スプリンターもやらなければ…!
昨日(2024年1月3日)、「総合系選手ランク付け」という記事をアップしたところ、想像以上にアクセスがあり、嬉しい限り…!
そうなると当然、スプリンターのランク付けもやらなくては…!
まあ、総合系編のアクセス数と関係なく、元々書くつもりで準備していたけれども。
はい、という訳で…今回はスプリンター編!
総合系編と同様、成績を考慮しつつ独断と偏見で決めたランク付けがこちら!
それでは早速、各ランクの解説をやっていこう~!
Aランク:堂々の現役最強
個人的に、現役最強はダントツでこの選手だと思っている。
- ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)
2023年、ツール・ド・フランス4勝を含む年間19勝を挙げたフィリプセン!
その抜群のトップスピード、展開を読んで動く力、そして安定感は、現状ちょっと他の選手とは比較にならないぐらい凄い。
1つ大きなポイントは、2021年のツールで「未勝利ながら6度のステージ3位以内」を経て、直後のブエルタ・ア・エスパーニャで2勝を挙げて以降、常に勝ち続けている点。
この継続性が他のスプリンターとの最大の違いであると同時に、トップスピードや爆発力も完全に最上位クラスであり、最強としか表現のしようがない。
Bクラス:「トップスプリンターの1人」と呼んで差し支えの無いレベル
フィリプセンを別格として、そこに続く「トップスプリンター」と評するべき選手たち。
「年間10勝」を安定して狙えそう、もしくは「絶対的な登りスプリント力」が、一応の目安。
- ファビオ・ヤコブセン(チームDSM-フェルミニッヒ・ポストNL)
- オラフ・コーイ(ヴィスマ・リースアバイク)
- ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)
- ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク)
- マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)
ヤコブセンは、2023年は若干の不振ながらも年間8勝と、それなりの勝利数をキープ。
「奇跡の復活」以降、2021年のブエルタでステージ3勝を挙げてのポイント賞、2022年はツール1勝を含む年間13勝と、近年の実績に文句の付けようはない。
好調なら、フィリプセンと真っ向から戦える数少ない存在と言っていいはず。
コーイはグランツール未出場ながら、直近2年の勝利数、勝ち方、勝ったレースのレベルを考えれば、Bランクで全く問題ない。
2022年は年間10勝(ワールドツアー1勝)、そして2023年は年間12勝(ワールドツアー4勝)と、勝利の数も質も向上させているのが本当に素晴らしいところ。
2024年シーズンでまだ23歳、ここからさらなる成長も期待できるのが末恐ろしすぎる。
メルリールは、2021年にジロ・デ・イタリアとツール両方で1勝を挙げてから、完全にトップスプリンターの仲間入り。
2023年はチーム事情もありグランツール未出場となってしまったが、2024年からはヤコブセンの移籍もあり晴れてスーダルのエーススプリンターに。
チームが総合系へとシフトしてきているのが逆風なのは間違いないけれども、改めて意地を見せられるか。
唯一無二の「スーパーオールラウンダー」ファンアールトは、正直言ってどう扱うべきか、かなり困ったというのが本音。
ツールで挙げたスプリント勝利の数、そしてその万能性が成立させる圧倒的な登りスプリント性能は、Cランクにするのは明らかに違和感が大きいと感じて、この位置に。
2024年はジロに出場予定、一体どんな走りを披露してくれるのか、本当に楽しみだ。
ピーダスンもファンアールトと同様に、どう扱うべきかかなり迷ったけれども…。
2022年のブエルタではステージ3勝を挙げてポイント賞を獲得、2023年はジロとツールでそれぞれスプリントステージ1勝と、実績は十分すぎると判断してBランクに。
ファンアールトもそうだけれども、登りスプリントだけでなく、平坦スプリントでも普通に勝利(もしくはステージ上位)を連発しているので、「トップスプリンター」と評しても問題ない…はず。
Cランク:恐らく、ポテンシャルはBランクと遜色ない
間違いなく強いけれども、Bランクの選手と比べると今は結果に繋がっていない感が強い…、そんな選手がずらりと並ぶ感じ。
実績が足りない若手と、実績は十分すぎるのに調子を落としている選手、2パターンにはっきり分かれているのがポイント。
- カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)
- アルノー・デリー(ロット・デスティニー)
- ジョナサン・ミラン(リドル・トレック)
- カレブ・ユアン(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- サム・ベネット(デカスロン・AG2R・ラ・モンディアル)
- アルノー・デマール(アルケア・B&Bホテルズ)
グローブスは、2023年のブエルタでステージ3勝を挙げてポイント賞を獲得と、一気に飛躍。
2022年のブエルタと2023年のジロでもそれぞれ1勝ずつを挙げているので、2024年も同じような活躍を継続できれば、トップスプリンターの仲間入りか。
2024年シーズン中に22歳になるデリーは、2022年にロットと本契約を結んで以降2年間で19勝を挙げている、とんでもない逸材。
ワールドツアーでは未だに1勝のみなので、2024年は勝利の内容を求めたいところ。
ミランは、2023年のジロでポイント賞を獲得した(ただし、ステージ勝利は1つのみ)、これまた新進気鋭の若手。
破格のトップスピードが魅力であると同時に、位置取りや仕掛け所の判断は未熟な部分も目立つけれども、逆に言えば伸びしろはまだかなりある。
「ポケット・ロケット」ことユアンは、2021年ツールでの落車リタイア以降、明確にスランプに…。
好調ならAランクレベルの選手なだけに、地元オーストラリア籍チームへの復帰が、復活のきっかけになるのを祈るばかり。
2020年のツールでポイント賞を獲得したサム・ベネットも、2021年のツールをケガでキャンセルして以降、調子が上がらない…。
2022年のブエルタではステージ2勝と力を示せていただけに、こちらも移籍を機に復活したいところ。
グランツール通算10勝を誇るデマールも、2023年は不振に陥り、チーム事情も影響してシーズン途中での移籍を経験。
2022年のジロではステージ3勝を挙げてポイント賞を獲得しているように、まだまだ力を発揮できるはず。
Dランク:グランツールでの勝利が「現実的な目標」か
グランツールでの勝利が普通に有り得ると同時に、未勝利でもそんなに不思議ではない…、そのぐらいのレベル感。
- マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム)
- アルベルト・ダイネーゼ(チューダー・プロサイクリングチーム)
- ディラン・フルーネウェーヘン(チーム・ジェイコ・アルウラー)
- フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ)
- パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)
ツール歴代最多タイの34勝を誇るカヴェンディッシュは、2023年末での引退予定を撤回し、現役を1年延長。
当然、目指すはツールでの勝利、悲願成就となるか。
イタリア期待の新鋭スプリンターダイネーゼは、スイスのプロチームであるチューダーへの移籍を選択。
プロ通算6勝ながら、グランツールで3勝というその異常な勝負強さは、プロチームでも輝くか注目。
フルーネウェーヘンは、2020年の事故による謹慎以前の実績なら、恐らくBクラス相当の実力者。
謹慎明け以降は2022年のツールで1勝も、2023年はワールドツアーで1勝のみとイマイチだったのでこの位置に。
モラノは、2022年・2023年とブエルタで2年続けてステージ1勝。
ただ、他のレースでは決してコンスタントに勝利を重ねている訳では無く、残念ながらCランクはどう考えても難しかった。
2019年のジロでポイント賞を獲得したアッカーマンは、ここ数年極度の不振に陥ってしまったため、この位置に。
2023年ジロで久々のグランツール勝利、これが復調のきっかけになるといいのだけれども…。
Eランク:グランツールでの勝利、期待したいけれども…
正直言って、グランツール勝利への期待値はグッと下がる…、そんな選手たち。
- フェルナンド・ガビリア(モビスター・チーム)
- フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
- ブライアン・コカール(コフィディス)
- ヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ)
- マイケル・マシューズ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
グランツール通算7勝のガビリアは、30歳を手前にしてなぜこれほどまでに勝てなくなってしまったのか…。
直近3年で僅か5勝と、とてもではないが「トップスプリンター」とは呼べないのが現状。
バウハウスは、通算で20という勝利数の割には、ワールドツアーで6勝を挙げている「隠れた実力者」。
もう少しコンスタントに勝利を重ねられたら、もっと評価は高いのだろうけれども…。
コカールはバウハウスと真逆で、通算51勝を重ねながら、2023年のツアー・ダウンアンダーで挙げたものが唯一のワールドツアー勝利。
グランツールでも割と高い頻度でステージ上位に入るのだけれども、あと一歩届かないのがもどかしい。
メーウスは、個人的には2021年のブエルタで上位リザルトを連発させていた辺りから注目していた選手。
2023年ツールの最終ステージ、シャンゼリゼでの大金星を飛躍のきっかけにできるか。
ド平坦なレイアウトでは明らかに勝てなくなってきているマシューズは、そもそもスプリンターと呼ぶべきかも若干怪しくて、ランクインさせるかをかなり迷った選手。
ただ、その登りスプリント能力は未だに健在で、2023年ジロでの勝利が素晴らしかった事もあり、Eランクながら入れることに。
「登れるスプリンター」の扱いが難しかった…
既に書いたけれども、ファンアールト、ピーダスン、マシューズの3人…、要するに「登れるスプリンター」をどう扱うべきかは、今回かなり迷った部分。
平坦なスプリントステージの勝利数はそこまで多くないけれども、登りスプリントでは圧倒的な強者であり、同列に評価する際にどうしたものかと…。
この辺りは、もし自分以外の人が今回のようなランク付けをした際には、かなり変わる可能性もありそう。
まぁ、絶対的な「正解」なんてものは存在しないので、書きたいように書いた、それだけのことではある。
総合系編と同じように、「この選手を忘れている!」や「この選手のランクは変じゃない?」みたいな意見があったら、是非コメントが欲しいところ。
主要選手の漏れが無いようには気を付けたつもりだけれども、総合系編では「リチャル・カラパスを入れ忘れる」という、とんでもないやらかしもあったので…。
半分ぐらいは「自分が楽しむため」に書いたけれども、これを読んで「楽しい」と感じたり、「レースを楽しむ助けになった」と思ってくれる人がいれば…、といった気持ちがあったのも事実。
意見だけでなく、もしよかったらその辺りの感想も書いて頂けると、とても嬉しいかな。
まぁ、何はともあれ、今シーズンもブログでの発信という形で、一緒にロードレースを楽しんでいけたら、本当に嬉しい限りだ。
それでは、また!