何と早いハットトリック!
第7ステージは、4級山岳が1つ登場するだけのかなり平坦なレイアウト。
直近の2日間とは正反対、まず間違いなく集団スプリントフィニッシュだ。
逃げるメリットがかなり少ないこともあり、この日逃げを選択したのはシモン・グリエルミ(アルケア・サムシック)のみ。
総合争いだけでなく、ポイント賞争いにも山岳賞争いにも全く関与していないグリエルミに対して、総合リーダーのヨナス・ヴィンゲゴーを抱えるユンボ・ヴィスマは最大で7分を超えるようなタイム差を容認。
こうなると流石にスプリントで勝利を狙うチーム、アルペシン・ドゥクーニンクやロット・デスティニーがメイン集団を牽引して、グリエルミを「射程圏」に捉えつつレースは進んでいく。
中間スプリントポイントは当然グリエルミがそのまま先頭通過し、一方のメイン集団では全体2位通過を巡って激しい争いが勃発。
集団の先頭を獲ったのはビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)で17pt獲得、そして全体3着(15pt)に続いたのはポイント賞ジャージを着るヤスペル・フィリプセン(アルペシン)。
フィリプセンはポイント賞獲得に向けて、ここまではほぼ完ぺきな内容だ。
グリエルミとメイン集団のタイム差が1分を切ってくると、メイン集団からナンス・ペテルス(AG2Rシトロエン)とピエール・ラトゥール(トタルエネルジー)が飛び出して、グリエルミと共にフランス人トリオでの新たな逃げを形成。
ただ、グリエルミは4級山岳の登坂で力尽きて脱落。
そしてペテルスとラトゥールも残り4kmを切ってからメイン集団に吸収され、いよいよレースは集団スプリントに突入していく。
救済措置区間に入り、危険回避のために前方に陣取っていたユンボが下がっていくと、この日も主導権を握ろうとするのはアルペシンのトレイン。
エースのフィリプセンの前に、ヨナス・リッカールト、マチュー・ファンデルプール、更にはセーアン・クラーウアナスンも少し遅れて隊列に加わり、残り2kmで集団先頭から4番目までを独占と、まさに理想的な展開でレースを進めていく。
残り1km、アルペシンは未だにリッカールトとファンデルプールを残した状態で先頭をキープ。
他にある程度良い形を作れているのはロット、リドル・トレック、ボーラ・ハンスグローエ、チームDSM・フェルミニッヒ、チーム・ジェイコ・アルウラー辺りか。
残り600m、この日もファンデルプールによる強烈なリードアウトが発動!
誰も横に並ばせないファンデルプールの破壊的なリードアウトに抗おうともがくのはルカ・メスゲッツ→ディラン・フルーネウェーヘンと並ぶジェイコの隊列、そしてフィリプセンの後方を冷静に捉えるのはマッズ・ピーダスン(リドル)だ。
残り300mを切るとファンデルプールが少し早めに失速しまい、この隙にロングスプリントを仕掛けたのは…なんとマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)!!
もの凄い勢いで飛び出したカヴェンディッシュ、しかしフィリプセンもファンデルプールから離れてカヴェンディッシュの背中を捉える冷静さを見せる…!!
残り50mを切ってからカヴェンディッシュが伸びに苦しむ一方、フィリプセンは最高速で突き抜けていく!!
フィリプセンが強すぎる…!!
第7ステージにして、早くも今大会3勝目!!
相変わらずのアルペシンの支配力、相変わらずのフィリプセンの強さ!!
ここまでスプリントステージ3戦全勝は凄すぎでしょ…!!
これでフィリプセンは、ポイント賞争いでも2位のブライアン・コカール(コフィディス)に88ptの差を付けて独走態勢に。
「今大会最強のスプリントチームはアルペシン」と予想はしていたけれども、まさかこれほどとは…。
そして、惜しくもステージ2位に終わったカヴェンディッシュ。
なんと、最終局面では変速機にトラブルがあり、それで最後は失速してしまったとのこと…。
ツール歴代単独最多となる35勝目はお預けになってしまったけれども、この爆発力を見せられるなら、きっとまだチャンスはあるはずだ。