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【選手紹介 Vol.3】パスカル・アッカーマン

屈強なジャーマン・スプリンターの系譜

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選手名:パスカル・アッカーマン(Pascal Ackermann)

所属チーム:ボーラ・ハンスグローエ

国籍:ドイツ

生年月日:1994年1月17日

脚質:スプリンター

 

主な戦歴

ジロ・デ・イタリア

 ステージ2勝(2019)、ポイント賞(2019)、

ブエルタ・ア・エスパーニャ

 ステージ2勝(2020)

ドイツ国内選手権 個人ロードレース

 優勝(2018)

・ツール・ド・ポローニュ

 通算ステージ4勝(2018 × 2、2019 × 2)

・ティレーノ~アドレアティコ

 ステージ2勝(2020)、ポイント賞(2020)

・エシュボルン=フランクフルト

 優勝(2019)

 

どんな選手?

大柄な体格を活かした力強い走りが魅力の正統派スプリンター。

 

近年のドイツからはアンドレ・グライペルマルセル・キッテルといったトップクラスのスプリンターが輩出されているが、その系譜に連なるパワー溢れるスプリントが最大の魅力。

背丈がものすごく高いわけではないが、鍛えられたその屈強な肉体は集団走行中でもとても目を引き、ゴール前のスプリントでは圧倒的な迫力でフィニッシュへと向かっていく。

 

2018年にワールドツアーで6勝を挙げ、更にはドイツ国内選手権を制して一躍その名を轟かせる。

そして2019年、地元ドイツでのエシュボルン=フランクフルトで勝利し好調をアピールし、満を持して臨んだジロ・デ・イタリア2019。

初めてのグランツール(三大ステージレース)出場にも関わらず、ステージ2勝に加え、そのレースで最高のスプリンターの証ともいえるポイント賞まで獲得する大活躍を見せる。

その後も順調に勝利を積み重ね、2019年は年間13勝を挙げ勝利数ランキング堂々の2位タイをマーク。

トップスプリンターの一人として認識されるまでになった。

 

そんな彼が大活躍したジロ・デ・イタリアの直前、同郷ドイツの偉大な先輩マルセル・キッテルが不振などを理由に休養を宣言し、残念ながら結局そのまま8月に引退を発表。

奇しくもキッテル引退と入れ替わるように大躍進を遂げてトップスプリンターとなったアッカーマン

地元ドイツのチームであるボーラ・ハンスグローエに所属している彼には、偉大な先輩たちと同様な輝かしい未来を期待してしまう。

今シーズンも大迫力のスプリントと、ポディウム(表彰台)でのはじけるような笑顔をたくさん見せてくれ!

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※2020年12月20追記

2019年に年間13勝を挙げたという事で、2020年はトップスプリンターの1人として大きく期待されてのシーズンインとなったアッカーマン。

春先のUAEツアーで1勝を挙げて幸先よくスタートしたかと思いきや、その後イマイチ調子が安定しない。

 

3月のパリ~ニースではチームのシンボルであるペテル・サガンが同時出場ながらエース待遇で走らせて貰うも、そのサガンのアシストを受けて万全の態勢で突入した第2ステージのスプリントでまさかの失速をしてステージ2位に終わってしまう。

コロナウィルスによる中断期間開けもイマイチ調子が上がらず、相性のいいツール・ド・ポローニュでも2度のステージ2位、ドイツ国内選手権も2位、ヨーロッパ選手権は3位と、安定して上位に入賞はするものの、ワールドツアーではなかなか勝てないような状態に。

ティレーノ~アドレアティコではステージ2勝とポイント賞を獲得して復調したかにも見えたが、直後のビンクバンク・ツアーでは2度のステージ3位と、やはり勝ちきれない。

 

そんな状態で臨んだブエルタ・ア・エスパーニャでは、スプリント最大のライバルとしてサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が出場しており、昨シーズンまでは同僚だった2人の対決が注目される事に。

1つ目のスプリントステージとなった第4ステージではベネットが圧巻の爆発力を披露して勝利、アッカーマンは4位に終わる。

続いての第9ステージもベネットが先着して2連勝かと思いきや、位置取り争いで肩をぶつけた動作が危険行為とみなされベネットは降格処分、2着だったアッカーマンがステージ勝利という形に。

第15ステージではベネットがスプリントに絡めなかったために大チャンスだったものの、ジャスパー・フィリプセン(UAEチームエミレーツ)が勝利し、アッカーマンはまたしても2着でフィニッシュ。

アッカーマンはこのまま先頭でフィニッシュできないままブエルタを終えてしまうのかと思われた中、最終18ステージのスプリントは再度アッカーマンとベネットの争いに。

早めに仕掛けたアッカーマンと後ろから猛追するベネット、その差はごく僅かで写真判定となり、ほんの数cmの差でアッカーマンが勝利。

これでアッカーマンはステージ2勝目、そしてなにより正真正銘の先頭フィニッシュでの勝利を飾る事ができた。

 

シーズンを通して苦しみながらも、最後はブエルタで有終の美を飾ったアッカーマン。

勝利はもちろん素晴らしかったが、レース後のコメントがまた素晴らしかった。

アッカーマン「サムが降格になったステージの勝利をカウントするつもりはないので、これで彼とステージ1勝ずつ。みんなハッピーな気分で大会を終えることができる」

(出典:アッカーマンが写真判定でベネットを下す ログリッチがブエルタ連覇を達成 - ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第18ステージ | cyclowired

 

今シーズンはファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)の痛ましい事故の影響もあり、スプリントの際の位置取りや安全性が取りざたされ、接触による降格処分の基準が大きな話題になるようなピリピリした空気の中、このアッカーマンのリスペクトとフェアプレー精神が表現されたコメントは本当に印象的だった。

2021年シーズンもフェアで健全で、そして激熱なスプリントに期待したい。