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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第18ステージ

「終盤に弱い」なんて言わせない…!!

第18ステージは、序盤に4級山岳が登場する以外はほぼ平坦で、久しぶりに集団スプリントになりそうなレイアウト。

集団スプリントが予想されるステージはこの日も含めてあと2つ、現在ジョナサン・ミラン(リドル・トレック)が首位を独走するポイント賞争いが、ほぼ決着する可能性がありそうか。

 

雨の中、逃げを選択したのはミッケルフレーリク・ホノレ(EFエデュケーション・イージーポスト)、ミルコ・マエストリ(ポルティ・コメタ)、アンドレア・ピエトロボン(ポルティ)、フィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)の4人。

なんだか今大会おなじみのメンバーという感じになった先頭集団に対して、スプリントチームが牽引するメイン集団は、最大でも2分30秒ほどしかタイム差を許さない。

残り110km地点の中間スプリントポイント、メイン集団は激しい争いにならず、ミランが余裕をもって先着(全体5番手通過)に成功。

これでミランは288pt、そして2位のカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)が175ptなので、その差は113pt。

ミランの2年連続ポイント賞獲得、ほぼ間違いなさそうだ。

 

残り80kmを切った辺りから、先頭集団とメイン集団のタイム差は急激に減少傾向に。

残り60km、流石に先頭を捕まえるのには早すぎる…という状況で、メイン集団から飛び出して先頭集団へのブリッジを成功させたのは、エドアルド・アッフィニ(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)。

独走力や牽引力に長けたアッフィニが加わったおかげ…かどうかは何とも言い難い部分もあるけれども、先頭集団はしばらく10秒~20秒ほどのタイム差をキープ。

ただ、これはやはりメイン集団が明らかに「泳がせている」だけのようで、メイン集団は落ち着いた様子。

レース展開をしっかりコントロールしたメイン集団は、残り10kmになると「予定通り」先頭集団を飲み込んで、集団スプリントに向けて緊張感を高めていく。

 

残り5km、集団前方をキープするスーダル・クイックステップやアルペシンというスプリントチームの隊列に、被せるように先頭に出てきたのは総合勢のイネオス・グレナディアーズ

イネオス、相変わらず危険回避に関しては一切手を抜かない。

残り3km、一気に先頭に上がってきたのはジュリアン・アラフィリップ(スーダル)、ただ、他のチームメイトを連れてきていない…?

アラフィリップの後ろに位置取りするのはグルパマFDJのトレイン、更にその後方にはリドルとアルペシンがいい体勢を整えている。

アラフィリップは残り2.5kmで牽きを終えて後退、そのままグルパマのトレインが集団を引っ張る格好に。

残り2km、グルパマとは別のラインを作って前に上がってきたのはチューダー・プロサイクリングのトレイン、チューダーはそのまま一気に先頭を奪う。

残り1.5km、チューダーの後方ではリドル、アルペシン、スーダルと、有力チームが選手を並べている。

残り1kmを切って左への直角コーナー、各チームの隊列がばらける…!

リドルの選手が2人先頭に上がっていくけれども、エースのミランは後方に埋もれている…。

残り400m、先頭はリドルの最終発射台シモーネ・コンソンニ、しかし後方を振り返ってミランがいないことを確認すると…踏みを緩める。

少し混沌とした展開の中、残り200mで真っ先にスプリントを開始したのはユーゴ・オフステテール(イスラエル・プレミアテック)!

その動きを利用してアルベルト・ダイネーゼ(チューダー)が先頭に立った…と思った直後、そのダイネーゼの背中を捉えていたグローブスが鋭い加速を見せて先頭に躍り出る!!

残り100m、後方にいたティム・メルリール(スーダル)とミランがものすごい勢いで猛追!!

メルリールとミランが先頭のグローブスに迫る…!!

最後は3人横並びでハンドルの投げ合い!!

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目まぐるしい展開のスプリント、勝ったのは…メルリール!!

素晴らしい追い込みを見せて、今大会2勝目!!

結構後方に埋もれていたようにも見えたけれども、あそこから届くのか…!!

改めて空撮映像を見直すと…なるほど!

オフステテールがスプリントを開始した時点で、その背後にダイネーゼ、グローブス、スタニスワフ・アニオコウスキ(コフィディス)、メルリールの順番で並び、ミランは後方から必死にメルリールの横辺りまで位置を上げてきている。

そこから、メルリールがアニオコウスキのスリップストリームを上手く利用してからスプリントしたのに対して、ミランは前方に風除けとなる選手がいない状況で強引にスプリントをせざるを得なかった。

その状況からグローブスを抜いて2位に入ったミランはある意味とんでもないけれども…、スプリント開始までの位置取り、そしてその後のコース取りの上手さでメルリールに軍配が上がった感じか。

メルリールはこれまでのグランツールで、ステージ勝利を挙げたのが全て1週目だっただけでなく、ステージ勝利を挙げたグランツールでは途中リタイアと、完全に「序盤に強い(3週間持たない?)」傾向だったけれども…。

これで、3週目に勝利を挙げただけでなく、完走も間近!

スーダルのエースとして相応しい強さを身に着けたと、評価していいんじゃないかな。

 

そして惜しくも2位に終わったミランは…、ポイント賞のリードを127ptに拡大。

残り3ステージのうち、平坦ステージは最終日のみだから…逆転は不可能!

完走さえすれば、2年連続でのポイント賞だ!