでいく。

 

残り7km、サーキットに突入する直前のラウンドアバウトで、チームDSMフェルミニッヒの選手が1人コースを誤りはぐれているけれども…なんと、はぐれたのはエーススプリンターのサム・ウェルスフォード!?

集団前方に陣取っていたDSMの選手達は、ウェルスフォードを引き上げるために慌てて後方に下がっていくけれども…これはかなりの痛手になりそう。

残り4.5km、集団の先頭に人数を揃えるのはユンボ・ヴィスマの選手達。

ただ、スプリントで勝利を狙うワウト・ファンアールトがいないので、これはあくまで総合エースのヨナス・ヴィンゲゴーを守るための動きだ。

 

残り3kmを切り、いよいよサーキットに突入。

あまりがっちり隊列を組めているチームはいないけれども、前方に人数を集められているのはロット・デスティニー、バーレーン・ヴィクトリアス、アルペシン辺りか。

残り1.7km、集団の結構前の方で落車が発生…。

転んでいるのは…ヨーロッパチャンピオンジャージを着るファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ)!?

この日の有力候補だったヤコブセンは残念ながら勝負権を喪失、そして一緒に落車に巻き込まれていたルイスレオン・サンチェス(アスタナ・カザクスタンチーム)とジャコポ・グアルニエーリ(ロット)は、骨折により無念のリタイアとなってしまった…。

残り1kmを切って、集団先頭はコフィディスのアレクシス・レナード、その背中にはエースのブライアン・コカールが控えているなかなか良い体制。

最終コーナーを抜けて残り800m、ここまでのコーナーの連続でどのチームも「隊列」と呼べるほどのものは組めていない中、ウノエックス・サイクリングチームのアシストがアレクサンダー・クリストフを引き連れながら先頭を奪取!

しかしコカールもしっかりその背中に飛び乗る好判断を見せ、クリストフの背後という絶好の位置を、コカール、カレブ・ユアン(ロット)、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)、クリストフ・ラポルトユンボ)の4人で奪い合うような混沌とした状況に…!

残り500mを切ると、集団の少し後方からマチュー・ファンデルプール(アルペシン)がもの凄い勢いで位置を上げて来て…その背中には当然フィリプセンが乗っている!!

ファンデルプールは狭い隙間を無理やりこじ開けながら突き進み、残り200mで先頭を奪い取る!!

そしてそのままフィリプセンが発射!!

フィリプセンを追いかけるのはユアン

ユアンの猛追で最後は横並び状態、ハンドルを投げ合いながらのフィニッシュ…!!

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混沌のスプリントを僅差で制したのは…フィリプセン!!

フィリプセンはこれでステージ2連勝に加えて、ポイント賞争いでトップに!!

最終コーナーを抜けた時点では若干後方に埋もれていた上に、チームメイトともはぐれていて、勝負に絡めないかと思ったけれども…。

なんだ、あのファンデルプールの牽引は…!?

スプリント直前の最終ストレート、トップスピード自慢の選手しかいない中を、無理やりパワーで駆け上がっていくのは、改めて「怪物」すぎる…!

ただ、ビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)を肘でどかして無理やり進路を作った動きが、危険行為ということで降格処分を受けていて…。

あそこのスペースに突っ込もうという動き自体はそこまでおかしくなかったように見えるけれども、あの「どかし方」は確かに良くないと言うか、まあ上手くないかな。

改めて、ファンデルプールはスプリントに慣れている訳では無い…大集団スプリントでのぶつかり合いが不得手だからエーススプリンターではないというのが、垣間見えたシーンだったと思う。

いやしかし、本文中には書かなかったけれどもちょっと落車の多かったレースだったこともあり、どうしてもこういった話題に過敏になってしまうな…。

 

ファンデルプールの話題は一旦このぐらいにしておいて…、ステージ2連勝のフィリプセンも素晴らしかった!

なんと、フィリプセンは最後の局面で脚を攣っていたらしい…って、え?

それで勝ったのちょっと凄すぎないか?

これは今大会、かなり勝利を重ねながらポイント賞獲得の可能性もあるのでは…?

「スプリンター戦国時代」に終止符を打つ存在となれるのか、注目していきたい。