絵になる男の見事なアタック!
雨と落車によって波乱・混乱となった第1ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第1ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)に続く第2ステージは、1級山岳を2つ含む上級山岳ステージ!
早すぎる1級山岳の登場、そして最終盤には頂上にボーナスタイムが設定された丘が登場しするために総合勢が早くも動く可能性も考えられて、早くも目の離せないこのステージ。
前日とは打って変わって気持ちのいい晴天に恵まれ、美しいニースの風景も相まって絶好のロケーションの中レースはスタート!
開始早々、16km地点の中間スプリントポイントを目指して逃げが発生。
そしてそこにしっかりと乗っかるペテル・サガン!
この中間ポイントの先頭はマッテオ・トレンティンに譲るも、着実に2番手で通過してポイントを獲得。
流石はマイヨヴェールを着るために生まれた男(この日もポイントランキングは3位ながら、「繰り下げの繰り下げ」でグリーンジャージを着用してるという…)、ポイント回収に向けて抜かりはない。
ただ、ちょっと不思議だったのは、スプリントポイント通過後もそのまま逃げ残りして、1級山岳も登っていった事。
そのまま前で登るのって、サガンにどんなメリットが…?
山岳のトレーニングでもしているのかな?
まぁ何にせよ、サガンは相変わらずのポイント回収力で、普通に行けばマイヨヴェールの最有力候補なのは間違いないでしょ。
一方その頃メイン集団では、前日の落車でダメージのあったダヴィド・ゴデュが遅れ始めてしまう…!?
痛みに苦悶の表情を浮かべ、歯を食いしばりながら必死にペダルを回すも、メイン集団から離れてしまっている…!
総合優勝を目指すティボー・ピノとしては、最重要なアシストである彼をこんな序盤で失う訳には…(汗
ものすごく心配しましたが、治療しながらなんとか集団に復帰して、とりあえず一安心。
ゴデュはそのまま無事に完走したようで…、いや~良かった。
前日のシヴァコフも何とか乗り切ったけど、総合争いをするチームの重要アシストがこんな序盤でリタイアになったら楽しみが減ってしまうので、落車やトラブルは勘弁してくれ~。
1級山岳が2つもあるという事で、逃げ集団の中での山岳ポイント争いも白熱し、ブノワ・コヌフロワとアントニー・ペレスが18ptで並ぶという展開に。
最終的には、この日の終了時の総合順位が上位だったコヌフロワが見事にポイント賞ジャージを獲得。
地元フランス期待の若手のコヌフロワ、前日の終盤でのアタックも含め序盤から目立ちまくっているのは盛り上がる~!
来シーズンはAG2Rのエース格としての走りも期待できるかも?
山岳賞争いは激化したものの、メイン集団は2つの1級山岳を穏やかに通過。
そして終盤の2級エズ峠の入り口で逃げ集団を吸収すると、ここからレースは活性化!
ドゥクーニンク・クイックステップとユンボ・ヴィスマが強烈なペースアップを図ると、集団はボロボロと人数を減らしていき、2級山岳を通過。
そして頂上にボーナスタイムの設定された丘で、またしてもドゥクーニンクの強烈な牽きから、満を持してエースのジュリアン・アラフィリップが発射!
「今日はアラフィリップ向きのステージで、終盤の丘は彼には格好のアタックポイントだ」なんて事は誰もが分かっているけれども、それでも誰も彼を止められない。
もうね、彼の「分かっていても防げない」アタックは、もはや芸術品の域の美しさだよね。
少し遅れて食らいついたマルク・ヒルシと、更に後から猛追したアダム・イェーツが合流して3人で逃げを形成し、頂上のボーナスタイムはアダムが先頭で通過。
そして後ろから集団も迫る中、3人でのスプリント勝負!
残り200m付近でアラフィリップが仕掛け、アダムは諦めモード、そしてヒルシは猛追!
アラフィリップに迫るヒルシ、粘るアラフィリップ、そして最後にヒルシがまた伸びる!?
どっちだ…!?
僅差で勝ったのは…アラフィリップ!!
昨年のツールの主役が、そのツール以来14ヶ月振りとなる勝利!
その喜びを全身で表現するガッツポーズ!!
そして、今年6月に亡くなった父に勝利を捧げるために、天を指さすアラフィリップ。
レース後には感極まって涙を流し、そんな姿も絵になる。
本当に華があって魅力的な選手だなぁ。
あの感情の爆発のさせ方は本当に心を揺さぶる「何か」を持っている。
しばらく勝利から遠ざかっていたのでコンディションやモチベーションを心配する声もあったけれども、ツールにはしっかり合わせてくるのは流石の一言。
今年も主役として暴れまわってくれ!
惜しくも敗れたヒルシも、ヤングライダー賞を獲得して表彰台に。
サンウェブ期待の若手は、そのポテンシャルをしっかりと見せつけてくれたので、今後のステージも期待しておこう!
ステージ勝利、そしてマイヨジョーヌ獲得のアラフィリップ。
前日のレースのモヤモヤを忘れさせてくれるような、見事な勝負をありがとう!