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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第19ステージ

果敢なダウンヒルアタック!

第19ステージは、中盤以降に2級・3級・2級とカテゴリー山岳が連続する、今大会随一の逃げ切り向けコース。

流石に総合勢…というか、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は、ステージ勝利を狙ってこないよね…?

 

予想通り、アクチュアルスタート直後から、逃げを目指したアタック合戦が激しく繰り広げられる展開に。

小さなグループが先行したと思ったら捕まり、また新たな小集団が抜け出して、そこに向けた追走も発生して…みたいなやり取りを繰り返して、最終的に出来上がった先頭集団は19人。

ジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)、ヤン・トラトニック(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、アンドレア・ヴェンドラーメ(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)、ペラヨ・サンチェス(モビスター・チーム)、ルーク・プラップ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、ゲオルグ・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)、クインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)など、かなり強力な…このステージでの逃げ切りに向いていそうな選手が揃っている。

UAEが牽引するメイン集団は、先頭集団の逃げ切りを完全に容認する構えで、タイム差はどんどん開いていく。

恐らく今大会で初めて、早々に逃げ切り勝利が確定する展開になった。

 

ステージ勝利に向けた最初の絞り込みは、1つ目の2級山岳パッソ・ドゥロンの登坂で発生。

アラフィリップがペースを上げると、山頂まで付いていけたのはナルバエス、ペラヨ・サンチェス、シュタインハウザー、ヘルマンスの4人、そして山頂通過直後にヴェンドラーメが合流して、合計6人の集団で3級山岳セッラ・ヴァルカルダに向かっていく。

3級山岳の登坂が始まった直後、ここで仕掛けたのは…またしてもアラフィリップ。

鋭い加速でライバルを千切ろうと試みるけれども、しばらくするとナルバエス、シュタインハウザー、ペラヨ・サンチェスが追いつき、ヴェンドラーメとヘルマンスもペース走で着実に追いかける。

そして、いつの間にか後方の追走集団から忍び寄ってきたのは、プラップ。

プラップはヴェンドラーメとヘルマンスに合流し、そしてそのまま3人で先頭にも合流。

アラフィリップ、ナルバエス、シュタインハウザー、ペラヨ・サンチェス、ヴェンドラーメ、ヘルマンス、プラップの7人で、3級山岳の頂上を通過していく。

 

雨脚が強まっていく中、動きがあったのは最後の2級山岳…ではなく、3級山岳通過後のダウンヒル区間

残り31km辺りで、ヴェンドラーメがスルスルっと抜け出している…?

雨でスリップのリスクが高まっている状況で、虚を突いたダウンヒルアタック…!!

後続にはダウンヒルテクニックに定評のあるアラフィリップがいるにも関わらず、その差はどんどん広がっていないか…!?

残り20kmでタイム差は40秒、これはそのまま行ける可能性が十分にあるぞ…!

 

残り15kmを切って、ヴェンドラーメは単独先頭のまま2級山岳チーマ・サッパーダに突入。

追走とのタイム差は…1分!

そしてその差は、登坂区間でも縮まっていかない!

追走集団から登坂力のあるシュタインハウザーとペラヨ・サンチェスが抜け出して、2人でヴェンドラーメを追うけれども…それでも縮まらない!!

1分5秒のリードを保ったまま、ヴェンドラーメが山頂を通過!

残すは6kmほどの平坦基調区間、これは…もう間違いない!!

残り600m、勝利を確信してチームカーにサムズアップ!

そしてスタッフと握手を交わす!!

最後は観客を両腕で煽ってから…悠々とフィニッシュ!!

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果敢なアタックによる鮮やかな逃げ切り!!

ヴェンドラーメ、3年ぶりとなるジロでのステージ勝利!!

雨のダウンヒルでの、まさに「奇襲」!

その果敢なトライ、そしてその後の登坂でもペースを崩さない強さはお見事!

 

そして、15分ほど遅れて帰ってきたメイン集団では、残り6kmで総合3位のゲラント・トーマス(イネオス)が落車するトラブルが…。

ただ、ここは他の選手もペースは上げずにトーマスの合流を待ち、総合上位勢は同タイムでのフィニッシュに。

一瞬ひやりとしたけれども…とりあえずは良かった。

残す総合争いの場は、翌日の第20ステージのみ。

トラブルなく、良いレースになることを期待しよう。