王者の圧倒的な力
ティレニア海からアドリア海へとイタリア半島を横断する、「2つの海を結ぶレース」ことティレーノ~アドリアティコ。
並行開催のパリ~ニース同様、やはりこちらも豪華なメンバーが集結!
総合系は、ツール・ド・フランス2連覇中のヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)を筆頭に、フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)、ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)、ダニエル・マルティネス(ボーラ)、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)、ティメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ)、テイオ・ゲイガンハート(リドル・トレック)、エンリク・マス(モビスター・チーム)、ベン・オコーナー(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)、ロマン・バルデ(チームDSM・フェルミニッヒ・ポストNL)と、ビッグネームがずらりと並ぶ。
スプリンター勢は、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)とティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)の「2強」を軸に、カレブ・ユアン(チーム・ジェイコ・アルウラー)、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)、ジョナサン・ミラン(リドル)、フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)辺りの選手が絡んでいけるか。
第1ステージ
開幕は、恒例となっている「海岸沿いを折り返す10km平坦」の個人タイムトライアル。
ただし、今回は例年とスタート位置が逆、そして折り返し以外にもコーナーが何回か登場するのがどう影響するか。
途中から雨が降る可能性もあるということで、全体3番手出走という総合勢としては異例のチョイスをしたヴィンゲゴーは、まずまずのタイムでフィニッシュ。
その後、トップタイムを叩き出したのは、ソーレン・ヴァーレンショルト(ウノエックス・モビリティ)。
ノルウェーの新鋭タイムトライアル強者は、しばらくホットシートを温めることに。
なかなかヴァーレンショルトに肉薄するタイムが出ない中、とびっきりの走りを見せたのは…これまた若手、21歳にしてUAEの総合エースを務めるアユソ。
コーナーをギリギリまで攻めて、そしてフィニッシュまで必死の形相で踏み続けて、トップタイムを15秒も更新!!
アユソに近いタイムを出す選手はなかなか現れず、あとは170番出走の「大本命」を待つことに…。
心配された雨はほとんど降らず、路面コンディションもほぼ悪くなっていない状態で、現役屈指のタイムトライアルスペシャリスト、「トップ・ガンナ」ことフィリッポ・ガンナ(イネオス)が出走。
力強く一定ペースでペダルを踏み続けるガンナ、やはり見ていても明らかに速い…。
中間計測は、アユソから2秒遅れ…!!
かなりの僅差…!!
エネルギッシュにもがいていたアユソに対して、折り返し後も淡々と自分のペースで踏み続けるガンナ。
最終コーナーを抜けて…まだ分からない、相当際どい勝負だ…!!
結果は…ガンナ、僅か1秒届かず!!
なんと、平坦な個人タイムトライアルで、アユソがガンナを破ってのステージ勝利!!
アユソ、強いのは当然分かっていたけれども、ここまでのポテンシャルを持っているのか…!!
そしてアユソは、当然ながら総合争いでも優位に!
主だった選手のタイム差は、ヴィンゲゴー+22秒、ヒンドレー+24秒、ダニエル・マルティネスとアレンスマン+27秒、オコーナー+30秒、バルデ+34秒、ゲイガンハート+35秒、マス+38秒、カラパスが…なんと+1分6秒。
これは小さくないタイム差だぞ…。
第2ステージ
大きな起伏は登場しない、集団スプリント間違い無しなレイアウト。
フィリプセンとメルリール、現役屈指のスプリンターによるガチンコバトルに期待が高まる…。
この日の逃げは、イタリアのプロチーム選手のみで構成された4人。
カテゴリー山岳はダヴィデ・バイス(ポルティ・コメタ)が先頭通過して、翌日の山岳賞ジャージ着用権を獲得。
その後は特に大きな動きは起こりようがなく、残り37kmを切った辺りで、全員がメイン集団に吸収される。
フィニッシュへの距離が近づくにつれて、徐々に各チームの位置取り争いが激しくなり、緊張感を高めながら集団スプリントへ向かっていく。
残り3km、メイン集団を高速牽引するのはスーダル・クイックステップのカスパー・アスグリーン、そしてその後ろにはジュリアン・アラフィリップが控える豪華な並び。
スーダルの隊列に紛れ込むようにイネオスの選手たちも連なっているけれども、これは総合争いに向けた危険回避の動きか。
残り2km、先頭はウノエックスの選手が牽くけれども、その背後にはアンテルマルシェ・ワンティの選手が4人で列を作る。
テクニカルなコースレイアウトの影響か、アンテルマルシェ以外にはきれいな隊列を組めているチームは見当たらず、アシストの人数は多いチームでも既に2人ほどしか残っていないように見える。
アンテルマルシェのアシストが距離と共に1枚ずつ剥がれていく中、残り500mで先頭に2人揃えるのはウノエックス、しかしその背中にはアルペシンのジャージ…フィリプセンだ!
直角の最終コーナー、インから差し込んできたのは…メルリール!
メルリールはそのまま先頭に立ち、残り300mの早駆けを敢行!!
しかし、フィリプセンがその背中を捉えている…!
残り100mで失速してしまったメルリールを尻目に、その動きをリードアウトのように利用したフィリプセンが万全の状態でスプリントを開始!!
これは誰も追える訳がない…!!
抜群の動きから、余裕の勝利!!
上手さと強さを見せつけたフィリプセンがまずは1勝!!
恐らくメルリールは、単騎だったので「コーナーで埋もれて勝負権を失う」のを避けるために、インから突っ込んだ結果…、コーナーの出口で先頭に立ってしまい、そこから踏むしかなかった。
この動きを、外側のウノエックスの背後に位置していたフィリプセンが立ち上がり際に上手く捕まえて、そのままメルリールの加速を利用。
結果的に最高のリードアウトを受けたような格好になったフィリプセンを追える選手は…、地力的には当然メルリールなんだろうけれども、そのメルリールは既に力を出し切って失速していたので…。
運の要素も絡んだかもしれないけれども、まあフィリプセンの完勝だった。
第3ステージ
今大会最長の225kmという距離、その仕上げはなんとも絶妙な距離と勾配の登りスプリント。
3年前に同様のフィニッシュレイアウトを使用した際は、アラフィリップ、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)、ワウト・ファンアールト(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)という、登りスプリント適性が抜群に高い3選手が激しくやり合った影響で、スプリンターの出る幕ではなかったけれども…。
今回はファンデルプールとファンアールトが不在なので、展開は結構変わりそうな予感。
いわゆる「重量級」は厳しいだろうけれども、「登れるスプリンター」じゃなくても意外と生き残るのでは…?
この日の逃げは2人、メイン集団とのタイム差は最大で11分ほどにまで拡大する。
ただ、逃げの人数が少ないうえに、特に「捕まえ損ねる」要素があるレイアウトでもなく、中盤以降はタイム差がしっかり減少傾向に。
2日連続での逃げになったヤン・ストックリ(コラテック・ヴィーニファンティーニ)が早めにメイン集団へ戻ることを選んだのと対照的に、サムエーレ・ゾッカラート(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)は残り22km辺りまで粘ってから、メイン集団に吸収される。
その後は大きな動きがないまま、フィニッシュに向けての緩い登り勾配に突入していく。
残り4km、登り基調でスピードは上がらないながらも位置取り争いが激しく行われる状況で、集団前方に人数を集めているのはアルペシンとDSM。
残り2.5kmでDSMが位置を下げ、アルペシンも残り2kmでアシストが残り1人になってしまい、主導権を一旦手放すことを選択。
先頭を奪ったのはリドルのアシスト選手、その少し後ろにはミランが控えている。
ウノエックスも、このタイミングで3人連なって位置を上げてきた。
残り1.5km、決して牽制状態ではなくペースも落ちていないけれども、どこのチームが主導権を握っているのか判然としない、かなりグチャグチャな混沌とした並びに…。
鋭角なコーナーを抜けて残り1km、先頭はイスラエル・プレミアテックのアシスト選手、後ろに控えるエースはコービン・ストロング。
残り500m、スルスルっと位置を上げてきたのは、ここまで目立っていなかったバーレーン、ピュアスプリンターのバウハウスをしっかり連れてきている!
残り250mの最終コーナー、雨上がりでスリッピーになっている影響で落車が発生…え!?
絶好の位置にいたフィリプセン、痛恨の落車…!
落車を尻目にコーナーを先頭で立ち上がったのは、攻めた突っ込みを見せたケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ)。
しかし主導権を握るのはバーレーン、素晴らしい体勢からバウハウスを発射!!
単騎で勝負していたミランが猛追を見せるけれども、しっかりアシストを受けていたバウハウスの踏みは最後まで衰えない…!!
混沌の登りスプリントを制したのはバウハウス!!
バーレーンの見事な連携が光る…!!
残り500m辺りまではあまり無理して集団前方での位置取り争いはせず、勝負をかけるべくタイミングでスルスルっと先頭へ出ていく、その判断が本当に奇麗だった!
アシスト選手も無駄に消耗はせず、そしてもちろん脚を残せていたバウハウスが、しっかりスプリントできたのだから、ライバルチームはたまったもんじゃない。
冷静に、スムーズで鮮やかに、そして最後は力強く。
お手本のような連携での勝利だった。
第4ステージ
序盤に大きな山岳があり、そしてフィニッシュも若干の登り勾配だけれども…おそらく難易度は前日よりは軽いので、またしても登りスプリントになりそうなレイアウト。
この日の逃げは、プロチームの選手のみで構成された6人。
最初の山岳はダヴィデ・バイスが先頭通過して、山岳賞ジャージの奪還に成功。
レース終盤の周回コースに入り、なおも逃げ続けるのは、ミルコ・マエストリ(ポルティ)、アレクサンダー・カンプ(チューダー・プロサイクリング)、ヨナス・アブラハムセン(ウノエックス)の3人。
市街地のテクニカルなコースで、どこまで粘れるか。
残り13km、細かな起伏の影響か、ステージ勝利の有力候補の一人、メルリールがメイン集団から遅れていく…。
そして残り10.8km地点では、総合上位のアレンスマンがパンクに見舞われてしまうけれども…、なんとか集団復帰に成功。
逃げとメイン集団のタイム差は、残り10kmで30秒と、とりあえず捕まえる「射程圏内」には見える。
そこから、残り7kmで20秒差、残り5kmで16秒差と、タイム差は緩やかなペースで減少していく。
残り1.2km、もう間近まで迫ったメイン集団を相手に、先頭からカンプが脱落。
残り1km、マエストリも吸収。
アブラハムセンも同時に捕まるかと思いきや、最後にもう一度加速を見せて、執念の抵抗!!
粘るアブラハムセン、最終コーナーを抜けて残り500m、集団とのギャップはまだある…!
追いかける集団も限界に近く、前からトム・ピドコック(イネオス)、ビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ)、アラフィリップという、とんでもない並びに!
残り200mを切って、アブラハムセンを捕まえ切っていない状態ながらスプリンターたちが加速を開始!
フィリプセン、ミラン、ギルマイが前に出る!
そのまま残り50mで…遂にアブラハムセンを飲み込む!!
最後はフィリプセンとミランによるハンドルの投げ合いに…!!
緊迫の追走劇から…ギリギリのスプリント勝負!!
僅差で制したのはミラン!!
最後はスプリンターたちも限界間近でヘロヘロ、それでも無理やり踏み込み続けたミランのパワーよ…!
いや~、手に汗握る勝負だった!
第5ステージ
フィニッシュの22km手前に超級山岳サンジャコモ(登坂距離11.9km・平均勾配6.2%)が登場。
サンジャコモを登り、長いダウンヒルを経て、フィニッシュ手前は緩い登り基調と、総合争いが勃発するであろう山岳ステージ。
逃げ切りもあり得るレイアウトということで、逃げを選択した選手は今大会最多の10人。
ただ、メイン集団はヴィスマのアシスト…ディラン・ファンバーレやステフェン・クライスヴァイクなどが中心になって、先頭とのタイム差をしっかりとコントロール。
サンジャコモの登り口に入る頃には、先頭のリードは僅か30秒ほどと、逃げ切りは絶望的な状況に…。
メイン集団を牽引するのは、ヴィスマのアッティラ・ヴァルテル。
ヴァルテルの高速ペーシングにより、山頂まで残り7km辺りで逃げは全て吸収。
それと同時にヴィスマは牽引のバトンをベン・トゥレットへと繋ぎ、メイン集団に負荷を掛け続ける。
トゥレットの牽引は凄まじく、メイン集団は崩壊…!
そして山頂まで残り5.3km、フィニッシュまでは28.9kmの距離を残した位置から、ヴィンゲゴーがアタック!!
ものすごい勢いで飛び出したヴィンゲゴー、その背中を捉えられる選手は…いない!!
オコーナーとヒンドレーがなんとか追いかけようとは試みるけれども、ヴィンゲゴーとはスピードが違いすぎる!
タイム差がどんどん広がっていく…!!
5km強の登坂でヴィンゲゴーが後続に付けたタイム差は…53秒!
これはまた、とんでもないアタックだ…。
山頂を超えて、ヴィンゲゴーはダウンヒルでも快走を見せる。
追走集団では、一旦遅れたはずのイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ)が戻ってきて、アユソの総合順位を守るために献身的な牽きを見せるというサプライズがあったけれども、ヴィンゲゴーとの差は…縮まらない。
そのまま何も起こらず、ヴィンゲゴーがフィニッシュする。
これがツール王者の強さ!!
格の差を見せつけたヴィンゲゴー、29kmの独走勝利で総合首位の座に!!
…強い!
もう、その一言だけでいいかな…?
格が違いすぎて、言えることは…何も無いよ、正直。
それよりも驚いたのは、デルトロの追走集団復帰、そしてそこからの牽引。
超級山岳の登坂で、遅れていたよね…?
しかも最後、力を出し切って踏みやめるかと思いきや、フィニッシュでスプリントに参加しているし…。
追走集団のスプリントでは、パンクしていたアユソが先着したのも驚きではある。
デルトロの奮闘に、ボーナスタイムという形でしっかり応えたその意地は、お見事。
総合2位のアユソが21歳、総合6位のデルトロは…プロ1年目の20歳。
ちょっと色々と、凄すぎる。
第6ステージ
超級山岳カーリ(登坂距離10.1km・平均勾配8%)にフィニッシュする、今大会のクイーンステージ。
この日は、カラパス、アラフィリップ、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス)など、ビッグネームを含む逃げが形成される。
ただ、前日に続いてメイン集団のテンションは高く、カーリの登坂への突入時には、逃げとメイン集団のタイム差は1分強しか残っていない…。
カーリの登坂でメイン集団のペースを作るのは、総合3位のヒンドレーを擁する、ボーラのアシスト陣。
ダニエル・マルティネスからレナード・ケムナへと高速牽引を繋ぎ、残り6.6kmでヒンドレーがアタック!!
この動きにヴィンゲゴーがすぐさま反応、アユソも一呼吸だけ遅れて追いつくけれども、オコーナー、アレンスマン、ピドコック辺りは離されてしまう。
この動きで、唯一逃げ残っていたカラパスは飲み込まれて…そしてその直後に、ヴィンゲゴーがアタック!
アユソとヒンドレーがすぐさま反応するけれども、ヴィンゲゴーは構わずペダルを踏み続け、強引に2人を引き千切る!!
2日続けての独走劇が始まった…!!
タイム差的には、攻撃する必要は…全くない。
ディフェンシブに振る舞っても、総合優勝は間違いない。
それでも、ヴィンゲゴーはフィニッシュまで全力で踏み続ける。
アユソとヒンドレーはその視界に入っていないような、まるで仮想敵と戦っているかのような、ただひたすら己の登坂力のみでの独走劇を生み出したヴィンゲゴー。
見据えるはツール、もちろん仮想敵は…タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)。
ツール3連覇に向けて、抜かりは無い。
第7ステージ
コース序盤に起伏はあるけれども、中盤以降はオールフラットなレイアウト。
最後のステージ勝利だけでなく、ポイント賞争いの行方も掛かった集団スプリントだ。
この日の逃げは、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン)、ルーク・ロウ(イネオス)、ヒーリーなど、なかなかのメンバーが揃った6人。
ただ、良いメンバーになりすぎた影響か、メイン集団はあまり大きなタイム差を与えててくれない。
万が一にも逃げを捕まえ損ねないようにと、許したタイム差は最大でも2分ほど。
結局、残り14.5km辺りで逃げは捕まり、集団スプリントに向けてレースのスピードと緊張感が高まっていく。
残り3kmを切って、集団の先頭で激しく位置取り争いをするのは、ウノエックスとアンテルマルシェ、あとはリドルも前に人数を集めているか。
残り2km、グルパマFDJとアルペシンも位置を上げてくる。
ただ、どのチームもアシストの人数は多くない…。
ラウンドアバウトを抜けて残り1km、先頭は依然ウノエックス、アレクサンダー・クリストフの前にアシストは2人。
と思ったら、残り800mのクランクを抜けて、ウノエックスは先頭のヴァーレンショルトが得意の早駆けを敢行!!
絶妙なタイミングでの動きに、ギャップが生まれる!!
追うのはリドルのジャージ…エースのミラン。
エースが脚を使って追う、これはリドルにとっては難しい形だぞ…。
ミランは後続の選手に先頭交代を要求、しかしライバルチームとしてはミランの脚を削りたいので、前に出ない…。
ペースが緩む…、前を行くヴァーレンショルトは逃げる…!
このままではまずい…というタイミングで集団の前方に飛び出してきたのは、リドルのジャージ…シモーネ・コンソンニ!
コンソンニの必死の牽引で、ヴァーレンショルトの背中が近づく!!
残り200mでもまだ粘り続けるヴァーレンショルト目掛けて、集団から真っ先にスプリントを開始したのは、ミランの背後という好位置を確保していたフィリプセン!!
当然、ミランも合わせて踏み込む!!
そしてヴァーレンショルトのお陰で温存できていたクリストフも、良い形でスプリント!
少し早く仕掛けたフィリプセンが伸びない一方、ミランは最後まで伸び続ける…!!
目まぐるしい展開を制して、ミランが今大会2勝目!!
そしてミランは、逆転でのポイント賞獲得!!
ヴァーレンショルトが絶妙なタイミングでの仕掛けを見せて、このままでは誰も「追えず」に決まったかと思ったその瞬間!
最後の力を振り絞って前に出て、集団を牽いたコンソンニの動き!
まさにミランにとっては救世主…!
そしてその動きにしっかり応えた、ミランのパワフルなスプリント!!
いや~、見応えのある勝負だった!!
そして、ヴィンゲゴーがトラブルなくフィニッシュして、総合優勝が確定!
これぞ王者。
本当に、その登坂力は格が違いすぎた。
王者の強さと、若手の活躍
改めて、最終結果を確認。
- 総合優勝:ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)
- 総合2位:フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
- 総合3位:ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)
- ポイント賞:ジョナサン・ミラン(リドル・トレック)
- 山岳賞:ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)
- ヤングライダー賞:フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
総合優勝は、圧倒的な強さを見せつけたヴィンゲゴー!
まさに別格、これぞ王者の強さ!
その登坂力と総合力は、やはり現役最高のオールラウンダーだ。
総合2位に入ったのは、アユソ!
驚きの個人タイムトライアル勝利に始まり、その後も力強い走りを披露。
その力は、「期待の若手」なんて枠はとっくに飛び出している!
ヒンドレーは、終始安定した走りを見せての総合3位!
流石は2022年のジロ・デ・イタリア覇者、自分の力を良く分かっているからこその余裕があったように思う。
「プリモシュ・ログリッチが加入しても、自分がエースだ」という、新たな気合が入っていた可能性も…。
ポイント賞は、ステージ2勝のミランが獲得!
昨年ジロでのポイント賞獲得は、やはりフロックではなかった。
まだ粗削りだけれどもこの強さ、これから先が本当に楽しみな選手の1人だ。
開催時期の重なるパリ~ニースが大混戦だったのと対照的に、ひたすらにヴィンゲゴーの強さが際立った今回のティレーノ~アドリアティコ。
ツール2連覇、その強さは十分に分かっていたつもりだったけれども…、ここまで圧倒的だとやはり驚いてはしまうよね…。
その一方で、総合2位のアユソ、アユソを支えながら総合4位に入ったデルトロ、総合6位のアレンスマン、本文中で全く触れてあげられなかったけれども総合7位のキアン・アイデブルックス(ヴィスマ)と、相変わらず若手の活躍が目立っていたのも間違いない。
若手の活躍は、見ていて楽しい。
その将来を想像し、期待しながら見るのは…本当に面白い。
この先も元気に活躍を続けてくれることを、心から期待したい。
ここから本格化するロードレースシーズンを、盛り上げてくれることを期待したい。
それでは、また!