世界中で大小さまざまな規模のロードレースが開催されていますが、大きく分けて
- ステージレース
- ワンデーレース
この2種類に分類する事ができます。
それぞれ違った魅力があり、観戦するに当たって押さえておきたいポイントも変わってきますので、まず今回はステージレースの基本的な部分について解説していきたいと思います。
※ワンデーレースの解説はこちら
ステージレース(Stage Race)
数日間から最長で3週間の期間、各日ごとに異なるコース(ステージ)を走り、その合計タイムで「総合優勝」を争うのがステージレースです。
基本的には総合優勝が最大の目標ですが、各ステージごとの勝者も「ステージ優勝」として表彰されます。
他にも、ゴール時とステージの要所に設置されているチェックポイント通過時の順位に応じて加算されるポイントを競う「スプリント賞」、山頂通過時の順位に応じて加算されるポイントを競う「山岳賞」も表彰の対象になっています。
また、 「総合タイム」「スプリント賞」「山岳賞」で暫定首位の選手は通常のチームジャージと違う「特別ジャージ」を着用し、集団の中で判別がしやすくなっています。
※ツール・ド・フランスの総合1位の証「マイヨ・ジョーヌ」を着用するジュリアン・アラフィリップ(中央黄色のジャージ。周りのチームメイトが着ている青いジャージが本来のチームジャージ)
毎日違うステージを走りますが、そのステージは基本的に以下の5種類に分類されます。
- 平坦ステージ
起伏が少ないフラットなステージです。ゴール前ではスプリンターによる激しいスプリント争いが繰り広げられます。基本的に大きなタイム差はつかないので、総合優勝を争う選手たち(総合勢)は落車などのリスクを避けるために静かにしています。
- 山岳ステージ
高い山を登るステージで、タイム差が開きやすいため総合勢による勝負が繰り広げられる事が多いです。スプリンターなどの登りが苦手な選手たちは、遅れすぎてタイムアウトで失格にならないように協力してゴールを目指します。
- 丘陵ステージ
小高い丘を利用した細かいアップダウンが繰り返されるステージです。登りが苦手なスプリンターにとっては登りが厳しく、逆に総合勢にとってはタイム差が開きにくい程度の登りなので温存して走る場合があり、その他の選手がステージ優勝を狙いやすいステージになっています。
- 個人タイムトライアル(ITT)
集団で走り着順を競う通常のレースと違い、個人で走りそのタイムを競うステージです。独走能力に長けたタイムトライアルスペシャリストの見せ場であると同時に、タイム差が付きやすいので総合優勝争いに大きく影響するステージでもあります。
- チームタイムトライアル(TTT)
これも通常のレースと異なり、チームごとに列になって走り、チームとしてのタイムを競うステージです。規定の人数(例:1チーム8人出場のレースの5人目)がゴールしたタイムがチームのタイムとなりますが、それ以降で列から離れてしまっていた選手にはその選手のゴールタイムがカウントされます。
このようなタイプの違うステージが続くので、優勝争いをするためには総合力が必須となります。
また、同じレースでも毎年コースレイアウトが変わるため、その内容によって「今年のツールはクライマー向き」「今年のジロは例年よりタイムトライアル能力が勝負を分けそう」などと傾向が変化したりします。
様々な規模のステージレースがある中で、最長の3週間という長丁場で行われる以下の3つのレースをグランツールと呼び、総合優勝やステージ勝利だけでなく出場する事自体も大変な名誉とされています。
特に、ツール・ド・フランスはその歴史の長さなどから、ロードレース界で最も知名度と格式の高いレースであり、最大のイベントとなっています。
ステージレースでは出場する各チームごとにそれぞれの思惑(総力を挙げて総合優勝を狙う、平坦ステージでのスプリント勝利を狙うなど)があり、時にそれらが複雑に絡み合い、思いもよらない展開や劇的なドラマが発生します。
長い期間での様々な過程や出来事があり、まるで物語を追っているかのような感覚になることすらあります。
是非、選手たちの情熱のストーリーを楽しんでみてください!